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つくしのつれづれノート


第0次世界大戦開戦から110年目

今年2014年は1914年に勃発した第一次世界大戦(WWⅠ)勃発からちょうど100年目に当たり、今年はヨーロッパを中心に様々な式典が行われるのだろうと思いますが、
そのWWⅠ開戦をさかのぼること10年前の1904年は日本とロシアが満州を戦場に繰り広げた日露戦争開戦の年なんですね。(開戦の日は2月8日だったので先月のその日に記事にするつもりだったのですが、ちょうどその日大雪の中でインフルの高熱で苦しんでた為に叶わなかったわけで…無念!!)

この日露戦争を歴史学の専門用語で第0次世界大戦と呼ぶのだそうです。

というのもこの日露戦争
・機関銃を本格的に使用する塹壕戦が行われた20世紀最初の殺戮戦だということ。(ドラマ「坂の上の雲」を見るとよくわかります。)
・共に総力戦状態になっていたこと。(ロシア側はだいぶ余裕あったけど後半革命により戦争継続が不可能になります。WWⅠも右に同じくロシア帝国は革命で滅亡します。)
・1対1のタイマンの戦争ではなく、日露双方に強力な後ろ盾を構えていた多国間の複雑な国際関係が絡んでおり、(日本側には同盟国イギリスと経済援助国アメリカ、ロシアにはドイツとフランスの三国干渉の関係国といったところか)、大げさですがもし日露戦争に第3者が介入した場合世界大戦になってもおかしくは無かったということ。(日英同盟はそれの予防の効果があった。)
・WWⅠの各陣営の対立関係はこの日露戦争の結果によって形作られたということ。

このような一筋縄ではいかない要素をはらんでいた為、WWⅠのプロトタイプおよびWWⅠへの伏線になっていく為第0次世界大戦と呼ばれるのだそうです。



…で日露戦争の概要は以下の如し
(各戦闘概要はこれまでさんざんやってるので省きます。)

事は日露戦争より10年前の1894年の日清戦争にさかのぼります。
日清戦争にで勝利した日本は清国から台湾と遼東半島を割譲しましたが(この割譲の量は大国の戦争よりも破格なんだとか)、そこへロシアを筆頭とする露仏独の強大な軍事力を背景にした三国干渉によって遼東半島を返還せざるを得なくなり、しかも返還した遼東半島がロシアのものになってしまった為に、日本は戦争には勝ったものの帰って強国の脅威にさらされる結果となってしまいます。

ロシアは伝統的に不凍港を求めての南下政策を伝統的にとっており、19世紀に黒海から地中海進出を狙って100近くオスマントルコと戦争をして挫折した為、極東アジアにてお伸ばしたのでした。(現在政権が倒れてきな臭くなっているウクライナのクリミア地方はその南下政策の過程で起こったクリミア戦争(ナイチンゲールやセヴァストーポリ要塞で有名。)の激戦区だった場所であり、現在に政情不安はその当時の南下政策の延長線といっても過言ではないわけです。)
遼東半島を手にしたロシアは遼東半島の旅順港にバルチック艦隊に匹敵する規模の旅順艦隊を配置し(日露戦争時の連合艦隊は自分と同じ規模の艦隊2つと対決し屠ったわけである)、さらに日本の最隣国である朝鮮にまで進出しようとして日本の驚異は日に日に増していくという状態になりました。

日本は対露戦を意識して大増税に国家予算の半分を軍事費にあてる大軍拡を始め(その大半が海軍拡張に使われたそうだ。)、さらに三国干渉の様な第3者の横やりを阻む為にイギリスと日英同盟を結び、アメリカからは多額の経済援助と講和条約の仲介してもらうことになります。
イギリスは当時の超大国として君臨してロシアと対峙していたものの当時遂行していた南アフリカのブーア戦争で余裕がなく、日本を対露のコマにあてる思惑がありました。
アメリカの方は列強として中国進出に出遅れていた為、日本の後ろ盾になることで中国市場(特に日露が争っている満州)の分け前を得る算段たったのです。

一方ロシア。
こちらは日本の軍事力を甘く見て日本ほど綿密な外交戦略はとってなかったみたいなのですが、日露戦争の国際関係を見るうえで見過ごすことのできない行動をとっていた国がドイツ帝国でした。当時のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世はロシア皇帝ニコライ二世にしきりに極東進出をそそのかしていたらしいのです。
実はドイツ(特に皇帝ヴィルヘルム二世)はこの日露戦争を引き起こした影のフィクサーともいべき存在であり、上記の日英同盟も元々日独英三国同盟としてドイツが持ちかけたものだったのです。
ドイツとしては日露戦争を通して大国の英露をはじめとした列強国の多くが消耗していく様を高みの見物にしてそれらになり代わって世界政策で台頭していくつもりだったそうです。

そのような大国間の様々な思惑の元に日本とロシアは対立を深めていき、
1904年2月8日に日露戦争が開戦します。


結果は20世紀最初の殺戮戦の末、かろうじて日本が軍事的にロシアに優位となり、
(海軍側は大勝でしたが、メインの陸戦が6分4分の優勢であり、戦争がさらに長期化すれば確実に陸軍が壊滅する状態だった。)
日本海海戦後アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領(テディベアの語源の人)の仲介によるポーツマス条約によって日露戦争は日本の勝利に終わります。





…でこのブログで問題にしてるのは
この日露戦争の後何が起こったかということ。

日露戦争後ヨーロッパとアジア側で大国間の国際関係が変化したのです。

まずヨーロッパ
日露戦争の敗北によってロシアは対立していたイギリスと関係を深めさらにフランスとも結んだ三国協商勢力(WWⅠの連合国側)を作り上げてドイツを包囲してしまったのです。イギリスにしてみれば最高の展開だった一方、高みの見物に台頭していくはずだったドイツは逆に挟み撃ちになったことで国中がパニックになったといわれ、ドイツはオーストリア・イタリアと結んでいた三国同盟で対峙。(最もイタリアは土壇場で連合国側に寝返りますが…)
そして1914年、第一次世界大戦勃発(1914~1918年)
1939年からはその余波とも言える第二次世界大戦が勃発し(1939~1945年)、ヨーロッパは荒廃します。

一方アジア
日露戦争後日本とロシアは日露協約を結んで満州の権益を仲良く山分けしてしまった為、日本の後ろ盾となって中国に進出しようともくろんでいたアメリカは事実上中国市場から締め出されてしまったのです。まさに骨折り損のくたびれ儲け。
さらに日露戦争後に日本海軍の連合艦隊が太平洋最強クラスの海軍勢力となったことで安全保障上の驚異ともなってしまったのです。
ここから日米対立が始まり
1941年、太平洋戦争(1941~1945年)によって日米は前面戦争になってしまいます。

そして1945年以降の東西冷戦を経て現在に至るわけです。






日露戦争って戦争の世紀20世紀の幕開けの象徴とよく言われるのですが、軍事技術や戦術面の向上や列強の国際関係の変化を見ていくとそれがよくわかります。
日本人は日本史として日露戦争を見る場合、日清戦争の尻ぬぐいみたく感じることがあると思うのですが、世界史としていろんな角度から眺めた場合、
日露戦争によって殺戮の20世紀へ向かうパンドラの箱を最初に開けたのかもしれないという感覚があります。(もっともどこの地域でも同じ展開になる可能性はあったかもしれないが…)

日露戦争はまさに戦争の20世紀の方向性を決定づけた大事件だったのです。

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2014/03/04 22:48
とぴはっと様へ…糞ブッシュのイラク戦争は最悪でした。
テロとの戦争を謳ってテロと何にも関係ない国を攻め滅ぼしたうえに、本当にテロリストを呼び込んでベトナム戦争みたいな泥沼化を招いたわけですから…
「テロとの戦争」を謳っておいて一番テロリストを賛美してるのはおまえだろと突っ込みたくなるほど腹立たしかったです。(アメリカ人の何割かは911テロはブッシュの自作自演だと信じているらしい。)

とりあえずロシアの軍事介入・併合は無いと報道されて安心しましたが(すでにクリミアを掌握してる時点でアウトなんですが…)、もし全面戦争になると西側との対立が鮮明になるうえに中国と確実に結託してしまうのでホントにヤバいなと思ってました。
(そうなるとニュースで報じられている自衛隊の組織は一改革がパアになり、南北両方に対処せざるを得なくなります。)
いずれにしろむやみやたらに戦争仕掛けるような国は絶対に痛い目に遭いますよ。
(米露もそれぞれベトナム戦争とアフガン侵攻で痛い目に遭っているのにそれでも懲りないわけだからタチが悪いです。)
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2014/03/04 22:05
ブッシュのイラク戦争…
そうそう、それがあるから、今アメリカがロシアを非難してるのが滑稽でならないのです。
イラク攻撃のどこに正当性があったのか、と。
俺が他国に戦争仕掛けるのはいいけどお前がやるのは駄目って、駄々っ子かジャイアンか( *´艸`)

ロシアを擁護する気はまるで無いのですが、大国が軍事的に動いた際、
ヨーロッパアメリカは正義で、ロシアは利権で動いていると判断されるのはなんかハテナですね~(-公- ;)

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2014/03/04 12:15
とぴはっと様へ…ロシアの狙いはクリミアにあるセヴァストーポリ軍港を維持することにあります。あそこが使えなくなってしまうと地中海・大西洋まで進出するロシア黒海艦隊が成り立たなくなってしまうからです。やってることは19世紀の南下政策と何ら変わりません。

いずれにしろロシアだろうがアメリカだろうが中国だろうが大国風を吹かせてるような国はホントろくなことをしません。自分が強けりゃ弱い国に難癖付けて平然と踏みにじりますし…(糞ブッシュのイラク戦争とかはその典型でした。)
ロシアももし前面戦争になった場合ロシアはかつてのアフガン侵攻みたく泥沼にハマるのではないでしょうか。
いずれにしろクリミアの外に軍を進出させたら完全にアウトになるでしょうね。
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2014/03/04 02:11
歴史には頓と疎いのでちょっと話題違うかもですが…(^-^;)

仕事から帰宅し先程夕刊に目をやったら
「ロシア、クリミア掌握へ」の文字。

ロシアって、110年経った今でも現役さんなんですね(-公- ;)


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2014/03/02 20:05
家主(≡▽≡)Z …そうですよね。教科書を棒読みしてる授業は授業でもなんでもありませんよね。
私ミカサは歴史大好きですが、高校の日本史がこの有様だった為成績は赤点スレスレでした。
ある程度噛み砕いた内容でないとなかなか理解して頭に入りませんよね。

大国同士が世界を舞台に壮大な勢力争いをする様をグレートゲームというそうで
今回題材にした日露では日本はグレートゲームの駒にすぎませんがそのあとにプレーヤーとして中国侵略に乗り出すわけですね。
で、今現在中国とアメリカ勢力が東太平洋でグレートゲームを展開してるわけです。
いずれにしてもグレートゲームの類は迷惑極まりないです。
安倍総理の地球儀が以降もある意味グレートゲームといえるかもしれませんね。
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2014/03/02 19:37
sakino様へ…私ミカサは日露戦争を描いた司馬遼太郎の「坂の上の雲」の大ファンであると同時に、大学時代近代アジア史を専攻していたので多少のことは知ってるんですよ。
もっとも今回のブログはドラマ「坂の上の雲」放送時にNHKでやってた日露戦争の特番を参考にしていますが…
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2014/03/02 05:41
ああ~っ 学生の頃、こんな風に教えて戴いていたら、歴史は苦手教科じゃなかったのに・・・!!
何で学校って「何年に起きた何事件」とか、上っ面しか大事にしないんでしょう・・・。

戦争って、各国の思惑による手駒を使ったテーブルゲームを、実際の人間と資材を使ってやっているのだなぁと気付かされました。
その戦争のスタイルも、そろそろ変わってきているでしょうか・・・? 変わってほしいですが。
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2014/03/01 23:56
第0次世界大戦という言葉初めてききました。@@

物知りなのね@@ "φ(・ェ・o)~メモメモ






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