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つくしのつれづれノート


七人の侍

1954年に公開された時代劇映画「七人の侍」は黒澤明監督作品の中の最高傑作であり、自分の最も好きな映画です。
ビデオテープに録画しDVDを購入しただけでなく、
大スクリーンでの上映会にも度々足を運んでいます。


「七人の侍」は、日本映画の最高傑作どころか世界映画史上3本の指に入るとも言われ、207分(約3時間半!!)という長大な映画なのにもかかわらずハラハラドキドキする展開に手に汗握り、あっと言う間に時間がが過ぎていきます!
本当に面白い!!



その「七人の侍」あらすじは以下の通り

戦国時代―あいつぐ戦乱とその戦乱が生み出した野武士の横行、ひづめの轟が良民の恐怖の的だった―その頃
毎年のように野武士の襲撃を受けていたとある農村の百姓達は浪人を雇って次の麦が実る頃にやってくるであろう野武士を返り打ちにしようと考えた。
百姓の願いを聞き入れた最初の浪人・勘兵衛はたちまちのうちに賛同する浪人を集めて自分も含めた七人で村にやってきた。彼らは百姓たちに竹槍を持たせて軍事教練をする傍ら、村に柵や堀を巡らした要塞化を施して野武士たちを待ち構える。戦のプロとして大を守るために小を切り捨てる侍と弱者と言いながら落ち武者狩りを平然と行う百姓たち。初めは互いに反発しあってた両者も互いに打ち解けていくようになる。
やがて麦が実り刈入れ終わった頃、騎馬に乗った野武士の軍団が攻めてきた。
ここに七人の侍に率いられた百姓たちと何十人で徒党を組んだ野武士の軍団との壮絶な死闘の火蓋が切って落とされた…!!

登場人物 

≪七人の侍≫
・勘兵衛(志村喬)…初老を迎えた歴戦の武士で七人の侍のリーダー。他の同志は皆勘兵衛の人柄を慕って集まった。誠実温厚な半面規律を乱す者には容赦しない。戦国時代の剣豪・上泉信綱がモデル。
・勝四郎(木村功)…裕福な身の上にも関わらず夢を追いかけて家を飛び出した少年武士であり半人前。師と仰いだ勘兵衛についていく中で経験する様々な出来事を敏感に感じ取る。村娘志乃と恋仲になるこの映画唯一の恋愛担当(笑)
・五郎兵衛(稲葉義男)…勘兵衛の人柄に惚れ込み同士に加わった。穏やかな性格だが軍学に長けた兵法者であり、勘兵衛の参謀として野武士と戦う。モデルは戦国時代の剣豪・塚原卜伝
・七郎次(加藤大介)…同志を探す街中で再会した勘兵衛の忠臣。過去に落ち武者狩りにあったことに対する憎しみは激しいものの、野武士との戦では常に百姓を励まして戦に臨む。七人の侍中唯一の槍使い。
・平八(千明実)…五郎兵衛に誘われて同志に加わった愛想のいい侍。剣の腕は中の下だがへこたれずにユーモアに溢れ冗談を絶やさない為、苦境の時の支えになると期待された。ところが…
・久蔵…(宮口精二)修行の旅を続ける凄腕の剣客。街中での決闘をしていたところを勘兵衛に見初められ仲間になった。強さだけを追い求めいつも無表情だが根は優しい男。モデルは剣聖・宮本武蔵もしくは柳生十兵衛
・菊千代…(三船敏郎)七人目の侍。大太刀を引っ提げた山犬のような荒々しい浪人。型破りで底抜けに明るい熱血漢。百姓出身の孤児として育ったことから当初は仲間とみなされなかった。しかしその中途半端な身分が侍たちと百姓たちの絆を築くうえで重要な役割を果たすことになる。
≪百姓側≫
・利吉(土屋嘉男)…この映画の百姓側の主人公で野武士に深い恨みを抱く青年。用心棒の侍を雇うのに最も積極的で自分の家を侍たちに明け渡して世話をしている。野武士を恨む理由を侍たちに隠しているが、その事が後に悲劇を起こすことに…
・志乃(津島恵子)…大勢の用心棒の侍がくることを恐れた父親によって髪を切られ男装を余儀なくされた村娘。ふとしたことで勝四郎に男装がばれたことをきっかけに勝四郎と恋仲になる。純朴でありながら情熱的な少女。


 

 
1952年に名作「生きる」(主演:志村喬)を完成させた後に黒澤明が志したのは従来の歌舞伎などの型から外れたリアルな時代劇であり、数々の案の中から実在の剣豪列伝と彼らが武者修行中の糧としてやっていたとされる農村の用心棒の要素を合わせたのがこの「七人の侍」だそうです。
映画のリアリティを追求するために主要キャストの大半を時代劇未経験の役者で固めたり、戦が展開される農村のセットを一個丸々作り上げ、各地でのロケを中心に撮影をしたそうです。そこで繰り広げられるアクションも現在じゃ考えられない危険なものばかり。騎馬に乗った野武士たちが猛スピードで駆ける場面は旧陸軍騎兵を真っ青にさせるものだったり、野武士の砦を焼いたら山火事になってしまったり、弓を射る場面では安全装置の不良で生身に矢が突き刺さって大怪我を負ったりと、とんでもないエピソードが伝わっています。

それもこれも監督黒澤明の完璧主義によるところなのですが、このような無茶苦茶がそのまま続くはずもなく半分撮ったところで当初の予算が尽きてしまいました。そこで黒澤は撮ったとここまでを映画会社の上層部に見せ、続きが気になるところで映像が終わった途端(野武士が襲来しいよいよ戦が始まるというところ)「ここから先は一コマたりとも撮ってないから金を出せ」と言ってなんと追加予算を出させてしまったのだそうです。
そんなこんなで撮影期間は当初の3ヶ月から延びも延びたり約1年!!この映画の成功後黒澤映画はますます凄くなるわけですが、その莫大な予算と製作期間の長大化が問題視され65年の「赤ひげ」(製作の遅れで64年の公開ができなくなり、その穴埋めにその年のゴジラ映画が二本つくられたという逸話があります。)の後、日本映画界から半ば締め出されてしまうことになります。


 こうして完成した映画は国内外問わずに大ヒットし、西部劇「荒野の七人」のような翻案・オマージュ・パロディ作品は数知れず…(七人のスペシャリストが集まって活躍するストーリーの原点だそうです。)クライマックスの雨の中の決戦は大迫力!白黒時代の古い映画ですが白黒ゆえに映像表現が強烈で、一度見たら忘れられません!!(このシーン、真冬の降雪でセットに積った雪を溶かした後に雨を降らせて撮ったのだとか。)

この映画の最高の観方はスクリーンで見ること。(映画なので当然とはいえ古い映画ゆえなかなか難しい…)

この映画一本で映画十本分の充実感と満足感が得られます。
その面白さはハラハラドキドキする展開に、思わず手に持ったパンフレットを握りつぶしてしまうほどです。 

その為家でも散々観ているわけですが、大スクリーンでの上映会があると足を運んでしまいます。
以前鎌倉での上映イベントの際に主要キャストの土屋嘉男(黒澤映画とゴジラをはじめとする円谷特撮作品の常連であり、日本の宇宙人のイメージを定着させた張本人。ちなみに上記のキャスト中存命なのはこの人だけです。今年八月に津島恵子が亡くなったのが凄く残念!!)の公演を聴くことができ、大変感激したのを思い出します。

この先この映画を超える作品は日本では絶対出てこないと思います。

日本人なら絶対見るべき!
超おススメです!!

アバター
2012/10/14 01:10
ペッチ様へ…リスペクト作品ホント多いですよね。スターウォーズだって場面によっては丸パクリの映像ありますし(笑)(epⅠの戦車隊が丘を下るシーンはまんまでした。っていうか基礎となる最初のepⅣ自体黒澤映画「隠し砦の三悪人」がベースになっていますからね。)
ただ「七人の侍」の正統なリメイクや着色や3D化は敬遠ですね。オリジナルがあまりにも偉大すぎるのでどうやっても受け入れられないですね。(織田裕二のリメイク版「椿三十郎」オリジナルのシナリオ通りだったのでそれなりに良かったのですが、「七人の侍」は無理です。)
アバター
2012/10/13 23:17
七人の侍は、エンタテインメントを志す人には必ず観て欲しい作品です。
リスペクト作品も、多数ありますね。
アバター
2012/10/12 22:06
寝子様へ…ありがとうございます(^-^)この「七人の侍」以降志村喬の黒澤映画での出番が少なくなってしまったのが大変残念ですよね。
ちなみに私つくしのお気に入りはコミカルな侍平八を演じる千秋実です。このひと、「スター・ウォーズ」のロボットC-3POのモデルなんですよね(笑)
アバター
2012/10/12 21:51
大好きな映画です。
また、つくしさんのレビューを見て、もう一度観たくなりました。
志村喬がニヒルでいい味だしてます。




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