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つくしのつれづれノート


大河ドラマ 源平今昔

今放送されている「平清盛」に関連して源平特集といきます。大河ドラマの4大ジャンル(源平・戦国・忠臣蔵・幕末)のひとつとも言える源平合戦を描いた作品は、大河枠6作と新大型時代劇1作の計7作あります。

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大河ドラマ枠
・「源義経」66年
・「新・平家物語」72年
・「草燃える」79年
・「炎立つ」93年7月~94年3月
・「義経」05年
・「平清盛」12年
新大型時代劇枠
・「武蔵坊弁慶」86年
最初の「源義経」と「新・平家物語」はほとんどが現存していないのですが、共に総集編が現存してソフト化されています。

最初の源平大河である「源義経」の義経は当時23歳3ヶ月の尾上菊之助(現7代目尾上菊五郎)が最年少で演じており、記録は38年後の05年「義経」の主人公源義経役のタッキーによって更新されます。(当時22歳2ヶ月。今の最年少は08年「篤姫」の当時22歳1ヶ月の宮崎あおい。)さらに前年65年「太閤記」で主役秀吉を演じた緒方拳が弁慶を演じており「太閤記」のメンバーから抜け駆けしてズルイと皮肉られたそうです。
最終回は衣側の戦いで義経一党の壮絶な斬り合いの末、最後まで残った緒方弁慶の立ち往生によって義経は自刃となります。

72年の「新・平家物語」は大河ドラマ10作目・テレビ放送開始20年目の節目ということで、主演の仲代達也をはじめ中村玉緒・緒方拳・山崎努・中尾彰・田村正和・高橋幸治・若尾文子・栗原小巻・北大路欣也…と豪華メンバーであり(西田敏行・郷ひろみの初大河でもある。)、それまでの大河ドラマの総決算ともいえる作品です。
そしてテレビ草創期の原点に返る為に、清盛の厳島神社の参詣シーン以外なんとすべてスタジオ撮影であり、賛否が分かれるところです。

79年の「草燃える」はこの時代を描いた作品としては特に見ごたえあるのではないかと思います。骨太ストーリーであり、ここで登場する義経を大河史上べスト義経にしています。問題はただ一つ、この大河の主題が源頼朝の挙兵から承久の乱までの鎌倉幕府形成過程であり、源平合戦があくまでオードブル扱いであることです。

そして05年の「義経」ですが、この大河はタッキーのイメージ重視で、大変アクの抜けた魅力のない義経であり(というのも自分は感情の起伏の激しい粗暴な性格という義経に美点を見いだしているからです。)、これ以降芸能人のイメージの保全の為に台無しになることにアレルギーを持っています。
「義経」は宮尾富子の小説を原作なのですが、最初に紹介した66年「源義経」の原作者村上元三から資料提供を受けているためリンクしており、上戸彩演じる義経を慕う少女うつぼは「源義経」から採られたキャラクターです。(「源義経」では御影京子が演じています。)

準大河の86年「武蔵坊弁慶」は弁慶の視点から源平合戦を描いた作品で、源平大河系列として最もストーリーが面白いのではと思います。この弁慶役は「鬼平犯科帳」で有名な中村吉右衛門であり、このドラマがテレビ初出演になります。中村吉右衛門は歌舞伎で弁慶ものを十八番な為、安宅の関での勧進帳朗読は大変迫力があります。
そして一番驚くのはドリフの加藤茶がシリアスな役で出演してることで、翌年の「独眼竜政宗」のいかりや長助(俳優初挑戦)よりも印象的でした。

さて今年の12年「平清盛」。よく言われる泥臭い画質ですが、犬畜生と言われた武士を描くうえでは大変マッチしていると思います。…が肯定的にしているのは清盛個人を主役にしている大河だからで、これが煌びやかな色彩描写を重要視しなければならない「平家物語」としていたらものすごい批判をすると思います。



平家物語を題材にした大河ドラマで最高傑作といえるものは、恐らく過去・今後とも現れないであろうというのが自分の考えです。
あの優美で壮大な世界観を完全映像化するには、大河の予算数倍といわれるスペシャルドラマ「坂の上の雲」のさらに数倍の予算をかけなければならないと思います。
戦国以前の大河は衣裳小道具が大変手が込んでおり大河ドラマの予算として最上クラスのジャンルなのです。
なので源平合戦を舞台にしながらも義経・清盛個人や鎌倉幕府メインの変化球でいくのは、現行大河の予算上正解だと思います。

ちなみに私が現在平家ものの映像作品の最高傑作としているのはドラマでも映画でもなく、NHKが作った人形劇「人形劇スペクタクル平家物語」です。
これは大河でもやった吉川英治の「新・平家物語」を人形劇ながら大河ドラマ並みの予算で完全映像化した作品で清盛の生涯から始まり、源平合戦における平家の滅亡・さらにその後追われる義経の最期までを描いており、
映像作品の中で最も「平家物語」の主題たる『諸行無常』を伝えてると思います。





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