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つくしのつれづれノート


風立ちぬ(ジブリアニメ)観てきました

現在公開中の宮崎アニメ「風立ちぬ」見てきました。

ジブリアニメ「風立ちぬ」はWWⅡの零戦の設計主任・堀越二郎(実在の堀越技師と区別して以後書きます。)の飛行機作り(軍用機)に情熱をかけた前半生と、文豪・堀辰雄の私小説「風立ちぬ」から抜き出した結核を患った少女との恋愛を掛け合わせた物語となっております。

堀辰雄の「風立ちぬ」の方も私小説ということでこの少女も堀越二郎と同様に結核で早世した堀辰雄の婚約者・綾子という実在のモデルが存在します。小説では節子・今回のジブリアニメでは菜穂子(堀辰雄の小説「菜穂子」が元ネタ)という名前になっています。

直接の原作は数年前にプラモ雑誌「モデルグラフィックス」に誌で連載していた漫画であり、雑想ノート・妄想ノートと呼ばれる軍事関係の乗り物を題材にしたエッセー・漫画のシリーズに連なっています。
その為か今回の作品中に雑草ノートに登場する航空機が脇役としてかなり目立って登場おり、私ミカサは一雑草ノートファンとしての心をくすぐられました。(特に日本軍が導入するドイツ製の巨人機(ユンカースJ-38 大きさとしてはB-29よりデカイ。この飛行機は雑草ノートシリーズ一回目の連載の題材になった飛行機。)は映画の中で特に迫力がありました。

ちなみにこの雑草ノートシリーズからは同じく宮崎監督のジブリアニメ「紅の豚」を輩出しており、今作品「風立ちぬ」とは姉妹作と言っていいかもしれません。(物語最後のゼロ戦が飛んでいく場面が、「紅の豚」のポルコ・ロッソの戦争体験談・飛行機の墓場とモロかぶります。作中の年代も被ってるし意図的なんだろうなあ…)




…とまあ能書き垂れるのはここまでにして、ここからは感想
実在人物の半生が下敷きになっている為か全体的に淡々としており、それまでの宮崎アニメとは一線を画した大人が見て面白いと思うアニメでした。

まさに大人のジブリ。

反面子供が観て面白いと思う映画ではなかったです。
今巷は夏休みということで、自分が観たお昼の上映時にもトトロやポニョが大好きそうな年頃の子連れのお客さんがたくさんいたのですが、上映終わってから子供から「内容がよくわからなかった」という感想が沢山聞こえてきたのがスゴイ印象に残っています。きっと最近のジブリのイメージで観に行った人がスゴイ多いんだろうなあ。(最近は一般受けしやすい宮崎系列のジブリしか放送されてないからなあ…)
また日本史的に非常に暗い社会の1920年代~1930年代が舞台なんですけども、夢に情熱を傾ける主人公たちにその負のオーラが打ち消されて、所々予備知識無しでは大人でも中々わかりづらい映画かもしれません。

私ミカサ個人としてざっくばらんに言っちゃうと、連載時の原作漫画をガチで読んでかつ歴史好き(兵器関連の話も結構好き)という作品に対する予備知識があったので一応それなり面白かったです。
堀越二郎のCVを務めたエヴァの庵野秀明監督の図太い第一声が最初ショッキングだったのですが(笑)、技術屋としての寡黙な雰囲気に意外とマッチしてましたね。(職場での堀越二郎の雰囲気が同じく防衛関連の技術屋だった自分の父親と重なって見えました。)


しかし途中からヒロイン菜穂子との再会から始まる恋愛ストーリーについては、それまでの淡々としたストーリー展開に異物が混入した感じで全然シックリこなかったです。ちょうど水と油を無理矢理混ぜ込んだ感じに似てるかもしれません。
淡々とした雰囲気をぶち壊すように、軽井沢で再会した次郎と菜穂子が数日もたたないうちに婚約してしまったのは(たとえ最初の出会いで菜穂子が次郎を王子様のように慕っていても)あまりにも唐突すぎます。

前の宮崎監督が脚本を手掛けた「コクリコ坂から」(監督…息子宮崎吾朗)でも感じたのですが、

宮崎駿は恋愛ストーリーを描くのがとてもヘタですね。
(「コクリコ坂から」に宮崎駿の関与がなければもっといい作品に仕上がってたと思うほどに…)

それまでの宮崎アニメを見ると冒険活劇要素の中のボーイ・ミーツ・ガール、運命共同体として行動を共にしてるうちにいつの間にか恋してた的なものばかりで、純愛中心の物語は皆無だったような気がします。(百歩譲って純情恋愛ものとして面白かったのは脚本・絵コンテを手掛けた「耳をすませば」(監督…近藤喜文)くらい…)

そして菜穂子との死別もすごいぼかしたうえで、いきなり1945年に話が飛んで無理矢理キャッチフレーズの「生きねば」に持っていったから終盤が非常に薄っぺらかったです。映画の長さは2時間ちょっととそれなりの長編映画なのですが、せめてもう30分尺を伸ばして明確な菜穂子との死別描写・破滅的な戦争による夢の挫折で堀越二郎が苦しみながらも「生きねば」の展開にしてくれたらよかったんだけどなあ…

もしかしたら上記の恋愛面同様、「アニメーション映画は子どものためにつくるもの。大人のための映画はつくっちゃいけない」をモットーにする宮崎監督が、今描ける大人のジブリの限界なのかもしれませんね。


でも、「ハウルの動く城」以降作風が類似した作品ばっか(「ゲド戦記」や「アリエッティ」なんかはハウルの劣化コピーに見えた。)で辟易してたジブリアニメのテコ入れを図った作品として、個人的にはすごい意義のある映画だったんじゃないかなあと思います。
久々に新鮮に感じたジブリアニメでした。
秋公開の高畑勲監督作品「かぐや姫の物語」と一緒にマンネリ気味のジブリの復活・飛躍につながると嬉しいですね。











…あ、あと今回効果音とかは全て人の声によるアカペラなんだそうです。飛行機のエンジンが唸り声を上げる様子は、まるで飛行機が生きているみたいでスゴイ新鮮で感動的でした!!

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2013/08/03 23:33
みのりんへ…原画展の方は来週あるので1週間後には記事にすると思いますよ。原画展は各地を巡業してるみたいですが、8月15日から10日ほど所沢のデパートで原画展やるみたいですよ。
詳しくはウェブでwww↓
http://www.ghibli.jp/10info/009341.html
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2013/08/03 01:45
みかささんの文章読んでるとさ、早く行きたくなる衝動に駆られるんだよねw
なんとか時間空けて見てくるよ!!
みのりん頑バルっス!!ってスレ違い?(。→ˇ艸←)プククッ☆

原画展があるのね^^行ってきたらまたブログあげる予定だよね?
そっちも期待しちょります~(ノ∇≦*)キャハッッッ♪
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2013/08/02 21:42
みのりんへ…いまではもう見られない日本の原風景や大正時代の東京の光景がスゴイリアルで、ドラマ「坂の上の雲」にエキストラ参加してた身としては大感激でした。
来週横浜の方で「風立ちぬ」の原画展があるので観に行くつもりです。

みのりんも観に行ったら感想聞かせてね(^-^)
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2013/08/02 21:39
よし、私も見に行くぞ!!!
って、ちょっと先の予定が立たないのが残念な感じだけど、でも絶対見てくるからね(≧∇≦)
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2013/08/02 17:27
彩乃様へ…今回の「風立ちぬ」は最近のジブリの印象とは大分違って新鮮でした。今後の作品もジブリらしくもこれまでに感じたことのない新鮮な作品を作ってもらいたいものですね。
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2013/08/02 17:23
ゆにせ様へ…ありがとうございます、記事読み返してみてネタばれ感がありますが、参考になてくれれば幸いに思います。
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2013/08/02 14:51
こんにちは(^O^)/

ジブリ面白いですよね!!

風立ちぬ、私も見てみたいです❦
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2013/08/02 10:18
ブログ広場からです。とても読み応えがあり、参考になりました。
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2013/08/02 02:12
書きたいことがあり過ぎてうまくまとまらなかった(T_T)
これの他にも
堀越技師が設計した悲劇の戦闘機ゼロ戦(今作では1世代前の九六式艦戦開発が主体だったので…)
戦後堀越技師が設計に携わった日本唯一の国産旅客機YS-11
小説「風立ちぬ」を実写映画版(山口百恵主演)
など書き遺したことがたくさんあるので近いうちにブログにまとめたいですね




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