Nicotto Town


つくしのつれづれノート


設定からしてありえない火垂るの墓

とにかく久々の放送の「火垂るの墓」
先週から公開されている「かぐや姫の物語」に合わせて監督高畑勲のジブリアニメを集中放送しようという一環だそうで…
最近のジブリは宮崎タッチで占められしまい、食傷気味ているだけあってやっぱり新鮮ですね。
本来パヤオの活劇ファンタジー路線とイサオの気持ち悪いくらいのリアル路線が、本来のジブリの持ち味だと思っていただけに…
(こう言っちゃ悪いですが高畑ジブリは特に人間キャラが笑う時のしわがあまりにもリアル過ぎて、子供の頃からアニメ表現として気持ち悪く感じていたわけで…なお明日放送の「おもひでぽろぽろ」はその気持ち悪い描写の極みだと思ってますwww


兎にも角にも「火垂るの墓」
戦争で両親を亡くした清太と節子が親戚の家に身寄りを寄せるも折り合いが悪く家出し、周囲の助けをたちきった生活を続けた結果両方とも餓死してしまうというストーリーは、
鬱アニメとういうレベルを超えて凄まじいものがありますよね。
当時「トトロ」と二本立て上映だったわけですが(今思い返すと空前の規模ですなwww)、
楽しいトトロ目当てに来た観客が、トトロの後にこの「火垂る」で絶望のどん底に突き落とされて映画館を出てて行ったという伝説も頷けますwww
聞くところによるとあまりにも悲惨な結末の結果映画が終わってもぼうぜんとして立ちあがれなかった客が続出したとのこと。
「トトロ」と「火垂る」の観客の年齢世代やジャンルがあまりにも違うのに、
この二本立ては映画史上最悪の組み合わせですねwww

とにかく悲劇としての描写がリアルで淡々!!
(正直パヤオの「風立ちぬ」も内容が内容なだけに「火垂る」に近い描写でやってもらいたかったわけで…)
当時このような悲惨な最期を遂げた人も非常に多かったことだろうと思います。
小学校の国語の教科書にも「火垂る」さながらの読物が多かったのを思い出します。(餓死した弟の粉ミルクを盗み飲みした体験をつづった俳優・米倉斉加年の「大人になれなかった弟たちに…」は未だに忘れられない。自分の父方の祖父母も満州引き揚げで壮絶な体験をしていると聞く。)
実際この「火垂る」についても原作者・野坂昭如の年の離れた妹を餓死させてしまった実体験をモデルにしてるのだとか…(結構美化してるっぽいが…)



…が、この「火垂るの墓」
清太と節子は身分設定上、現実にあのような悲惨な最期を遂げることはあり得ないのだそうです。

というのも清太と節子の父親は海軍士官の超の付くエリート
作品によってその階級はまちまちですが(ジブリアニメでは大尉、実写ドラマ・映画ではそれぞれ戦艦・巡洋艦の艦長を務める佐官以上)、決して下級将校ではない模様。
当時の海軍将校を養成していた海軍兵学校では(今も海自の士官養成の施設して存在してる。当時は東大倍率をもしのぐ超の付くエリート校だった。)
たとえ出世の差で階級の差があれど、仕事を離れれば「貴様と俺」で通じる対等の立場で交流する不文律があるほど同期生の結束力が強く、
同期生の誰かが戦死した場合、遺された遺族の面倒を生き残った同期生が可能な限りみるという暗黙の了解があるんです。
(この絆は旧日本海軍が消滅した戦後も続くほど強かった。階級が違えども人望のある人は戦後も助け合って事業を成功させた人が多かったほど海軍将兵の結束力はよく聞く話。)

なので海軍将校(それも大尉以上の高級将校)の父が戦死したからとて清太と節子が路頭に迷って野垂れ死にすることはあり得ないのです。(作中で父親が大規模なレイテ海戦で重巡洋艦・摩耶の士官として戦死ていることからしても、同期生全員が長いことその生死を知らないことなど絶対にあり得ない。消息不明でも死亡扱いされるはず。)

パヤオ自身も「火垂る」直後に同様のツッコミを入れているらしく
(なんたってパヤオは軍事マニアですからwww)、
後に息子ゴローが監督した「コクリコ坂ら」でヒロイン海が想いを寄せる俊の兄妹疑惑の真相も上記の海軍士官の絆が原因という、「火垂る」への当てつけとしか言いようがない展開になっています。
(なお作中ではっきりした説明は無いものの、海と俊の父は学生時代の学帽の校章から予備海軍士官の義務を持つ高等商船学校の出身だとういうことが判ります。海軍兵学校出身じゃないものの同様の結束力があってもおかしくは無い。)

そんなわけで親せきとの折り合いが悪くなって清太が節子を伴って戦争の混乱の中飛びだしたのは、あまりにも軽率極まりない自殺行為だったという見方もできます。

終戦の玉音放送じゃないけれどもwww、
清太はつらいみの上でも親戚の家で「耐えがたきと耐え、しのび難きをしのんで」いれば、生き残った父親の同期生が遅かれ早かれ訪ねてくるはずだし、その逆にすぐに父の同期生を訪ねるなどの方法があったはずなんです…
当時海軍士官はあこがれの的だったから、それを父に持つ清太が海軍士官の慣習に無知だとしたら、清太は妹を道づれにした大たわけだともいえます。)


「火垂る」一連作品群をみていると、原作者の日本海軍に対する無知ぶりをさらけ出しているように思えてなりません。(原作者・野坂昭如の父は戦前は土木技師・戦後は新潟県副知事を務めた名詞であるが海軍士官ではない。)
原作小説「火垂るの墓」は直木賞をとった名作なんだけどねぇ…









なお、この「火垂るの墓」
今度イギリスで実写映画化されることが決まっており、来年から撮影が始まるそうです。
舞台はイギリスになるのだろうか…(実写版「魔女の宅急便」よりもましかもしれないけど…)
いずれにしても信じられん!!





それにしても放送直後書いて消えたやつをやっと書き直せたよ。操作ミスによるデータ消去はあまりにもきつすぎる…

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2013/11/29 00:35
奈柚様へ…トトロって監督高畑・原作宮崎で作った70年の「パンダコパンダ」を焼き直したような映画でトトロとメイのモデルといってもいいキャラが登場しているんです。70年代末期にはトトロとメイのキャラクター自体はすでに完成しているんですよ。

ネットとかにアップされている公開前のトトロのポスターが作られた時点ではトトロのヒロインは姉妹ではなくメイとサツキの中間年齢の女の子だったようです。
以下がポスタ↓
http://www.scenicreflections.com/files/Tonari_Totoro_Wallpaper__yvt2.jpg
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2013/11/29 00:18
ええええ サツキが後だったんだww
あ それで!メイ(5月)と同じ意味の名前なんね! なるほど~^^

トトロと二本て・・え?何でこの組み合わせwww
これは 辛すぎて劇場を出てく人もいるかもね
それにしても豪華だわ!
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2013/11/29 00:08
寝子様へ…作品としては教材にしてもいいくらいいい映画だとは思うのですが、観る側にとってきつすぎますよね…

高畑監督のジブリアニメは内容が受けにくいうえに製作の手間が人一倍かかるという悪循環で、アニメのクオリティはパヤオをはるかに上回るのに、その人気は天と地ほどの差がある状態なんですよね。
今上映されている「かぐや姫の物語」は制作費がジブリ最高の50億の巨費をかけているそうで、すでに赤字映画の心配がされているという話を聞きます。
私ミカサは観に行きますけどねwwww
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2013/11/28 23:39
テレビ、見てました。
高畑監督作品はどうも苦手なのです。
でもこの、『火垂るの墓』だけは別格であったはずなのですが・・
いい悪いではなく、好き嫌いでもなく、単に泣けるというか。。

とっても久しぶり(10年以上は経ってるかな)に見たら
前のようには感じなくて、冷めた目で見てしまっている自分に驚きました。
年とると、純粋さって失われちゃうのかな。




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2013/11/28 23:22
奈柚様へ…あの悲惨なストーリーをトトロの後に見せられたらたまったもんじゃありませんよねwww
公開以前に二本立てにしたらどうなるか誰でもわかるはずなのにwww


なお、「火垂る」と「トトロ」は元々1時間以内の中編の予定だったのが、「火垂る」のボリュームアップに合わせて「トトロ」も長編化したのだとか…
「火垂る」に伴い長編化した「トトロ」で新たに追加されたのが姉・サツキ。
イメージボードとかの資料を観てみると当初サツキの衣裳を着たメイから分裂して誕生のが姉・サツキみたいです。
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2013/11/28 23:07
蘭丸様へ…司馬遼太郎の日露戦争を描いた「坂の上の雲」にドラマエキストラ参加するくらいファンな為、旧日本軍関連の知識は多少あるんですよ。

とはいえ高畑監督の「火垂る」のディティールはすごすぎます!
清太の回想シーンに出てくる重巡洋艦・摩耶の作画については高畑監督の指示で巡洋艦の窓の一枚一枚に至るまで正確に描きこまれているそうで、そのディティールは「坂の上の雲」CG・実物大セットで描かれた戦艦・三笠を圧倒的に上回ります。(作画担当したアニメーターは「エヴァ」の庵野秀明監督だとか…)



ちなみに私ミカサは生身では基本毒舌な為、エスカレートしてしまうと記事がもっとえげつなくなってしまうかもしれませんwww
アバター
2013/11/28 22:49
そーだったんだ・・
なるほどねぇ 「貴様と俺」かぁ
確かに あのような極端に助け合わなくて生きていけない時代だったのだから
その軍のエリート達が そのような互助の精神を持っていた って方がしっくりくるわ
「火垂るの墓」はね~ 冒頭から・・見れないんですよねぇ
可哀相とかじゃなくて なんつーか 受け止められないんですよね
イギリスで実写って^^; アニメを実写する事は暴挙だと・・あれほど・・^^;
外人はまだ分からんのかw
アバター
2013/11/28 22:43
戦争映画のコメンタリーはデリケート部分と認識しているので
さぞ、文章選択は大変だっただろうなぁ・・・お疲れ様でした。

高畑勲作品は子供の頃は描写が精密すぎて怖い(気持ち悪い)で一杯だったけれど
大人になって見直すと、ストーリーに引き込まれて描写がすげぇ!!と目線が変わっていくのでとても不思議。

海軍内部情報を全然知らなかったので、
みかささんの解説で
「えっ!そうだったの!!」
と驚きました。

次、火垂るの墓を見たとき、
また見方が変わっていそうww




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