Nicotto Town


つくしのつれづれノート


ななつのこ 駒子シリーズ

昨日読んだミステリー作家加納朋子の急性白血病の闘病記「無菌病棟より愛をこめて」に触発され、加納朋子のデビュー作である「ななつのこ」をはじめとする駒子シリーズ(ナンバリングタイトルは「ななつのこ」「魔法飛行」「スペース」  どれも日常の謎ジャンルのミステリーの典型タイプ)を読みかえしています。



以下は簡単な内容(ただし「魔法飛行」以降は「ななつのこ」のネタばれを前提に話さねばならないため伏せておきます。)

表紙のイラストに惹かれて手にした童話集『ななつのこ』(ややこしいので加納朋子の小説は「ななつのこ」、作中の童話集は『ななつのこ』と表記)にゾッコン惚れした短大生の入江駒子は作者佐伯綾乃に身近に起こった事件を交えたファンレターを書いたところ、なんと事件に対する想像という形で解決編をしたためた返事が返ってきた。こうして駒子と綾乃の不思議な文通が展開され駒子の日常が色鮮やかなものになっていくのだが、実はこの綾乃の手紙には意外な秘密が隠されていて…
《登場人物》
・入江駒子…主人公。短大生の19歳。(駒子シリーズ開始当初)童話集「ななつのこ」に惚れ込み作者佐伯綾乃にファンレターを出したところから素敵な出ごとが展開されていくことになる。ちなみに駒子のネーミングは川端康成の「雪国」の登場人物「駒子」が由来だとのこと。
・愛ちゃん・ふみさん・たまちゃん…駒子の友人
・佐伯綾乃…童話集『ななつのこ』の作者。駒子が書いた事件を交えたファンレターに対して解決編をしたためた返事を返したところからこの文つめいたやり取りが展開されるのだが、実はこの綾乃には秘密があって…
・瀬尾さん…天文オタクの青年。天文イベントのためにバイト三昧の日々を送っているが、洞察力と推理力は抜群!駒子と幾度となく遭遇することになる。



この駒子シリーズ第一弾「ななつのこ」は第三回鮎川哲也賞を受賞した加納朋子のデビュー作なのですが、もともと敬愛する北村薫に送るために書かれたものだということです。
そして最新作である闘病記「無菌病棟より愛をこめて」から垣間見れる加納朋子の家族構成は主人公入江駒子の家族構成と同じであり、童話集『ななつのこ』に惚れ込んだ駒子がファンレターを作者に出す有様は、北村薫に推理小説「ななつのこ」をファンレターとして書きつづった加納朋子心情をを反映しているものだということがよくわかります。まさに「ななつのこ」の入江駒子は加納朋子の分身ともいえるかもしれません。

自分自身も加納朋子作品は大学時代に表紙のイラスト(この時購入したのは後の深夜ドラマ「てるてるあした」の原作の一つである「ささらさや」。この表紙・挿絵はイラストレーター菊池謙によるものであり、加納朋子作品の大半はこの人によって描かれてます。駒子シリーズも同様。)に惹かれて衝動買いしたことがきっかけになっており、(さらにそこから読書中毒に至るわけで…)主人公入江駒子のことに関しては決して他人ごとに感じられないんですよね。


ちなみに駒子シリーズのナンバリングタイトルは「ななつのこ」「魔法飛行」「スペース」の三作品なのですが、番外編が存在します。
それが作中で駒子が惚れ込んだ童話集『ななつのこ』を具現化した絵本「ななつのこものがたり」であり、加納朋子の文章とイラストレーター菊池健の絵で構成されています。(ちなみに『ななつのこ』の内容自体は「ななつのこ」の作中で垣間見ることができます。)菊池謙のイラストは大変温かみのある優しい絵をしておりグッズを集めるほど好きなんです。(猫をはじめとする動物の絵が大変印象的です。ちなみに菊池健の絵ハガキなどのグッズは東京神田のレンタルボックス(箱貸し)専門のお店B-spaceで購入することができます。)


現在「七人の敵がいる」がドラマ化され加納朋子作品が再び注目を浴び、新作「無菌病棟より愛をこめて」が発表されたものの闘病記であるため、いやがおうにも新作の推理小説が待ち遠しくなります。
自分は気長に待ってます。
なぜなら自分にとって加納朋子作品は特別だから…





Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.