Nicotto Town


エレウシス


この季節に思うこと

僕は杉の木です。

僕が植えられたのは戦後すぐでした。

あの戦争の後、街では木材が不足して
山の木は悉く伐採されていきました。

でも、そのままでは山はすぐ死んでしまいます。
そこで、山里の人達は
成長も早く、加工もしやすく、建築材に使いやすい
杉の木を植えることにしました。

本当は元通りの広葉樹林が良かったのですが
時間もかかりますので、
土砂崩れなどの災害を防ぐためには
余裕がありませんでした。

それでも山里の人達は
僕たちを丁寧に育ててくれました。

まっすぐに育つよう、枝を切り
下草を払い、手間をかけてくれました。


だけど、だんだんと時代が変わってきます。

街の人は、安いからと外国から木材を輸入するようになりました。

山里の人たちは山を守るだけでは生活が苦しくなり
若者は街へ降りて行き、人が少なくなりました。

街では人が増え、車が増えます。
やがて、その排気ガスが僕たちの花粉と組み合わさると
アレルギーを引き起こすようになりました。

その症状は「花粉症」と名づけられました。

街の皆は、原因が僕ら杉の木だと
責めるようになりました。

石原慎太郎とか言う人は
日本の杉を全部切っちまえとか言いました。

僕らが山の保水を担い、ダムなんかよりも
遥かに洪水を抑えているのに。。。

公害が起きた場合、
カネミ油症、サリドマイド事件、四日市ぜんそく、など
原因となった企業や地名で呼びます。

なのに昔からあるのに巻き込まれただけの
僕たちの名前で呼ばれるんでしょう。
僕たちが悪者になってしまうのでしょう。

山里の人達はだれも花粉症になりません。
花粉症の人も山里の空気の中では
発症しません。

それだけでも、僕たちが本当の原因じゃないのは
わかってもらえると思います。


ヒノキ君やブタクサ君も泣いていました。

どうして、僕たちが悪者にされて、
本当の原因のT○Y○TA症とかH○NDA病とか呼ばれないんでしょう、と。

僕たちは街の人のために
山里の人達と一緒に、一生懸命育ってきたのに。

今は街の人達にいらない子とされてしまいました。
僕らはこれからどうすればいいんでしょうか。

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2016/03/13 14:02
☆そら さん
 街は水と空気も汚れていますね。
 だから、食い物の美味さは絶対に田舎には勝てん。
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2016/03/13 14:01
☆アビゲイル さん
 街の生活者の身勝手さは、結局自分に返っていくのです。
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2016/03/12 17:13
「汚れているのは人の心なんです!
このもの達のせいでは無いのです!!
なんで・・どうして・・」
と・・ナウシカをパロってみました・・。
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2016/03/12 08:19
みんな人間の身勝手さに行き場や存在意義を失いかけているのですね;;

すごくわかりやすいお話しでした。



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