Nicotto Town



或る革命戦士の訃報に接し



ヤクザも右翼も嫌いだが、まだ理解はできる。
彼らは暴力を経済に繋げるエキスパートですから。
金にならない暴力のバカバカしさを理解している。

左翼というのはもう、ワケワカラン人種ではございます。
とにかくセクト作り革命ゴッコやりたいんだなとしか思えない。
ましてや反日闘争という単語を叫ぶ日本人に至っては理解不能。

さて、東アジア反日武装戦線のメンバーだった桐島聡の告白を聞き、
誰がどう思ったのかにも関心はない。
捜査関係者は無念の思いを吐露しているが、それもヤクザの論理と大同小異。

半世紀にわたり名を捨て係累にも近づかず組織の援助も受けず、
偽名で成人後の人生の大半を過ごした。彼の人生は何だったのか。
存在意義を知りたくて、死の病床で告白に至ったのだろうなぁ。

セクトの信条が一市民を偽装した革命闘争資金作りだったから、
それを忠実に守って雌伏の時を過ごしていたのだろうか。
そんなわけはなかろう。どうやら職人として働いていたようだし。

私はアナキストなので常に与党に票を投じ(判りにくいですね)、
そこから得られる利益や権益を存分に生かさせていただき、
享楽的人生を過ごしているのだが、その根底は彼と大差ないと思う。

社会における自己と本質的な理想の自己に生じる乖離を、
自己同一性を保ったまま使いわけ、オモシロオカシクタノシク暮らす。
文明社会に生きる庶民として、これ以上ない生き方だと自負している。

私はあらゆる主義主張思想、宗教イデオロギーを忌避しているのだが、
中世の無常観と仏教思想の混淆物みたいなものを漠然と好んでいる。
桐島聡にとって、組織の思想はそういうものだったのだろうか?

おそらく半世紀の間考え続け、そこに正しさ/善を見出そうとして、
失敗したのだろうと妄想すると、こちらが泣きたくなる。
マスメディアはいっさい忖度しないだろうが、それこそが辛く哀しい。

善人なおもて往生を遂ぐ、いわんや悪人をや。
きみは悪から善をつくるべきだ。それ以外に方法がないのだから。
親鸞やロバートウォーレンのことばが脳裏をよぎるだけである。

大学の同級だったFは高校時代から左翼活動に憧れ、二浪して明治に入り、
キャンパス近くの汚いアパートで暮らしていた。
マルエン選集やエロ本が散乱する中には腹腹時計のコピーもあった。

バイトを休み必修に出るため大学に顔を出すとロックアウトの真っ最中。
ヘルメット被ったFを見つけ様子を聞いた後、麻雀に誘いボコボコに負かした。
「オレの闘争資金がぁー…」と嘆くFや同志を誘い、Fの金でボルシチを奢った。

前衛やアバンギャルド系音楽の周辺にはサヨク系の人が多い。
彼らはイデオロギーによるオルグ活動が好きなだけであり、
人生の意味や生きる楽しさというものを教えていないのであろう。

話が散らかったのでこのあたりで止めましょう。
親族の一人が「死ぬ時まで偽名でいてくれたら」と立腹したそうです。
その方の言葉は真情でしょう。でも桐島の末期の言葉も真情だったと思いたい。




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