Nicotto Town


つくしのつれづれノート


チャンバラ!!

先日このジャンルで「七人の侍」を書いたのを発展させて時代劇映画です。幼少の頃から慣れ親しんでいる大河ドラマとは別に時代劇映画も好んで観ている方だと思います。
時代劇映画に関しては日本の映画誕生時点から存在しているといっても過言ではなくその数も膨大なため、往年の映画ファンに比べるとさすがに敵わないところがあるのですが、チャンバラ映画として自分が特に好きな以下の映画は、誰もが認める名作だと自負しています。

それがこの3作品
「雄呂血」 1929年 主演:坂東妻三郎
「七人の侍」 1954年 主演:志村喬・三船敏郎ほか
「宮本武蔵 一乗寺の決闘」 1964年 主演:中村錦之助(萬屋錦之助)



黒澤明の「七人の侍」は日本映画最高傑作どころか世界映画史上3本の指に入る名画として名高いです。分類としてチャンバラ映画ジャンルに入るのですが、そこで繰り広げられる七人の侍率いる農民達と野武士の死闘は芝居というものの域を超えた凄まじい迫力を放っています。
この映画はハラハラドキドキの展開に思わず手に持ったパンフレットを握りつぶしてしまうほどの面白さがあります。
この映画についてはこの間ブログに書いていますのでよかったらご覧ください。

http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1032798&aid=44700026



リアル志向の「七人の侍」とは逆にいかにもチャンバラ映画!としておススメなのが「宮本武蔵 一乗寺の決闘」です。
この映画は吉川英治の小説「宮本武蔵」を原作に内田斗夢監督・中村錦之助(後の萬屋錦之助)主演で展開した東映の宮本武蔵5部作の4作目であり、小説中盤の吉岡道場との戦いを描いた作品です。
吉川英治の「宮本武蔵」と言ったら名作中の名作であり、1935年の発表以降、アカデミー賞名誉賞(後の外国語映画賞)を受賞した三船敏郎主演の54年「宮本武蔵」(サムライサーガと呼ばれているとか…)や役所公司主演の84年NHK時代劇「宮本武蔵」(準大河ドラマである水曜大型時代劇枠第1弾)・「スラムダンク」の井上雄彦が現在連載している「バガボンド」など、吉川英治を原作にした作品群は数え切れないほどあるのですが、この「宮本武蔵 一乗寺の決闘」はその数ある武蔵作品の頂点にあるといってもよく、戦後のチャンバラ映画の最高傑作といっても過言ではありません。

その最大の理由はクライマックスの一乗寺下がり松の決闘。この映画カラー映画なんですが、
このクライマックスに限って白黒であり、
下がり松のある泥田を舞台に武蔵対吉岡道場の1対多数の泥臭い斬り合いが展開されます。
その斬り合いの後カラーに戻り
疲れ切った武蔵は血の海にも見える真っ赤に燃える落ち葉の上に、死んだように横たわる―
白黒とカラーの組み合わせで表現した色彩描写がものすごい強烈な為、これを見た後だと映像として比べたら他のチャンバラものはどれ観ても色あせてしまいます。

それほどの名作なのに最近のレンタル店はVHSテープからDVDに切り替わって時代劇が圧迫されたため、どこの店にも置いてなく気楽に観ることができないんです。
すごく残念でもどかしい!!



そのチャンバラ映画の元祖といえるのが1925年に公開されたバンツマこと坂東妻三郎主演の「雄呂血」です。
坂東妻三郎は「古畑任三郎」でおなじみの俳優・田村正和の父にあたります。
そして1925年と言ったら大正時代(大正14年)であり、堂々のサイレント映画です!!

ストーリーはあまりにも強すぎる正義感が仇となって周囲からつまはじきにされお尋ね者にまでなってしまった若侍平三郎が、クライマックスでかつての恋人を助ける為に刀を抜いた末に数え切れないほどの捕り手と大立ち回りを繰り広げるというもので、サイレントならではのスピーディな動きで沢山の相手をバッタバッタ斬っていく様は、
さながら「戦国無双」のまさに元祖チャンバラ!!
平三郎を取り囲む捕り手の大軍の連携した動きも大変見事なんです。

この映画は映画スター・坂東妻三郎が設立した坂東妻三郎プロダクションの第一作とであり、京都の広大な敷地に建設された時代劇撮影所で撮影されました。
この撮影所は現在太秦映画村となっております。
この映画の大ヒットにより当時剣戟映画と呼ばれていたチャンバラ映画がブームとなって現在の時代劇が形作られる為、日本映画史上特に重要な作品と位置付けられています。

そして驚くべきことに
私設プロダクションを設立し、「雄呂血」で大立ち回りをやった坂東妻三郎は
この時若干24歳!!
高級官僚数年分の収入を稼いでいたそうです。

「雄呂血」はサイレント映画として当然声が付いてないのですが、日本でのサイレント映画はBGMを流しながら映画を説明する活動弁士が気風のいい講談調の説明を聞くのが伝統的な見方。
当然古典的ともいえますが、マンネリ感のプンプン臭う昨今の映画に飽き飽きしている中で逆に新鮮であり、活動弁士によるサイレント映画上映会の人気が徐々にブームになっているんです。(「雄呂血」は弁士の講釈音声付きのDVDが存在するので見るのは難しくありません。)

そしてこの「雄呂血」、現在日本最高の活動弁士である女流弁士澤登翠の講釈による上映会が11月に福島県各地で行われます。
マジうらやましい!!
(しかし大正時代に撮影された「雄呂血」で活躍するバンツマを父に持ち自身も芸歴も何十年という御年69歳のベテラン俳優なのに、いまだに若々しい活躍を見せる田村正和には本当に驚かされます。)



以上です。
最近は時代劇が圧迫されて常設している時代劇枠もNHK大河ドラマとNHKBS時代劇のみになってしまっているさみしい有様なんですが、その一方で現在時代劇が映画の方に回帰しているとも言われ、最近大作時代劇映画の登場が以前より増えたような気がします。
その映画によって時代劇人気が盛り返してくれると嬉しいですね。
そしてその末に私つくしが願うのはただ一つ
テレビ時代劇アゲイン!!





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