Nicotto Town



和田アキラとGRECOの時代



近い世代の訃報を聞くのは辛いものです。
PRISM他で活躍したギタリスト、和田アキラ氏逝去。
64歳……復活すると思ってたのに。合掌、瞑目。

テクニック派というより『速弾き』で一世を風靡した人です。
ギターストーリーズという1時間番組で自己の経歴を明るく語ってるので、
興味のある方は御覧あれ。中卒という学歴は誇るべきだと思います。

70年代、日本の代表的ギターメーカーだったのはGRECO。
私の初エレキも1976年製のGRECO、未だに持ってます。
和田氏がGRECOのTVCMに出て速弾きを披露していたこともありました。

TV東京の前身、東京12チャンネルで放映していた『ROCKおもしロック』、
司会は近田春夫、スポンサーがGRECOだったんです。
20代半ばの和田氏がただ弾くだけのCMは非常にカッコよかったなぁ。

フュージョン嫌いなのでPRISMの音楽性は好きじゃないんですけど、
森園と和田という二枚看板はけっこう気にしてました。
森園氏は本質的にブルースギタリスト、和田氏は弾き倒し派。

和田氏は松木恒秀の弟子なので歌謡曲の仕事も多いのですが、
松岡直也グループの名盤『九月の風』での演奏が一番好きです。
このアルバム、大村憲司やポンタも入ってる……みんな鬼籍入りか…。

速弾きの魅力ってのは、気合の先走った力技にあると思います。
限界を超えようとしてミスや破綻があっても勢いと熱気でカバーする。
クレバーな超絶プレイが蔓延している現代、和田氏の魅力はそれとは異なる。

野呂一生や是方博邦にはちょっとクレバーな部分を感じて苦手です。
和田氏や渡辺香津美、ザッパ好きの小川銀次にも気合っぽさを感じる。
あくまで好みの問題でして、誰が上手いとか正統派とかいう話ではありません。

70年代後半だったか『ジャズ批評』誌のギター特集で和田氏が、
1ページだけアランホールズワースを採譜して奏法解説をやっている。
「特に理論なく滅茶苦茶に弾いているという感じ」という評に笑った。

共感したから笑ったんです。ホールズワースと和田氏の違いって正にソコ。
ホールズワースは『パーカー/トレーン+エヴァンス』をギターで目指したが、
和田氏はけっきょくロックの人。一音の太さや音の立ち方が魅力でした。

一聴するとホールズワースっぽいギタリストは山ほどいるけど、
気合と根性という旧世代的速弾きギタリストは減少の一途を辿ってます。
和田氏は紛れもなくそういうギター弾きでした。再度、合掌。安らかに。






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