大河ドラマ「平清盛」もいよいよ終幕に近づきいよいよ源平合戦である治承・寿永の乱が本格化しました。今週の回は歴史のターニングポイントになった１１８０年の富士川の合戦を中心に描かれていました。

とりあえず感想
富士川合戦といったら富士川を隔て源平の大軍が対峙した結果はあっけないものだったけど大規模な合戦という印象だったのですが、ふたを開けてみたら…
低予算の全スタジオ撮影でしたね。

富士川の源氏の陣もＣＧでごまかしてたみたいだし…
オープンロケを組み合わせて描いた７９年大河「草燃える」や０５年大河「義経」に比べて全然迫力がなかったです。
このころになると予算が尽きて前半に比べてスタジオ撮影ばかりになるのは大河ドラマの宿命とも言うべき現象なのですが（ことに迫力に関して「平清盛」は最初だけが見せ場だったような気がします。平治の乱あたりがいたちの最後っ屁だったのかもしれませんね。）
この画面作りは富士川合戦を描いた大河の源平ものとしては最低クラスなのでは…
まああくまで清盛がメインで「平家物語」ではないので仕方ないのかもしれませんが、前半のオープンロケの時に富士川合戦のシーを撮影したり過去の平治の乱のシーンを流用しようとは思わなかったのでしょうか？
ホントにもったいない!!

ただドラマとしては平家が武士で無くなった為に負けたという内容で締めくくられたのは印象的でした。伊藤忠清が命を懸けて清盛を諌めるところとか…





とにかくツッコミどころ満載の内容だったのは確かです。
一番気になったのは
甲斐源氏・武田信義が源頼朝にひれ伏してるとありえない場面

武田信義は戦国大名・武田信玄の先祖に当たる武田氏初代であり、大勢力だった甲斐源氏を束ねる棟梁だった人物です。
実を言うと富士川合戦の源氏軍の構成は頼朝を頂点にした軍勢ではなく、頼朝を頂点にに坂東武士が結集した鎌倉軍とと武田義信を頂点にした甲斐源氏軍の連合軍だったんです。
つまり源頼朝と武田信義は共に源氏軍の同格の大将なんで、あのシーンはあり得ないんです。
あそこに集った大将の中で頼朝が最終的に頂点に立つわけだけど、あんな付けたしみたいなシーンにするのなら他の大河みたくセリフのみの登場で出さなければよかったんじゃ…
この富士川合戦後、東日本はしばらく源頼朝・武田信義・木曾（源）義仲・藤原秀衡による４勢力の群雄割拠状態となります。





そしてこの富士川合戦、現在において多くの人が源平合戦と認識してるのかもしれませんが、鎌倉軍だけは間違いなく打倒平家は眼中になかったはずです。
彼らの目的は頼朝を頂点に植民地同然にされていた関東を独立させるという
関東独立戦争とみていたと思います。

頼朝も初めは以仁王の令旨に呼応した源平合戦として戦ったんですが、結局今週の回の冒頭で描かれた石橋山の合戦で歯が立たなかったんです。
その後頼朝が関東に発信したのが「関東を中央から切り離し頼朝が切り盛りする」という
いわゆる関東独立宣言なんです。
この頼朝の宣言に敵味方問わず関東の武士が馳せ参じ、
当初３００程度だった頼朝の軍がたった一月ちょっとで数万の大軍に膨れ上りました。

そしてその坂東武者を結集した富士川の合戦の勝利で関東は事実上中央政権から独立を達成し、鎌倉幕府誕生に至るわけです。（そのため１１８０年の富士川合戦勝利を鎌倉幕府誕生の瞬間とする人もいるようです。）
こうして見ると鎌倉幕府成立過程はイギリスの植民地状態から独立を達成したアメリカ独立戦争によく似てるなと思うのです。
源頼朝はさながら初代大統領ワシントンってとこでしょうか。



こうした源平合戦の本質を眺めるのならば大河「平清盛」よりも鎌倉幕府成立過程を描いた７９年大河「草燃える」がおススメですね。

そして大河「平清盛」も残すところあと３回!!