Nicotto Town



マンハッタンJQが苦手な理由


理想に近いシステムがあるから何を聴いても楽しいのですが、
昔から嫌いなものをかけたらどうかしら、と妙な気を起こした。
最初に思いついたのがマンハッタンジャズクインテット。

んなもんジャズじゃねえバカヤロー、SJ誌も大嫌いだ……
そう思い込み、敬せずひたすら蔑視し遠ざけてたんですが、
聴かずに過ごすうち30年近く経過。そこで中古CDを買ってきた。

まあ『良い』音で録音された盤だこと。そのことは悪くはない。
頑張って2曲聴き3曲目でゴチソウサマ、口直しを頂こう。
たまたま出てきたブレイキーの『Caravan』と交代。

リバーサイドらしい響き、ブレイキーの唸り、メンツもみな好演だ。
比較にならないレンジの狭さ、でもこれがジャズだよねぇ。
再びマンハッタンに戻る。……そっか、判った、納得。

リズム(ノリ)が何演っても16なんです。4ビートでもハチロクでも。
クロスオーバー・フュージョン期に名をはせた達人揃いだから、
リズムの細分化というか、ノリの微分化が桁違い。

技術的な話なら、ブレイキーが10人いてもガッドには及ばない。
ソロフだってマシューズだって楽器を見事に操る達人です。
バークレーメソッド蔓延後の音楽家の代表なわけですが。

ガッドは4ビートも凄いと神格化する人は多いし、
ペトリチアーニトリオは私もわりと聴けますが、
耳から脳へと続く回路内で『フュージョン』と処理してると思う。

バップ~新主流派あたりを聴き慣れてしまうと、
耳も4ビートのノリに順応し、これがジャズだと刷り込まれてしまう。
近年の和ジャズの、和声感覚拡張以外の違和感の原因もコレですね。

『Caravan』のタイトル曲なんか、スゴく速いノリなんですけど、
根底に4ビートが沁み込んでるメンツだからノリが違う。
ショーターも基本そっちの人だからウェザーでも聴けるのかも。

判明したのでマンハッタンJQは卒業決定、娘にでもくれてやろう。
お別れの前にもう一度、悪名高い『Sidewinder』を聞く。
嗤いながらやってるみたいな演奏だ。でも未だに日本で商売できている。

きっとこれはジャズを感性や主観から切り離し、他分野の成果を導入し、
再構築したポストモダン的『ジャズ』なのでしょう。そう考えよう。
頭のいい、上昇志向の人が聴くべき音楽だ。私は生涯無縁。




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