Nicotto Town



2つの『平和のかけら』


ウクライナとロシアにも、イスラエルとハマスにも、ミャンマーにも、
一切関心がアリマセーン。『Peace piece』という曲のオハナシ。
オリジナルはビルエヴァンス、1958年にソロで録音した人気曲。

けさNHK-AMの『音楽の泉』でベートーヴェン聴いてたら、
余った時間に『Peace piece』がかかり、ぶったまげた。
ただし勿論クラシック屋、イゴール・レヴィットというユダヤ系ロシア人。

録音も良く、原曲を尊重してるのも分かるけど、何でしょ、微妙な違和感。
それこそがジャズとクラシックの違いなのだと気づくわけでして、
インプロヴァイズとコンポーズの深くて決して渡れぬ溝だと思うわけです。

エヴァンスは生前『Peace piece』を称賛する批評家に、(本音かはワカランが)
「努力はするんだが、同じように弾けたためしがない」とこぼしたそうな。
インプロってそういうもんです。自らの名演の模倣に何の意味もない。

エヴァンスを引っ張り出し聴く。のっけから没入する。
後半のアブストラクトなフレージングすら、そうでなければならぬという、
生の不可逆性と一回性に賭けた、ただ一度の脆く無防備な煌めきに感じる。

エンディング、終わってしまったという心残りと共に、
終わってくれたか……という、そこはかとなき安堵も胸をよぎる。
この寸止め加減もエヴァンスのリリシズムというヤツだろうか。

再びレヴィットのテイクを探して聞く。録音が上手いなぁ。
よく譜面におこしたものだ。好きなんだろうなー。
ドビュッシーとラベルとサティと似たベクトルで捉えてるのかなぁ。

一般の音楽好きに双方を聴かせ、どう思うか訊ねてみたいものです。
八割がレヴィットを選ぶだろう。濁りの無さがいかにも現代的だし。
レヴィットのは祈り、エヴァンスのは呪詛だと妄想するのは私だけかも。




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