射鵰英雄伝!!
- カテゴリ:テレビ
- 2012/07/09 01:21:20
「射鵰英雄伝」!!
この間書いた読書ランキングのコメントでなぜかこの小説に対するものが集中してたので
、以前書いたブログに手を加えたバージョンをにしてリボーンさせました。
一言でいうと「射鵰英雄伝」は中華圏で知らぬ者はいないといわれる小説家金庸(魯迅に匹敵する文豪と中国では評価されてます。他に西のトルーキン(「ロード・オブ・ザ・リング」こと「指輪物語」の作者ですよ!!)東の金庸なんて文句もあるわけで…)による、チンギスハーンの勃興期の中国(南宋時代)を舞台に青年侠客郭靖の成長を描く冒険活劇です。
この作品は「武侠もの」と呼ばれるいわゆるカンフーものなのですが(大ヒットしたチャン・ツィイーの映画「グリーン・ディスティニー」も武侠ものであり「射鵰英雄伝」も凄まじいワイヤーアクションを展開します。)単なるアクション小説ではなく、大河ドラマ・恋愛・愛憎劇など様々なジャンルが盛り込まれておりハマる人とことんハマります。
まさにエンターテイメントの宝庫!!
≪以下は冒頭のあらすじ≫
女真族が建国した金の襲来によって北宋の領土の半分を奪われた13世紀初頭の南宋中期、共に臨月の妻を持つ義兄弟の郭嘯天と楊鉄心の一家はある雪の夜、官兵の襲撃を受け離散してしまう。郭と楊の知り合いの道士丘処機は行方不明の二人の臨月の妻たちを探す途中、侠客集団の江南七怪と諍いを起こし、決着と付ける為に「郭と楊の妻と生まれたはずの子供をそれぞれ見つけ出して武術を教え子供が18歳の時に試合をさせて勝ち負けを決める」勝負を持ちかける。
丘処機は金の王子として育てられた楊鉄心の子楊康(完顔康を名乗る)の母子を、江南七怪はモンゴルのチンギスハーンの加護のもと育った郭嘯天の子郭靖(登場遅いけど主人公ですよ!!)の母子を見つけ出し、それぞれ武術を教える。
やがて18歳になった郭靖は丘処機と江南七怪の約束を果たすべく、金と南宋が割拠する中原(中国の領域のこと)に旅立ち、この「射鵰英雄伝」は波乱万丈に大展開していく…!!
…このあらすじ書くのに相当時間がかかりました。というのもこの作品は登場人物が多いうえにそれぞれが複雑な相関図を形成している為、一言で説明しづらいところがあるのです。(そこがこの作品の最大の魅力!!そしておやじキャラがめちゃくちゃ多くて主人公以上に魅力的かも❤)そして沢山の脇役たちがこの物語を盛り上げるため(多くが冒頭の時点で登場していないため説明できないのが悔しい!!メインヒロインもせつめいできないよ~(泣))金庸の小説の中でもトップクラスの人気を誇ります。
その人気の為、これまで何度も中華圏で映像化されているものの、あまりに壮大過ぎていつも中途半端な結果になってしまう題材だったのですが、今回自分が紹介するのはその中途半端な映像作品群を吹き飛ばす原作を忠実に映像化した2002年版のドラマ「射鵰英雄伝」です。
このドラマは2004年にケーブルテレビで放送されたのきっかけに多数の中毒者を出し(自分もその一人。しかも各話踏ん切りをつけずに突然エンディングを迎えるので続きが気になってどんどん引きずり込まれます!!)、韓流ブーム程ではないものの「華(ファ)流ブーム」を作り出しました。
日本での発信源がケーブルテレビのためブームは小規模だったのですがドラマ「三国志」や「孫子兵法」の日本での人気も、この「射鵰英雄伝」とそれ以前に封切られた武侠映画「グリーン・ディスティニー」の影響を少なからず受けているところがあります。
興味をお持ちの方は是非観てください。マジ面白いです!!
ちなみに自分はケーブルテレビでの放送でハマり、原作小説とDVDBOXを一気に揃えてしまいました!!
TUTAYAにはDVDが置いてあるみたいですから比較的観るのはたやすいと思います。
ちなみに「射鵰英雄伝」のタイトルは、毛沢東が英雄チンギスハーンを称える内容を書き連ねた漢詩から採られています。
作中のチンギスハーンは主人公郭靖にとって父親みたいな存在なのですが、モンゴルの勢力拡大を推し進めた侵略者でもあるわけで、英雄というものは正義の一言で片づけられるものではないということことがしっかりと書かれており、
その為に毛沢東を暗に批判する内容だといわれます。
タイトルは毛沢東を完全に皮肉ってるわけです。
金庸は当時イギリス植民地であった自由主義の香港の人ですから、共産主義の毛沢東に対して複雑な思いを抱いていたのかもしれません。
そして「射鵰英雄伝」には続きが存在し、「神鵰侠侶」(邦題は「神鵰剣侠」 「射鵰英雄伝」の次世代を描いた恋愛もの)・「倚天屠龍記」(「射鵰英雄伝」より百数十年後の元末明初の時代)とで俗に「射鵰三部作」と呼ばれるシリーズを構成しています。
さらに「射鵰英雄伝」より百年前の北宋時代を描いた「天龍八部」では「射鵰英雄伝」にまつわる組織やご先祖様が結構登場します。
いずれも中華圏で何度もドラマ化されてますが、一番のおススメは上記の2002年版「射鵰英雄伝」のスタッフで製作した2003年版「天龍八部」です。
「射鵰英雄伝」に代表される武侠ものを通じて中国時代劇に思いをはせるのも中々オツなものですよ!!