Nicotto Town


つくしのつれづれノート


コクリコ坂から 

昨日DVDリリースされたジブリ映画「コクリコ坂から」
仕事帰りにレンタルで早速借りてきました!!
まあ去年の上映時も観たんだけどね…


内容
60年代初頭の横浜山手…高校にあるオンボロ部室「カルチェラタン」(明治創建の由緒ある建物だが男たちの魔窟と化している。)の取り壊し反対運動の中出会った松崎海と風間俊。
二人は互いを意識し相思相愛になるも、コクリコ荘(海の家・下宿屋)のパーティーで海が見せた父親の写真がもとで二人は兄妹ではという疑惑が浮上。
果たして真相は?二人の恋の行方は?
カルチェラタン取り壊し反対運動を軸に物語は展開する…



監督は「ゲド戦記」で悪評著しかった宮崎吾朗(宮崎駿の息子)ということで、当時構えて観たのですが、意外によくできており「ゲド戦記」より面白かったです。時代が東京オリンピック前の1960年代初頭ということで当時を生きた世代からの指示が高いとのことです。

…がカルチェラタンの保存運動(ジブリのオリジナル設定であり原作にはない。)が中心になり過ぎて海と俊の恋愛方面の描き方がジェットコースターストーリーみたく唐突であり、すごく雑な感じでした。実は兄妹かもって告白する場面の軽いBGMがダメだし、尺が短いためにそのあとたとえ兄妹でも好きと告白する場面も薄っぺらくて今ひとつグッときませんでした…
上映時間が91分とかなり短く、上映時間を120分ちょっとにして海と俊の恋愛模様をもっと丁寧に描いてほしかったのが本音です。

これはファンタジーや活劇に強い父宮崎駿(各所活劇調の展開が見られます。)と現実路線まっしぐらの息子吾朗(「ゲド戦記」を見る限り感性は父駿よりも高畑勲のに近いと思います。)の180度違う感性のぶつかりあった結果、各所にバグが生じたのではないかと思いました。今回の「コクリコ坂から」については宮崎駿が企画以外に脚本・ポスターと深入りしなければもっと完成度が高まったのではと残念でなりません。
第一本編と宮崎駿直筆のポスターとでは大分印象が違いますし…

終盤二人の出生の秘密を知る写真の第三の人物の突然の登場はあまりにもご都合主義に見えましたし、だからこそ海たちと第三の人物との別れのシーン~明らかに「天空の城ラピュタ」のパズー・シータとドーラ一家の別れのシーンを流用したような演出(他にもキキの旅立ちを連想させるシーンなど各ジブリ作品へのオマージュが見られます)~がとても薄っぺらく見えました。
正直二人の感性が混ざってカオスになってるようにも思います。
吾朗監督が次に新作を作るならば父宮崎駿とは完全に一線を引いた方がもっといい作品を作れるのではないでしょうか。



それと映画を含めパンフレットにも説明がなかった海の父親の死~朝鮮戦争の輸送任務中の触雷で死亡したとなっているが、当時自衛隊も発足してない時期にどういう状況で海の父が戦場に赴いたのかということ~に至る当時の状況についての説明が大変不親切に思いました。
劇中ではLSTの一言で片づけられていますが、このLSTは朝鮮戦争の国連軍(アメリカ軍)の戦線維持の補給の為になんとGHQが日本から強制動員した民間出身の補給部隊だったのです。約5000名の民間船員が動員され多数の殉職者を出したそうです。海の父親もこの補給活動の殉職者の一人だったのです。(ちなみに極秘で旧日本海軍の掃海部隊(当時海上保安庁管轄)が参加したことは有名であり、この組織が海上自衛隊になる為海自は実質的な日本海軍の末裔にあたる)この事実に行きついたときGHQのマッカーサーを不快に思いました。
ちなみに海の父たちは写真の制服姿から、海軍予備士官の義務を持ったと高等商船学校の出身だと思われます。恐らく太平洋戦争時、海軍将校として戦争に動員されていたはずです。


あとエンディングテーマ「さよならの夏」は森山良子の歌のカバーだとは知りませんでした。(同名テレビドラマの主題歌だったとか…)作曲は…

って連続テレビ小説「おしん」に大河ドラマ「おんな太閤記」「いのち」「春日局」の坂田晃一じゃあないか!!(全部橋田壽賀子作品…「渡る世間は鬼ばかり」の作曲もこの人だったはず・・)

驚きましたよ、まったく…


驚いたといえばこの「コクリコ坂から」が元々95年「耳をすませば」の対抗規格だったということ。もし「耳をすませば」の近藤喜文(本来スタジオジブリの後継者と目されていた人物で、作画監督を務めた「もののけ姫」の翌年急死。彼の死から今のジブリの迷走が始まることとなる。)が監督していれば評価が大幅に変わっていたかもしれません。

…と悲喜こもごもな本作ですが、
ラストの旗流信号(海)と汽笛(俊)でお互いを呼び合うシーンはとてもよかったです。
できればそこに至るまでの二人の恋の行方をもっと繊細に描いてほしかった…(しつこい(苦笑))







↓今更ながら以下はネタばれ含みます。見てない方は注意!!












結局ラストで血がつながってないことがわかりますが、戸籍上実の兄弟という扱いは変わらないので(好きあっても結婚できない…)結局何の解決にもなってないのでは…という疑問が湧きました。(これ劇中で投げかけたらドン引きもので、映画が台無しになるでしょう(苦笑))

ということで調べてみたのですが

・戦後すぐの混乱期のどさくさで海の父母との間の嫡出子として虚偽の届出をしていること
・その届出の提出当時海の母は海を妊娠中であり、事実上二人の子供として届けることは不可能(少なくとも母の実子でないことは明白)
・友人の証言により父の浮気によってできた子供ではないことも証明可能

という点を裁判所に申し立てをして戸籍の訂正(俊の出生を松崎家の実子から養子への訂正)が法律上可能なのだそうです。
こうすれば二人の多くの友人に祝福されての結婚も可能ということになるわけです。やったね!!

…まあここまでしたら離婚は絶対にできないですよね(笑)













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2012/06/21 15:18
琴神 梓**ノノ 様へ…うおおおおお…主題歌でちょっと触れたつもでしたが、まさか橋田壽賀子一色のコメが帰ってくるとは思いませんでした。(笑)
松島奈々子つながりで大河の世界へ入ったということでしょうか?「としまつ」のヒロインですからね。


それにしても橋田壽賀子はすごいですよね。脚本担当の大河は3本とも平均視聴率約30%をマークしてますし、連続テレビ小説「おしん」は平均視聴率52%・最高62%の日本テレビドラマの頂点に君臨する最高傑作になってますからね。(まあ朝ドラゆえの視聴率なんですが…)

ちなみに自分の橋田作品1番は橋田自身の自伝ともいえる連続テレビ小説「春よ来い」です。(ユーミンの同名の主題歌が有名です。)まあ、安田成美のドタキャンで主役が途中交代してしまいましたが…
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2012/06/21 14:41
橋田壽賀子さんの作品で1番好きなのは「百年の物語」です!!

最初は松嶋菜々子さんが好きだったんでそこからコッチに入ってきました^^
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2012/06/21 11:54
江戸錦様へ…自分も「コクリコ坂から」以降宮崎吾朗の評価は一変しました。しかし父駿よりも高畑勲に師事したほうがいいかの知れませんね。
LSTの説明はわざわざ本編でする必要はありませんが(朝鮮戦争中の輸送任務で従事してたのは明白)劇中の絵とCV・スタッフのインタビューや論評ばかりで、ストーリーや当時の世相についての説明が全くなされてなかったのが腹立たしく思いました。買って損したということです。

あと海の父親ですが、自分も映画を見た当初は海軍将校養成学校である海軍兵学校出身の海軍軍人だと思ってたんですが、制服の特徴から(制帽の紋章が錨ではなく海保の星っぽいマークであること、袖に三つ釦がついている。)高等商船学校出身者であると自分は断定してるわけですが、海軍予備士官の義務があったので海軍将校として太平洋戦争に出征してるはずです。
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2012/06/21 06:49
ブログ広場からお邪魔します。

私もコクリコ坂は吾朗監督ということで、かなり構えて観に行ったのに素直にまとまっている作品の出来にびっくりした覚えがあります。
あと、吾朗監督ってことで誘っても誰も一緒に観に行ってくれなかったりもしました(笑)

吾朗監督はまだまだ「恋愛」を描くことに照れがあるような気がしますね。

海の父親の話はパンフレットを買わなかったので初耳でした。てっきり職業軍人の方だとばかり思ってました。
そこら辺の説明は欲しかった気もするけど、気にせずに見れていたってことは無理に説明するべきところではないのかも知れませんね。




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