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つくしのつれづれノート


スチームパイレーツ ㊙明治海賊征伐記 あらすじ1

日本海軍70年の歴史においてただ1隻、煙のようにこの世から姿を消してしまった軍艦が存在する。
その名も巡洋艦・畝傍。
畝傍は朝鮮を巡って清国と対立し海軍の拡張を図っていた明治の中頃、フランスで建造された軍艦である。列強の主力軍艦に比べて小さいもの、強力な大砲とスピードを兼ね備えた鋼鉄の軍艦である。
間違いなく明治海軍のエースとなるはずであった。

…ところが明治19年(1886年)12月のこと、艦が完成しフランスから日本へ回航されている途中に立ち寄った東南アジアのシンガポール港を出港後、行方不明になってしまったのである。
当時の貧しい小国日本がなけなしの大金をはたいて買った高い軍艦が行方不明になったということで、日本は血眼になって何ヶ月も捜索したものの、とうとう漂流物一つ発見することさえできなったという。

結局嵐にあって沈没したのだろうと結論された。
しかしこの謎めいた消失事件は世間の関心を大いに注ぎ、「敵国に拿捕された」だとか、「西南戦争を生き延び、海外へ逃れた西郷隆盛が畝傍に乗ってやってくる」とか、日露戦争のさなかには「バルチック艦隊の中に畝傍が紛れ込んでいる」などという畝傍にまつわる根も葉もない噂が世間をかけまわったりした。

いずれにしろ、この巡洋艦・畝傍消失事件の真相は解明されることなく、公式記録には現在に至るまで謎とされている…






…話は飛んで畝傍が消失してから5年後の明治24年(1891年)に進む。
この頃、海上航路の大動脈とも言える東南アジアのマラッカ海峡の周辺海域で、航行する商船が共通の海賊船に襲撃される事件が相次いでいた。
当時の東南アジアは各列強の植民地として切り分けられており、植民地の治安を維持するためにそれぞれ軍隊を駐留させていた。その為、各植民地に駐留している列強の軍艦がこのマラッカ海峡を荒らしまわる海賊の鎮圧に乗り出した。
ところが、件の海賊船は列強海軍の駐留部隊でさえもでさえも寄せ付けないほどの強武装とスピードを誇っており、手を出すことができなかったのである。


そんな中、明治政府はこの海賊船の正体について驚愕の事実を知ることになる。

海賊船の正体が同海域で行方不明になった巡洋艦・畝傍だというのだ!

もし列強により海賊船が拿捕されその正体が白日の下にさらされれば、それを口実に戦争を仕掛けられることとて限らない。

そうなれば小国の明治日本はひとたまりもないであろう…
まさに日本存亡の崖っぷちである。


この窮地を打開するため日本は、海軍の軍艦3隻で編成した小艦隊をマラッカ海峡に派遣することになった。
表向きは海賊対策の商船護衛としているが、
秘密裏に列強よりも先に海賊船となった畝傍を葬り去るのが真の目的である。
出動した軍艦は畝傍と同等の力を誇るイギリス製の新鋭巡洋艦・浪速と国産の旧式軍艦の海龍・鳴門の3隻である。
この秘密艦隊の内容は今の感覚からしたらあまりにも頼りない艦隊なのだが、日本の存亡をかけたあまりにも重大な任務を背負って大海原へ飛び出したのである。





・…そんなわけで東南アジアのマラッカ海峡へ赴いた日本の秘密艦隊。
艦隊は畝傍が最後に寄港したシンガポール港を拠点に、マラッカ海峡を通行する日本商船の護衛を装いながら策敵活動の展開を始めた。(…と同時に艦隊から離れて現地で情報収集している人間がいるであろう。展開的に大冒険活劇を繰り広げてそうだが、現時点で白紙状態なので省く。)


そんなこんなしているうちに秘密艦隊は洋上でついに海賊船となった巡洋艦・畝傍と遭遇。海戦の火蓋が切って落とされる。

一見数が多い方が勝ちそうに見えるが、敵の海賊が強武装・高スピードを誇る軍艦・畝傍1隻のみであり自由に動き放題なのに対して、
秘密艦隊は旗艦こそ畝傍と同等の能力をを持つ巡洋艦・浪速であるものの、残り2隻の海龍・鳴門は旧世代の軍艦として攻撃力・防御力・速力すべてが劣る。艦隊運動をとる為には速力の遅い2隻に合わせなければならない。
畝傍を補足するには明らかにハンデがあるのである。

それでも艦隊は操艦技術で海賊船・畝傍に食い下がって包囲にかかかる。
たちまち海戦は至近距離からの大砲の撃ち合いになった。

巡洋艦・浪速と海賊船・畝傍は同時期に建造されており実力は伯仲している。しかし浪速の後続の2隻はそうもいかない。海龍と鳴門の2艦は鉄の骨組みに木板で表面を覆った半木造船である為、最新鋭の能力を持つ畝傍の強力な砲火にさらされたらひとたまりもないのである。
その事に気付いた海賊船・畝傍は砲火を浪速の後続の海龍・鳴門の2艦に集中させた。たちまち2隻は炎に包まれていった。

「後続に構うな!撃ちまくれぇっ!!」
なおも健在の旗艦・浪速はひるまずに畝傍と砲火を交える。
しかし、畝傍が放った砲弾の一発がたまたま浪速の艦橋に直撃し、提督以下艦隊を統率する幕僚がことごとく薙ぎ倒されてしまった。

そのすきに海賊船・畝傍は持ち味のスピードを生かして逃走してしまった。
艦隊は各艦それぞれが大混乱しており、支離滅裂である。
海賊船・畝傍を追尾する力はもはや残されていなかったのである…






…こうして畝傍との初対決は幕を閉じた。
艦隊のうち旧式軍艦の2隻は畝傍の砲火にさらされて炎上し海龍は沈没、鳴門の方は沈没こそ何とか免れたものの、もはやスクラップ同然であり戦列から落伍せざるを得ない。浪速も艦の損傷自体は大したことは無いが、艦隊の幕僚の大半が戦死・負傷して指揮系統が破壊されており、もはや全滅したと言っても過誤ではない状態であった。
日本艦隊は敗北を喫したのである。





…しかし、そんな絶望の中にも関わらず、艦隊を破った海賊船・畝傍が去った方向を凄まじい形相で静かに見つめている男がいた。
畝傍の砲撃によって薙ぎ倒された幕僚達の中で唯一難を逃れた浪速の艦長である。
「わしはあきらめん…たとえ一人になろうとも、必ずあの船を沈めて見せる…!!」
この男、普段は昼行燈と侮られているほど物静かな艦長であるが、不思議なことに砲火を交える前よりも闘志の炎をメラメラ燃やしているようであった…








…ホントは1話完結のつもりだったけど明らかに文字数超えそうな勢いなので≪あらすじ2≫へ続く!!

アバター
2013/12/05 23:10
物語の主要キャラクターが出来上がってない段階で文章化してしまったんです。コレ(苦笑)
十分なキャラクターありきでまともに文章化したら間違いなく百倍以上の容量の開陽冒険活劇になると思います。
なおラストに登場した艦長はゲスト的に登場した実在人物であるということを付け加えておきますwww
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2013/12/05 22:59
話の世界に吸い込まれてしまいましたw
いいな~みかささんみたいな文章能力が欲しい・・・

明治の時代で軍艦主役で明治維新で活躍した人が現れないストーリーって何だか斬新。

続き気になりますw
アバター
2013/12/05 22:22
奈柚様へ…実際に起こった畝傍消失事件を下敷きにでっち上げました。
あくまで大まかなあらすじを時数を稼いで文章化しただけなので小説とは言い難いと思います。
(なにしろ主要キャラクターが全く創造できてないわけで…)
完結してから種明かしするつもりでいます。
アバター
2013/12/05 20:33
え?これ みかささんが考えたお話?
ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ 面白いよ!軍艦の事なんか何も知らない私でも読めました^^
海賊船に成り下がった畝傍の話も聞きたいです^^




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