Nicotto Town



庄司陽子『生徒諸君!』の先進性


『きまぐれオレンジ★ロード』で一世を風靡したまつもと泉氏がなくなった。
享年六十一と知り驚いた。同世代だったのか……遥かに上だと思っていたが。
少年誌美少女ラブコメの系譜を書こうかと思ったが、先日から別のことを考えているのです。

還暦以上の世代なら庄司陽子先生の『生徒諸君!』をご存じですね。
21世紀に続編として教師篇が始まったときは驚いたが、そちらは未読です。
というより、連載中も中盤から違和感を感じることが多く、惰性で読んでいた。

嫌いな部分を列挙してみよう。主人公の独善性、片思いの連鎖とご都合主義の解決、
主要人物が性的暴行を受けたり、山で遭難死したり。美しすぎる知的障害の少女。
スポーツ界/NPO法人的共感と連帯、改革意識の横溢。旧体制への徹底的批判、etc。

さて考えた。一時期レディコミや女性作家の小説に走ったが読まなくなった。
確かに世には恒常的に悲惨が溢れてるけど、マンガや物語で読みたくはない。
女性作家はあっけらかんと、登場人物に重い十字架を背負わせすぎる(女性蔑視だな…)。

ケータイ小説が現れた頃も全く関心を持たなかったのも同じ理由だった。
社会が過っているという認識に溢れ、不遇と精神的復讐で構成された物語群。
保守的思想を持つ私には、娯楽として楽しむキャパシティがなかった。

ところで、本題です。第三パラグラフをもう一度読んでちょうだいな。
現代ウケてるコンテンツの原型が大体入ってるでしょ? 私は戦慄したのです。
庄司陽子は時代の先を走っていて、オールドウェーブの私はそれを嫌ったのだ。

けっこうショックな事実です。ちなみに同じ時期、森脇真末味という作家が
『緑茶夢』『おんなのこ物語』という連作を出しています。これは今でも好き。
簡単に言えば、ウッドストック以降のロックと若者像を引き摺ってるからですが。

庄司陽子は1950年生まれ。同じ年に生まれた作家を調べてみると……。
いがらしゆみこ、竹宮恵子、和田慎二、吾妻ひでお等々が並ぶ。
この四人はスキですけど……庄司陽子、侮ってはならない恐ろしい作家だな。





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