まず…
驚くべきことに昨年１２月初めに封切られた映画版「けいおん!」の上映がまだ続いているというのです！

なんでも今年１月以降、地方都市を中心に新たに上映する映画館が増え、今現在上映終了した館も含めるた上映した映画館数は封切り時の二倍になっており、今月中旬までは途切れることなく上映が確定してるのだとか…
内容面に関しては満足度が高い好評な半面、コレクター性の高い数十種類の前売り券を販売したり何度も観に来た観客に景品を渡すようなリピート商法がえげつないと悪評が立っていたりと、悲喜こもごもな状態だそうですが、ソフト化されたら是非レンタルして観てみたいです！


原作が４コマ漫画なので、４コマ好きの自分も読んでいます。「けいおん!」は萌え系４コマ誌である芳文社「まんがタイムきらら」系列の連載なのですが、読んだ感じでは他のきらら連載作品に比べて萌え系の雰囲気が薄い異色作のように見え（萌え系４コマを敬遠してる自分が読んでること自体異例に思います。）、正統４コマ誌といえる（最近は萌えと正統の境界線が崩れてる感じがしますが…）「まんがタイム」系列に連載しても遜色ないしっかりした作品と思ってます。

アニメ版の１期目はその原作をうまくつなぎ合わせているため大変面白かったです。…が二期目が話数が一期目の二倍になったため原作のストック数を補うためかオリジナルストーリーが増加し原作ベースとの話と一緒に順々に見てても１期目よりもテンポがバラバラな感じに見えました。（「けいおん!」はストーリー漫画要素の濃いストーリー４コマに属するのですが、４コマである為に各４コマをつなぎ合わせた原作ベースの話とオリジナルストーリーとではどうしても温度差が感じられてしまうんです。実際ほかの４コマ作品原作のアニメも通常アニメに比べて大変独特なペース・テンポで展開しているように思います。）

内容面としての個人的感想はこんな感じです。「けいおん!」は皆が知ってる通り各キャラの使用楽器までが売り切れるほどの社会現象とも言うべき大ヒット作品となっているわけで、けいおん関連のＣＤがオリコンを席巻したには大変驚きました。

…が自分が最も驚いたのはアニメ「けいおん!」の舞台になった学校のモデルがが滋賀県の豊郷町立豊郷小学校だったということにあります。
というのも、この小学校は約１０年前に一躍全国の注目を浴びることとなった大騒動「校舎改築問題」の舞台になったからです。（本当は今回「けいおん!」を発端にこの事件メインの記事にするつもりでした…）


…時は９９年、当時の町長が老朽化と耐震性を理由に旧校舎を取り壊して新築することに地元町民の過半数が反対したことからこの騒動は始ります。反対の理由として旧校舎講堂が日本の西洋建築史において重要なアメリカ人設計師によるもので貴重なものであるということなのです。反対派は「豊郷町の歴史と未来を考える会」を設立して校舎取り壊し差し止めの仮処分を裁判所に申請し認められたのですが、なんと町長はその校舎差し止めの仮処分を無視して取り壊しを強行し（まるでやくざの所業であり行政首長のやることとは思えない）、校舎を舞台に解体作業員と反対派ともみあいの末（作業員が反対派を暴行したという…）反対派が旧校舎に籠城する事態になります。
この事件は全国の知名度を浴び、当時中学生だった自分もニュースでこの事件に釘づけとなりました。籠城までの経緯の映像がまるで東大安田講堂攻防戦における全学連と機動隊の抗争を彷彿させるような強烈な印象を受けたのを今でも思い出します。
この騒動により警察沙汰になり、さらに町長のリコールにまで発展し、結果として旧校舎・講堂の保存が決まったわけです。（町長はリコール選挙で再選し、その後滋賀県知事選に立候補するも落選（滋賀県知事は知っての通り環境保護派）、今は県議会議員になっているとか…）
その後しばらく世間から忘れ去られてましたが、アニメ「けいおん!」の放送により再び豊郷町と小学校が全国的注目を浴びることになり、豊郷町の重要な観光資源になっているわけです。なんでもアニメの舞台になった場所をファンが訪れるいわゆる「聖地巡礼」のアンケートで３位になっているのだとか…


ちなみに去年４月上旬に大垣～滋賀～京都～大阪を自転車旅行した際にここを通ったので旧校舎寄ってみたのですが、この小学校の旧校舎が豊郷町の観光の要になっている感があり、「けいおん!」に依存してる現状況のままブームが去ったらまた元の木阿弥なんだろうなあと思いました。

同時に「けいおん!」人気から一度は完結した連載も卒業組の大学編とアズにゃんを中心とする後輩の高校編が二正面展開で再開されており、これも大変面白いのですが（いずれ第三期なんて話もきっと持ち上がるのでしょう。）その反面終わるに終われない垂れ流し状況になって作者が「けいおん!」だけで消えてしまわないか心配になります。

きちんと綺麗な形で区切りをつけ、双方が共倒れにならないことを願っている次第であります!!