最近自分が住むこの鎌倉については、鎌倉を囲む三方の山の尾根のハイキングコースを巡っているわけなんですが、今日は鎌倉東部の山の尾根を進む祇園山ハイキングコースを行きました。
このコースの高台から見下ろせる鎌倉と海はまさに絶景なのですが、今回私つくしが目玉としていたのはこのハイキングコースの出入り口にある
東勝寺跡と腹切りやぐらと呼ばれるところです。

東勝寺跡は鶴岡八幡宮から北東に位置する祇園山の中腹・葛西ケ谷にあり、北条氏が執権として支配した城砦都市鎌倉の本丸とも言うべき場所でした。東勝寺のまえに北条氏本家（得宗家）の屋敷があったそうであり、まさに北条の為の鎌倉と印象を強く感じさせます。
城砦都市鎌倉については以前ブログで詳細に描いてますのでよかったら参考にご覧ください。
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http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1032798&aid=38090997

1333年、後醍醐天皇の討幕運動に呼応した新田義貞が鎌倉に攻め込んだ際に北条一族はこの最終防衛拠点である東勝寺に籠って立ち向かいますがなすすべもなく、
自ら寺に火を放ちじつに北条一族870人が自刃に及んだという、まさに鎌倉幕府終焉の地となったわけです。（この出来事は元弘の変・東勝寺合戦と呼ばれる）

この東勝寺合戦は日本史上最も壮絶な舞台となった場所といっても過言ではありません。もちろんＷＷⅡの沖縄戦や広島・長崎原爆に比べれば比ではないのでしょうけど、一政権とそれを担った一族が皆殺しにされるという事態は日本史上他に例がないんです。大化の改新と呼ばれる乙巳の変でさえ蘇我氏は皆殺しにされていません。


そんな壮絶な舞台となった東勝寺のあった葛西ケ谷には現在なにもない更地となっており（鎌倉幕府滅亡後すぐに再建されたそうですけど戦国時代に廃れて無くなったのだそうです。）、その裏手に自刃した北条一族870人を弔っているのが
腹切りやぐらと呼ばれるものなのです。（やぐらは狭い鎌倉独特の山の崖をくりぬいて作った墓のこと）
洞穴の中には石塔とたくさんの卒塔婆が並んでおり、歴史背景もあって大変不気味な雰囲気を醸し出しています。
ついこの間ネットのニュースで逗子鎌倉間の幽霊トンネル（小坪トンネル）と共にホラースポットとして紹介されたわけなのですが、
実はここには自刃した870人の遺体は埋葬されていません。

実際にはそのさらに奥の釈迦堂の山の上にに存在した釈迦堂奥やぐら郡と呼ばれたところに葬られたそうです。現在は住宅地となって大半が破壊されてしまったのですが、宅地造成の際大量の生焼けの人骨が発掘されたそうです。


この東勝寺合戦による鎌倉幕府滅亡劇については91年の大河ドラマ「太平記」で映像化されています。
ドラマ全体が骨太でファンも大変多いのですが、この鎌倉滅亡の回に至っては見てるこっちがトラウマになるくらい強烈な迫力を放っており、
大河ドラマ史上最高傑作と多くの人が評価している映像なのです。

まさに滅びの美学をこれでもかといわれるくらい醸し出した回であり、この回がために現在50作を超える大河ドラマシリーズの中でこの「太平記」が自分のベスト大河となっています。


そんな壮絶な歴史に思いを馳せる東勝寺・腹切りやぐらでした。








ちなみにこの鎌倉幕府滅亡で北条氏は根絶やしになった印象が強いですが、実際にはわずかながらも生き残った一族がおり一時鎌倉を奪還したりしています。（1335年の北条時行の中先代の乱。この反乱鎮圧をきっかけに、室町幕府誕生へ至る60年に及ぶ南北朝動乱が始まります。）
その後も細々と続いていたとされ、その末裔とされる人に大河ドラマ「龍馬伝」にも登場した幕末の思想家・横井小楠がいます。
そしてなんと！
俳優・高倉健も北条氏の末裔なのだそうです!!

これにはビックリ!!