Nicotto Town


つくしのつれづれノート


まあだだよ(黒澤明監督作品)

今日は満月での「中秋の名月」。
しかも台風一過の快晴で大変美しく輝いています。今度満月で「中秋の名月」を拝めるのは8年後なのだとか…

そんな見事な満月から真っ先に連想する映画が、巨匠黒澤明監督の1993年の「まあだだよ」なんです。
黒澤明というと「七人の侍」をはじめとして世界映画史上3本の指に入る映画監督なのは言うまでもないわけですが、65年の「赤ひげ」以降のカラー作品について芸術色がやたら強くなって万人受けしなくなったのですが、その中でこの作品だけは淡々とストーリーが進むもののカラー作品ながらモノクロ時代のアクの強さが戻ってきてるようで特に印象が残っています。

「まあだだよ」は作家・内田百閒(夏名漱石の門下生)と彼が教師をしていた法政大学の門下生たちの長い長い交流を描いた物語で、
終戦直後を中心に淡々としながらも大変ユーモアのある百閒と門下生の師弟愛が漫才みたいで大変面白いです。

…で冒頭の満月とこの映画がどう結びついてくるかというと、門下生が開催する内田百閒の誕生日会「摩阿陀会」(「百閒還暦はもう祝ってやったのにまだ死なないのかという」門下生のブラックユーモアが込められているwww「まあだかい?」の質問に対して「まあだだよ」というタイトルになっている。)の「♪でーたでーた月が~」の童謡から展開される酒の席での芸が、別に「七人の侍」のスペクタクル映画でもないのに大変迫力ある画面なので不思議なんですよねwww
まさに世界中の人間が最高の巨匠と尊敬する黒澤明のなせる神業か…

映画は77歳の喜寿の誕生日(17回目の「摩阿陀会」)を迎えた百閒がその日見た幼少のかくれんぼする夢を見るところで終わり、その夢の中で友達たちが百閒を探して「まあだかい?」ときて百閒少年が「まあだだよ」とやり取りが描かれます。
これはちょうど監督生活ちょうど50年を迎えた当時83歳だった黒澤明がこれからも現役を貫き通す意思表示を反映した演出だったのでしすが、
黒澤明はその次回作の時代劇「雨あがる」の準備中に骨折して療養生活に入り98年に88歳で死去。
この「まあだだよ」が監督黒澤明の遺作となってしまいます。

なお「雨あがる」は黒澤明が療養生活に入った後もいつでも撮影に入れるよう準備を整えており、黒澤明没後黒澤明の助監督をしてきた小泉堯史が監督として黒澤組を率いて見事完成させたのは多くの人が知るところだと思います。
「雨あがる」も黒澤明の面影を非常に強く残した大変素晴らしい映画なんですが、黒澤本人が監督をしたらどうなったんだろうと思うことが今でもあります。

しかし「まあだだよ」のラストシーンのかくれんぼで畑で隠れた百閒少年が見上げた虹色の夕焼け空は映画監督黒澤明の集大成・終着点としてものすごくふさわしいと納得してしまうほど美しい光景でした。(大変幻想的)
こんな映画また新作邦画で拝めないかなあ…

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2014/05/11 20:32
よん 様へ…観る年齢によって感想は変わってくると思いますのでまた違った印象を受けると思いますよ。
黒澤明については白黒時代のメリハリがカラーになってから曖昧になってるのでスッキリしないんですが、少なくともカラーの色彩描写については最後の作品となった「まあだだよ」一番しっくりしてると思います。
アバター
2014/05/11 20:20
高校ぐらいの時に見たから、もういいかと思ったけど、やっぱもう一回見直してみようかな。




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