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つくしのつれづれノート


スチームパイレーツ ㊙明治海賊征伐記あらすじ4

時は明治、海賊船となって東南アジア近海を荒らしまわっている日本軍艦・畝傍を征伐するべく出動した日本秘密艦隊。一度は敗れたものの体勢を立て直して海賊船・畝傍に再び戦いを挑む。
新たな時代を切り開き進もうとする明治日本の艦隊と理想に殉じようとしたサムライ達の海賊船。
それぞれの運命を駆けて最後の戦いを始めようとしていた…!!
(あらすじのあらすじです。…毎度このようなわけのわからないことになって申し訳ありません。)








…単縦陣で包囲して集中砲火を浴びせんとする東郷平八郎提督代理が率いる日本秘密艦隊と、その真ん中をついて実景を崩さんと単縦陣に突っ込んでくる海賊・畝傍。
両者がそれぞれ射程距離に達した瞬間、戦いの火ぶたは切って落とされた。
「撃て―!!」
敵味方問わず全ての艦の砲門が火を噴いた。
大砲の数は少ないものの最大速力で砲火をかいくぐり、前方に据えた二門の主砲を艦隊二番艦・金剛に向け畝傍は発砲する。この主砲はこの戦いに参加軍艦の中で浪速の主砲に次ぐ強力な大砲である。
ねらわれた金剛の被害はたちまち拡大し、火の手を上げた。間もなく艦隊と畝傍は衝突するであろう。
しかし、彼らは皆衝突・撃沈覚悟でひるまずに応戦した。
その気迫に畝傍の側がひるみ艦の速力を落した。そのすきにを付き艦隊は方を猛射する。最新鋭を誇る畝傍も徐々に被害が大きくなっていった。

その時、畝傍の予想もしてなかった事態が起こった。
「後方に新たなる敵艦出現!!」
見張りの報告で畝傍船長は後方の振りむき双眼鏡をかざした。そこに見えたものは旭日旗を掲げ畝傍を超えるスピードで進撃してくる日本の軍艦であった。
巡洋艦・千代田である。千代田は闇夜に紛れ畝傍の死角に回り込んでいたのである。
「艦影不明…新型艦か…!!」
畝傍の側が判らないのも無理は無い。千代田は畝傍の喪失の保険金で作られた最新鋭艦なのである。
千代田は畝傍を上回るスピードであっという間に距離をを詰め畝傍と艦を並べた。
「このままでは囲まれるぞ。直ちに全速力でこの海域から離脱!両舷全砲門開き応戦!!」
たちまち畝傍の全大砲が火を噴いた。右舷の砲はすべて千代田に集中した。
だが千代田は畝傍を上回る装甲でもって砲弾を跳ね返し、集中砲火をモノともせずに突き進む。そして…

千代田は畝傍に体当たりしたのである。

たちまち艦は揺れ、激突のショックで畝傍・千代田両艦の大砲は沈黙した。
両艦は接舷している状態である。
その瞬間、千代田の甲板から信号ラッパが高々と上がった。
「今だ!総員畝傍へ突撃ー!!」
士官の号令と共に時の声が上がりサーベルや銃剣を付けた小銃を装備した水兵が畝傍にとりついたのだ。とりついた水兵たちはたちまち畝傍の甲板に乗り込んでいった。
「何てことだ…」
畝傍の船長は絶句した。
それまで指揮をとっていた環境から見下ろした先には戦国時代さながらの白兵戦が繰り広げられていたのである。




乗り込み戦法…
これが東郷平八郎が裁可した作戦であった。
敵艦横に接舷して乗り込んで制圧する乗り込み戦法(アボルタージュ)は19世紀前半まで世界中の海軍・海賊たちに長らく使われてきた海戦戦術の基本であった。しかし軍艦が機械化され大砲の射程距離が伸びるにつれて、乗り込むために安易に敵艦に近づくことができなくなった為、廃れてしまった戦法でもあった。

しかし東郷は新政府海軍の士官として参加した戊辰戦争で、旧幕府海軍の甲斐源吾と新撰組副長・土方歳三による新政府海軍の軍艦「甲鉄」への奇襲さながらの乗り込み戦法を目の当たりにした。
1869年の宮古湾海戦である。
旧幕府海軍側の乗り込み戦法は結局失敗してしまったが、すでに廃れた戦法で勝負を挑んだ旧幕府海軍の雄志は世界中の海軍を驚かせた。
東郷平八郎はこのありえないはずのことが起こったこの海戦に衝撃を受け、この海戦のの本質とも言える、「意外こそ起死回生の秘訣」を常に胸に抱き海軍キャリアを重ねていく…

しかし攻撃力と速力に長けた畝傍を相手に乗り込むのはあまりにも無謀極まりないことであった。近づいても強力な砲撃によって乗り込む前に撃沈されてしまうのがオチである。
だが畝傍の後に建造された巡洋艦・千代田ならば、他の3巻を囮にして畝傍を上回る鋼鉄の鎧と速力で、畝傍に乗り込み戦法を成功させることができるかもしれない…
子供じみた発想にすぎなかったが、東郷平八郎はこのあまりにもリスキーな作戦に全てを懸けたのである…






「艦砲を占拠しろ!!」
拳銃とサーベルを持った海軍士官が叫ぶ。
畝傍側の船員も慌てて刀や銃を手にとって応戦したが先手を取られて浮足立った。当初乱戦状態だった畝傍の甲板は次第に千代田からの離婚ねきたす兵たちに圧倒され、次々と艦隊を苦しめてきた大砲が制圧されていった。
(その中で畝傍の船長と主人公格のキャラが刀を手に取り一騎打ちを展開する。)
そうしている間に囮を務めた浪速以下満身創痍の日本秘密艦隊三艦が、ガッチリ距離を詰めて畝傍を包囲を完了していた。
もう畝傍に逃げ道は無い。


もはやこれまで…
すべてを悟った畝傍の船長は生き残った乗組員と共に畝傍の弾薬庫に立てこもり、自爆した。その爆発は畝傍を制圧した千代田の水兵を巻きこんだ。
そして海賊船・畝傍はまるで断末魔を挙げるが如く、すさまじい轟音と共に南海の海に沈んだのである。






海賊船・畝傍の存在は明治日本の存在自体を揺るがす為に決して知られるわけにはいかない。
明治政府は事件に関するあらゆる痕跡を消し、事件を闇に葬って行った。事件を引き起こした海軍にもメスが入り、海軍の体勢更新を口実に畝傍の反乱部隊に巨力した海軍士官も秘密裏に処分されたという。


今に残るのはシンガポールを発した新鋭巡洋艦・畝傍の消失と、時を同じくして南国の海に出現した謎の海賊船の伝説が伝えられているのみである…








なお余談ではあるが、この闇に葬られた海戦を勝利に導いた東郷平八郎は3年後の明治27年(1894年)の日清戦争で引き続き浪速の艦長として従軍する。その10年後の日露戦争では連合艦隊司令長官となり、「意外こそ起死回生の秘訣」の信念を胸にしてバルチック艦隊を日本海海戦で破ることになるのである。







スチームパイレーツ ㊙明治海賊征伐記あらすじ

完了

アバター
2014/01/20 23:23
奈柚様へ…東郷を出すうえでを出すうえでクライマックスは戊辰の敵艦への斬り込みの再現以外ないと最初から思ってましたwww
軍艦内の自爆や自沈行為って結構あることなのだし、畝傍もそのまま世に残す形で降伏する史実と結構矛盾しちゃうので、サムライの切腹的な感覚で自爆させました。


それにしてもまさかあらすじ3が5000近くになってあらすじ4まで続いてしまうとは思いませんでした。結構不覚ですね(苦笑)
アバター
2014/01/19 22:18
そかー!最初の3艘はオトリだったのね!
東郷平八郎の奇襲作戦 
やはり奇襲でなければ!
それにしても 終わりが弾薬庫に火をつけるとは
派手にいきましたね!
面白かったです♪

小説を書くと ついつい字数制限オーバーしちゃいますよね^^;
私はいっつもです なので後から削るのだけど これも大変なんよね・・
最初に前回までのあらすじ を書いてくれるのは親切ですよね^^
アバター
2014/01/19 10:59
みくさまへ…史実と嘘のチャンポンというカンジです。
実際に起きた明治の巡洋艦・畝傍消失事件を下敷きにして、もし畝傍が海賊船になっていたらと仮定して話をでっちあげました。
なお序盤で畝傍に沈められた海龍・鳴門の二艦以外の軍艦は皆当時実在した日本海軍の軍艦で特に途中から登場する金剛・比叡・千代田は当時の配置状況をもとに物語で動かしています。

ついで言うと東郷平八郎の戊辰戦争の体験も事実であり、その時の教訓「意外こそ起死回生の秘訣」は後の日本海海戦の大勝に影響を与えたと言われています。

とりあえず史実と嘘のチャンポンなので解説編の方を後日作るつもりです。




…で文章についてですが歴史を中心にして雑学が大好きな為、なにか記事を書く際にはとりあえずため込んだり新たに取り入れたものを総動員して組み合わせて文章にしているつもりです。
何か書く際にこだわってること特にありませんが、とにかくマニアックなり過ぎないようになるべくわかりやすい読みやすい文章を書くよう心がけてるつもりです。
アバター
2014/01/19 09:30

これは・・・
本当のお話なんですか!?(焦)

東郷元帥がロシア艦隊に勝ったのも
「意外こそ起死回生の秘訣」が身に染みていたため!?

でも、そうですよね
こういうキャリアの積み重ねがなきゃ
あんな大胆なこと俄かにはできませんよね・・・

あ、そうそう
老け込んでる感じはしないです。
文章が鮮烈でおもしろいし
なんかでも
熟達してるっていうかwwww
なんていったらいいんだろ・・

また、ブログこっそり読みにきます




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