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つくしのつれづれノート


ゴジラvsビオランテ

すでに海の向こうでメガヒットとなっているハリウッド版「ゴジラ」(2作目 早く日本公開が待ち遠しい!!)に触発されて本場日本の過去のゴジラ映画を最近見直しているんですが、その中で自分が好きな作品がこの1989年公開の「ゴジラvsビオランテ」なんです。(「ゴジビオ」「ビオゴジ」)
この映画は前作84年「ゴジラ」(75年「メカゴジラの逆襲」以来9年ぶりのゴジラ映画。)の直接的な続編にあたり90年代の大ヒットシリーズである平成vsシリーズの出発点になるわけですが、驚くべきことは
なんと原作ストーリーを一般公募で決めた作品なのです。
(しかも審査員の中にはマンガの神様・手塚治虫もいたんだとか…)
その結果原作に決まったのが当時の最先端技術だったバイオテクノロジーを題材にした「ゴジラ対ビオランテ」だったわけです。(しかも原作者は特撮ファンだった歯科医であり、わたしミカサのすむ鎌倉では医者さんをやっています。)
この原作をもとに
監督・脚本…大森一樹
特技監督…川北紘一
(この二人は全vsシリーズの立役者とも言える。)
音楽…すぎやまこういち
(戦闘曲・自衛隊マーチがドラクエの戦闘・フィールド音楽っぽいですwww)
というそれまでのゴジラ映画とは一線を画したスタッフ布陣で挑んだこの作品は、90年正月映画ナンバー1ヒットを宣言して公開したわけです。




そのあらすじがこちら
物語ゴジラの東京襲撃(84年「ゴジラ」参照 前作ラストでゴジラは三原山の火口に沈みます。)直後から始まる。壊滅した新宿都心部、では瓦礫に付着したゴジラ細胞(G細胞)を巡り壮絶な暗闘が繰り広げられていた。G細胞には核兵器を無力化させる兵器の生成が可能な為様々な国組織が狙っていたのである。その壮絶な争奪戦の結果爆発テロまで発生し、それを見た自衛隊は採取したG細胞を封印した。
…しかし5年後ゴジラ復活の兆しが見られるようになり自衛隊はゴジラ対策の生物兵器・抗核バクテリア(ANEB)の作成のためG細胞封印がとかれたのだが、それが元で五年前のG細胞(今回はANEB)争奪戦が再び始まり、結果テロリストが三原山に仕掛けた爆弾が爆発しゴジラが復活してしまう。
一方ANEB開発の総責任者白神博士は秘密裏に5年前の争奪戦の犠牲となった娘の遺伝子を組み込んだバラにG細胞を組み込み不死のバラを作成したのだが、バラは怪獣化したビオランテとして箱根芦ノ湖にその巨体を現す。
同じ細胞を持つゴジラとビオランテは互いの存在を意識して対峙し、自衛隊は総力を挙げてゴジラ駆逐に熱意を燃やす。
戦いは芦ノ湖から大坂・若狭へと展開する。



あらすじ書いた本人が言うのもなんですが
正直ややこしい


とにかくそれまでとは一線を画したゴジラ映画ということでスパイアクションや軍事戦略など様々なジャンルが盛り込まれた作品として、映画の完成度は大変高いと評価されているそうです。
この映画を一言で表すと
自衛隊が戦略的にゴジラと戦うのがメインな映画です。
ゴジラの襲撃地点を予測して総力戦をしかけようと陸海空自衛隊が行軍する場面は他のゴジラ映画ではあまりなく、さながら参謀を主役にした戦争映画みたいです。
一応他の東宝特撮映画に洩れずにスーパーxⅡやメーサー戦車などの超兵器は出るもののあくまで自衛隊が総力でゴジラを圧倒するための駒にすぎず。作中では最終的な作戦成功のため途中で切り札の超兵器さえも捨て駒となっていました。
その為怪獣映画なのに怪獣より自衛隊の方が目立ってしまい、バラの怪獣ビオランテなんか地味に感じる人が多いのだとか…


そして他ジャンルを詰め込んだ作品の為
個性的な登場人物がゴジラ以上に活躍します。
代表例を挙げると↓

・黒木特佐(高島政伸)…自衛隊の対ゴジラ最高指揮官であり敵に勝つ為にあらゆる手段も辞さない非常な面を持つ。離婚後の悪役で一皮むけた高島弟も好きですが「ゴジビオ」や大河「太平記」時のデビュー間もない高島弟の存在感はホント半端ないです。

・権藤一佐(峰岸徹)…国土庁へ出向してゴジラを監視していた陸自士官。他人事のような不謹慎かつ呑気な言動が多いが凄腕のベテラン自衛官。ANEBをゴジラの口に直接打ち込んだ直後ゴジラの攻撃で死亡。最後まで不謹慎で呑気な言動でとしたその活躍はまるで当時の大ヒット刑事ドラマ「あぶない刑事」を彷彿させました。

・三枝未希(小高恵美)…自衛隊の戦力としても登場したゴジラを感じることができる超能力少女。ゴジラの理解者として95年の「ゴジラvsデストロイア」までの全vsシリーズの影のヒロインとも終える存在。小高恵美は沢口靖子や長澤まさみ同様東宝シンデレラなのですが、vsシリーズ以外のテレビや映画で見たことがなく女優引退してしまったらしい…

・SSS9(マンジョット・ベディ)…中東国家サラジア(明らかにサウジアラビア…)の凄腕工作員でありG細胞の争奪戦で暗躍する。SSS9役は役者ではなくインド出身の広告クリエイターであり、外人役者の通訳だった所を即席採用されたらしい…なのに他のキャストを喰う存在感を見せつけるって…(苦笑)

・白神英理加(沢口靖子)…G細胞争奪戦の犠牲になった白神博士の娘。エリカの遺伝子を組み込んだバラにG細胞を組み込んで怪獣ビオランテが誕生する。沢口靖子は前作84年「ゴジラ」のヒロインだった故の特別出演だが、5分にも満たない登場にもかかわらず作中全体に存在感抜群ってのは…(苦笑)

そんなあまりにも濃過ぎるキャラクターがひしめき合っている中で、まるで盲腸のように「こいつさえいなければもっと面白そうなのに…」
と思う登場人物もいました。
それが主人公とヒロインを演じた三田村邦彦田中好子でしたwww
役柄はお堅い遺伝子学者と遺伝子バンクを行っている財団の娘という地味な立場であり、一応恋愛担当ポジションいるみたいでしたが怪獣映画にしかも上記の濃過ぎるキャラ盛り沢山中で一番影が薄い存在でした。なんでこんな微妙な役柄を中心に据えたんだ…(すべて役柄いけないのであり三田村・田中に罪はありません。)

他にも管制室でスーパーXⅡを遠隔操作していた隊員(チョイ役)が鈴木京香・豊原功補が演じていました。正直このチョイ役の方が三田村・田中の役よりよかったような気がしますwww





…これだけ凝った意欲作が公開されてどうなったかというと
前作の6割の興行収入に堕ち込み大ゴケしてしまいましたwww

前作から5年のブランクがあれば当然当時のゴジラブームも覚め、しかも久々なのに王道ではなくとことんマニアックで複雑なストーリー展開を見せる怪獣映画だった為主要客層の子供に受けが悪かったのだそうです。この結果にゴジラの可能性を見いだそうとしたスタッフはこれがゴジラシリーズの断末魔になるのではと覚悟したそうです。
ところが大ゴケした異色作ではありながら以外にもゴジラ映画ヒットへの可能性が認められてシリーズ続行が決定。

2年後の91年「ゴジラvsキングギドラ」の大ヒットでvsシリーズはおろか90年代怪獣特撮ブーム(ガメラ・ウルトラマン)に火をつけることになります。

vsシリーズ展開中だった私ミカサ小学生の頃はゴジラ映画が当時のジブリ映画と伯仲するほど大人気だったんですよ!
そのブームがこんな映画から始まったかと思うとホント驚きです。





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