Nicotto Town



オーディオ界でもアルニコは魔界


AL-Ni-Co。アルミとニッケルとコバルトの合金のこと。
ニッケルが高騰してるので民生用では殆ど姿を見なくなりましたが、
1970年代半ばまでは、磁石といえばアルニコという時代でございましたです。

アルニコは音楽業界でも一種神格化されております。
代表はエレキギターのピックアップ。磁石とエナメル線で作る単純な製品だけど、
往年の名機はみなアルニコだったので、今でもアルニコ信者は大勢。私もです。

ギターアンプのスピーカーも、アルニコ使った昔のユニットは神格化されてます。
でも昔のスピーカーは、2石ラジオもテレビも電蓄も全部アルニコスピーカー。
だから私の世代はおそらく、アルニコの音を耳が覚えてるんでしょうね。

さてアルニコ磁石のオカルト代表格は「磁力が経年変化で低下する」という説。
物理的に正しいからタチが悪い。ギター界では磁力を落としたアルニコを使い、
「あの〇〇の使う〇〇の経年変化を忠実に再現!」なんて売り方してます。

調べて気づいたけど、オーディオ界もあるんですね、似た話が。
名スピーカーの多くはアルニコなので、磁力を復活させる再着磁というのをやって
高いお金を取るお店が。もちろん効果はあると思います。ゼロではない。

ですがね。ギターのピックアップに関しては磁力低下による音変化は極小。
たまたま名手が上手に弾いた楽器のものがウン十年前のものだから、
それに憧れる連中をターゲットに商品展開している、というのが真相です。

アルニコスピーカー再着磁したら、磁力がアップした影響はあるでしょう。
でも、アンプのボリューム髪の毛一筋ほどの音量差がメインだと思うなぁ。
それならアンプのボリューム上げればいいじゃないか、と思っちゃう。

よい経年変化を『枯れる』『育つ』と表現するのはもはや、骨董趣味です。
往年の名器はそのまま鳴らせばよろしいし、欲しけりゃ現行品を買えばよい。
古いイコール音が『良い』という等式は完全に間違ってます。

しかし、です。アルニコ磁石のスピーカーの音が繊細なのも否定しない。
磁界の強いフェライトやネオジムを使うユニットを全く使ってなかったけど、
このところ手に入れたのはみな近代のもの、元気で明るい音色です。

……好きだけど、イヤじゃないけど、あと一歩、物足りないんです。
レンジ狭くてパワーも無いけど、温かく繊細に鳴ってくれるのがアルニコ。
数Wの小音量で本領を発揮すると思うんです。だから凄く欲しい。

現代のアルニコスピーカー、フェライトやネオジムの数倍の価格ですね。
私みたいなのがターゲットになってるんでしょう。でも買ってあげない。
70年代の電化製品ジャンク品を探します。楕円スピーカーも懐かしいし。

なおギター界ではフェライト磁石をアルニコに差し替える改造も一般的ですが、
スピーカーでこんなことやる人は(皆無ではないが)まずいません。
新しくニッケル鉱山が見つかり、アルニコの相場が暴落するのを待ちましょう。




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