秒速5センチメートル
- カテゴリ:アニメ
- 2012/11/11 10:05:21
スタジオジブリや京都アニメーションなんか問題にならないくらい鮮やかな色彩で彩られた風景(特に空の色彩が見事!!)に圧巻されるのですけど、新海誠作品を知る末弟曰く
クリスマスに1人で観たら鬱になるアニメ
というような切ない展開を迎えるということでした。
今回新海作品で一番リアルな現実を舞台にしたアニメということで共感しやすいかと思ってこの「秒速5センチメートル」をレンタルで借りてみたのですが、結果は如何に…!?
タイトルの「秒速5センチメートル」は桜の花びらが落ちる速度ということであり、両想いや片思いの男女の心の距離の移り変わり象徴したものだそうです。(この「心の距離」は新海作品共通のテーマだということです。)
以下はあらすじ(一応ネタばれになっているのですがそうでないと感想がしっくりこないのでご容赦を…)
1.「桜花抄」…小学生の時、東京でいつも一緒で両想いだった貴樹と明里だったが、小学校卒業と同時に明里は栃木に転校してしまう。それ以降文通のやり取りを続けていたのだがその年の冬に栃木から絶望的に遠い鹿児島への貴樹の転校が決まった。「もう二度と会えなくなる」という思いから明里に会う約束をして貴樹は栃木に向け電車を発したのだが、大雪によってダイヤが大きく狂い時間だけが無情に過ぎていく…
2.「コスモナウト」…種子島の高3の少女花苗は中2の時に東京から転校してきた他の男子とは雰囲気の異なった貴樹にずっと一途に恋い焦がれている。貴樹の東京への進学を知った花苗は趣味のサーフィンのスランプを解消した暁に貴樹への告白することを決意したのだが、告白の瞬間貴樹の異なった雰囲気の正体を感じ取った花苗は…
3.「秒速5センチメートル」…月日は流れ、東京でひたすら前へ進もうとしているがむしゃらになっている貴樹だったが、日々仕事に追われて疲れ切り、付き合ってた彼女と心の距離を縮められないまま別れ、葛藤を続ける日々。ずっと貴樹を突き動かしていたのはあの雪の中はるばる会いに行った明里の存在だったのだ。
一方明里は結婚を控え新しい人生をスタートしようとしている。
疎遠になり大人になったふたりが互いに一緒に過ごし想いあった日々を振り返り、かつて一緒に登校していた通学路の踏切ですれ違うところでこの物語は終わりを告げる…
淡々とストーリーが重なるにつれてどんどん切なくなって胸が締め付けられ(…というより心がえぐられました。)、ラストを迎えたときには大粒の涙をこぼしてました。
クリスマスじゃないけどマジ鬱になります(苦笑)
貴樹が過去に捉われ過ぎて前に進めなくなっていることがすごく痛々しかったです。
現実を舞台にしてるが故に、リアルで生々しすぎる!!
何気なく物語を追ってたのですが最初の1話でラストの展開に気づくべきだったと思います。
1話「桜花抄」のラストは何時間も遅れてやってきた貴樹をずっと明里は待ち続けた末に再会に至り、キスの後農家の納屋で一夜を明かし(性的な意味はありません)再開を約束して別れるわけですが、別れの瞬間に見せた明里の言動・表情はふたりの間にある現実を受け入れて気持ちの整理を付けたような印象を持ちました。
明里のことを好きだったのならば雪の中会いに行ったときに自分の気持ちをハッキリ伝えて(それ以前に転校出会えなくなる時にとか)明里の心をつなぎとめるべきだったのでは…とか(その点ジブリの「耳をすませば」では同じ境遇にさらされる聖司が雫に対しラストで見事にやってくれましたね。(笑))、
明里のように子供の頃の思い出として整理を付けて新しい一歩を踏み出すべきではなかったのかとか…(であれば2話「コスモナウト」で高貴に強く一途に想いを寄せてる花苗だって大粒の涙を流さずに済んだかもしれないのにのに…)、
観終わった後ウジウジしてるように見える貴樹に対してすごくもどかしい気持ちを覚えヤキモキしてしまいました。
でもこの貴樹の境遇は自分にとって人ごとではない為、真っ向から否定することはできないんですよね。(苦笑)
上記のたら・ればは明らかに貴樹の境遇を自分に置き換えて自問自答しているという状態であり、それ故にあのラストには鬱になるくらい痛々しく感じました。
すごく好きで、しかし結局どうにもならない状況で叶うことはなかったのだけれど、その思いはずっと燻り続けている…
正直明里のように気持ちに整理を付け、新しい一歩を踏み出せば灰色に色あせた世界も鮮やかに彩られた世界に様変わりするはずという気持ちがスゴイ強いのですが(極端に言ったらずっと一途に想い続けるのはストーカーみたくキモいことなんじゃ…という強迫感が強い)、自分は中々これを子供の頃の大切な思い出として切り替えられなかったです。
性格も原因だろうけどがその頃の出来事が自分の人生の中で宝石のように大事な時間であり、燻った想いに整理を付け新しい一歩を踏み出したらその想いが全て嘘だったことになってしまうのではないか…
貴樹が一途に明里を想い続ける根底にあるものは上記のことだったのではないかと思いました。
観ててすごく鬱になるような内容だったのに、ラストに納得できずに1週間の間に何度も繰り返し観る結果となり、我ながらすごく驚いています。
どっぷりこのアニメにハマっています。(笑)
他の方の感想が気になってネットなんかを検索してみたのですが、ただの絶賛・酷評の他に絶賛だけど痛々しすぎてもう二度と見ないというものまである賛否両論状態でした。自分もハッピーエンドといえないラストは好きではないのですけど、たぶん何かの節目ごとにこのアニメを繰り返し観るのだろうなと思います。そんな不思議な魅力が新海アニメの特徴なのでしょうね。
ちなみに何度も繰り返し観ながら未だにラストには納得しておらず(ラストは山崎まさよしの「One more time, One more chance」を流しながら貴樹と明里のたどってきた歩みが走馬灯のように展開する演出になっているのですが、それ故にセリフが少なくて分かりにくい。)自分の中ではこのアニメ完結していません。
「秒速5センチメートル」にはノベライズ(新海誠自身のものと別のものと2バージョンあるとのこと。)やコミカライズとメディアミックス化されてるということなので、そちらの方にも手を出してこの物語を完結させようと思います。(感想だけ追ってみるとこっちに方が受けがいいような気が…)
できれば救いのあるラストを見いだせるといいなあ…
≪追記≫一応アニメのブログとして書いたのですが、改めて読み返したら恋愛ジャンルの方に乗せた方がよかったんじゃないかなあと思いました…すごく悩みます。
勉強になりました!ありがとうございます。
もっと頑張らなきゃ…
「最終兵器彼女」、懐かしいです。当時江川達也の「日露戦争物語」と同じ雑誌に連載されてたので一緒に読んでました。たしかに濡れ場が多かったと思うんですけど絵柄がすごくはかないため、エロ漫画というよりもスゴイ切ない印象が強かったです。
「最終兵器彼女」はセカイ系って呼ばれるジャンルだそうですが、なんでも新海作品の「雲の向こう、約束の場所」と並んでセカイ系の代表作って言われてるとのことです。
だなぁと・・・。まさにそうですねだからうつくしい。私はなんて語彙少ないんでしょう・・・。初恋のせつなさ語る上では、
『最終兵器彼女』の高橋しんさんなんかも、上手だな~って思います。ただのエロ漫画っていう人もいますが私は好き
です。
あの壮大な背景や街中や部屋の生活感丸出しなリアルな質感に圧倒されてしまいました。(それに重なる天門の音楽とのマッチがスゴイ!!)ナレーションタッチで語られながら淡々とストーリーが進む様はアニメとしてスゴイ新鮮でした。
「秒速~」については自分も高貴と似た経験をしてるため初めて観たときかなりきつかったです。それでも繰り返し観てしまったわけで、魅力的なアニメですよね。
他のメディアミックス作品を手にとってもっと「秒速~」を掘り下げていきたいです。
今日「雲の向こう、約束の場所」を観たのですが、新海作品って初恋などの多感な思春期の挫折の描写がすごいリアルですよね。叶うことはなかったけど純粋で透明感のある美しい思い出って感じであり、こう考えるとハッピーエンドじゃないからこそ美しいと思えるのかもしれませんね。
しかし、コレ見てオウムの指名手配犯が自首したというのには驚きました。ニュースでやってたかもしれないけど、この間見たのが初めてだからわからなかったです。
か、間の取り方とか街の雑踏の感じとか。
ほしのこえもせつない系でしたよね!あと雲の~空の~(←ウラ覚え)もみましたが・・・。よく覚えてません。
コミックもってますが、別ラストで救われた感ありますよ。でも、私は結構救われないラスト系のマンガ、アニメ好きです。
あとから、自由解釈できるし、常にハッピーエンドじゃなくてもいいと思うんですよね~。
ちなみに、ご存じかもしれませんがオウムの平田はこれを彼女とみた後に出頭したらしいです。鬱になるわな~ww
後の「雲の向こう、約束の場所」(今日観ました)「秒速5センチメートル」がものすごいクオリティなんですけどその製作がネットを活用した自宅作業を主軸としてるとのことで驚かされます。
この人のアニメの多くはメチャクチャ切ない内容みたいです。
そーだったんですね、そう考えるとすごいアニメですね
秒速はWOWOWでやっていたけどなんとなく観ませんでした
隠し砦はまだ観れてませ~~ん(´Д`)