Nicotto Town



ビートルズの楽器の音色に関して


ビートルズの『サージェントペパーズ~』(以下SGT)について、
何度か書こうと思ったんですが、散らかり過ぎて上手く書けない。
そこで『音色』に絞ることにしました。電子音楽としてのロックについて。

まず一発撮りの時代から。この時期の音色はどこのバンドも似ています。
『プリーズ・プリーズ・ミー』あたりの音色はいかにも「エレキ」。
ギターの音はベンチャーズや歌謡GSと大差ないかもしれません。

『ラバーソウル』から中期のスタート。ギターとベースの音色が変わる。
イコライジングで高音を強調したギラギラした音色のギターも魅力ですが、
ベースの音色が壮絶です。『ラン・フォー・ユアセルフ』は歪みまくり。

エレキベースを歪ませるとチェロや木管楽器のように聴こえることがある。
この音色、ロック界ではジャック・ブルース、フェリックス・パパラルディ、
クリス・スクワイアやビリー・シーンにも受け継がれた記念碑的な音。

『リボルバー』ではギターの音色が完全にロック化します。
『タックスマン』のギターソロの音色、歪んで尖ったロックの代名詞。
この音色はSGTの『グッドモーニング~』でも聴ける。

アナログ機器は過大入力を受けると『歪み』ます。それを利用している。
シングル盤『レヴォリューション』イントロ、『ヘルタースケルター』等、
現代ロックの歪んだギターサウンドの礎の一つでもあるわけです。

弦楽器の音色加工の試みの多くは、おそらくはポールによるものでしょう。
ウルサイ音を創ろうとしたのではなく、魅力的な音色が欲しかった。
『歪み』サウンドを用いた理由は『ノイズ』とは全く方向性が異なる。

弦楽器の音色への拘りはドラムにも波及します。それがSGTで大爆発。
SGTのタイトル曲と『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』は衝撃的でした。
録音手法も拘りまくりだが、ドラマーとしてのリンゴの凄さも伝わる。

楽器音を電子的に加工して新たなイメージを創る。これはジャズとの違い。
『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』『レヴォリューションNo.9』等の、
録音技術を駆使した作品も我々の世代に大きな影響を与えたのです。

シンセはどうか? 当時は原始的なものしかなかったわけですが、
彼らは録音テープの音をアナログ手法で徹底的に加工しました。
アナログシンセの発想と同様です。そこで生み出された音も数々。

『トゥモロー・ネヴァー~』冒頭の鳥の鳴き声的な音は分かりやすいけど、
『ルーシー・イン・ザ・スカイ~』イントロのハープシコード音、
シンセじゃないんです。徹底的に加工した結果あの音色になっている。

SGTにおいて、おそらくスタジオで可能な技法は全て試されたと思う。
『グッド・モーニング~』末尾の鳥の鳴き声の音色を、次に始まる
SGTリプライズのギター音そっくりに仕上げるのに半日かけたらしい。

ビートルズは音色の宝庫でもあるんです。イコライジングと音量、定位等。
後にムーグ・シンセサイザーが別の衝撃を運んでくるんですが、
エフェクト加工も含め、スタジオ作業の全てはここにあるんじゃないかしら。

この時代の録音はアナログテープです。これがまた面白い。
若干回転を速くするとキラキラ艶が出る。落とすとふくよかになる。
『ストロベリーフィールズ~』後半は半音落としたテイクなのは有名です。

あー話が散らかってまとまらない。とにかく凄いアルバムなんですよ。
音色のバリエーションを楽しむために。是非、全曲通して聴いていただきたい。
クラシックともジャズとも異なる『ロック』の真髄の一つがあるんです。

アバター
2017/12/13 08:26
>よんさん

ビートルズの全曲解説といった書籍が数々出ています。これを読むと、また聴きたくなる。
大量に出ていたアウトテイクの海賊版に『ストロベリーフィールズ~』ばかり、
最初の弾き語りからどのように音を重ねたか、全て収録したものがありました。面白いですよ。
アバター
2017/12/12 23:19
へ〜。
また聴きたくなりました。
そういうのわかると面白いですね。
一曲ごとに解説する番組あってもいいのにー
今から50年前?60年前?凄すぎる〜



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