Nicotto Town


つくしのつれづれノート


夏にピッタリな小説その1 海洋冒険小説


夏といえばホラー…
ってな安直な連想で思いついてみたのが
海!!
青い海、白い砂浜、酸産と光輝く太陽
綺麗な水着のお姉ちゃんとのひと夏のアバンチュール…ってなシチュエーションを御所望の方は
今や国会で老害をまき散らし続けている石原慎太郎の「太陽の季節」なんかがおススメです。
政治家として石原慎太郎は極右の危険人物なイメージですが小説家として時代を象徴する偉大な人物には違いありませんから…(妄想を物語に形作る小説家が政治家を名乗ってるにすぎないという意見もある)

まあ今回紹介したい小説は「太陽の季節」のようなひと夏のロマンスの様なものではなく
海洋冒険小説といったものです。



海洋冒険ジャンルとして現在メジャーなのはジャンプで連載中の「ワンピース」やジョニー・デップ主演の「パイレーツオブカリビアン」シリーズなどでしょうね。
要するに海を舞台に繰り広げられる冒険活劇ものということです。


とりあえずこのジャンルの発症と起源は19世紀頃のイギリスになります。
この頃のイギリスは世界最強の海軍力を背景に世界を股にかけて植民地を拡大していった時代であり、その大英帝国の黄金時代を伝えるこの海洋冒険小説がイギリスでは非常に身近に読まれているのだそうです。(「パイレーツオブカリビアン」も時代的にはナポレオン戦争後の1820年代頃が舞台みたいです。)
要するに日本の時代劇アメリカの西部劇に相当するジャンルといったら解り易いかもしれません




…で
海洋冒険小説の古典作品といえば

「海底二万海里」(ジュール・ベルヌ)…ネモ船長の潜水艦ノーチラス号!!「海底二万海里」に「天空の城ラピュタ」のプロットを掛けあわせたのがアニメ「ふしぎの海のナディア」だったりします。
「宝島」(ロバート・ルイス・スティーヴンソン)…宝の地図をもとに海賊と戦いながら宝探しをする物語。宮崎駿がスタッフとして参加した「どうぶつ宝島」は主人公の名前以外は全くの別物。

上記二作品はあまりにも有名ですよね。



現代の海洋冒険小説の元祖として有名なのが
1930年代~1960年代に展開された
セシルスコット・フォレスターの「ホーンブロワー」シリーズ
ナポレオン戦争を舞台に若きイギリス海軍士官のホレイショ・ホーンブロワーが知恵と勇気で活躍して手柄を挙げる物語です。

この海洋冒険小説はイギリス・アメリカで大人気であり映画やドラマにもなっています。(図らずも両方とも見ておりますwww)
現代の海洋冒険小説の多くはこの「ホーンブロワー」シリーズの影響を受けており(中には作中にホーンブロワーが登場するものもあるという…)、
ちょっと前に公開された映画「マスターアンドコマンダー」もその中の一つを原作にしております。






…でここからが本題
(前置き長いよ!!)
ズバリ日本の海洋冒険小説は…?



それが少ないわけで…

要するに本家海洋冒険小説が生まれた背景にある大航海時代や19世紀前半の帆船の軍艦での冒険さながらに大活躍したイギリス海軍とは違い、日本の日本海軍は幕末の黒船に始まる機械化された軍艦と組織としてシステム化された近代海軍を猛スピードで導入して強大化された海軍である為(それ故に経済大国日本が成立する)、
中々上記のような海洋冒険小説の生まれ易い土壌ではないのです。
(一応例外的に日露戦争の戦勝気分の中で書かれた明治末期の「海底軍艦」シリーズがあります。ゴジラなどの東宝特撮映画やアニメで有名ですよね。)
なので日本で海軍などを舞台にした小説の大半は歴史小説か戦記小説といったカンジです。
(海軍草創期を描いた「坂の上の雲」も日本の近代国家建設を描いた歴史小説です。)


そんな中日本の海洋冒険小説の名作作品が
「遠い海から来たCOO」(景山民夫)
南太平洋を舞台に主人公の少年が拾った絶滅動物のプレシオサウルスの子供COOをきっかけに核実験を巡る陰謀や秘密組織との暗闘が繰り広げられる。
…直木賞受賞の有名作品であり、コミカライズだけでなくアニメ映画化もされており、わたしミカサが子供の頃大変話題になりました。

「終戦のローレライ」(福井晴敏)
太平洋戦争末期、敗戦確実の戦況をひっくり返すといわれるローレライシステムを搭載した潜水艦イ507は太平洋の海底に沈んだローレライシステムの中核の回収の為太平洋に乗り出した。困難の末少年兵折笠征人がローレライシステムの中枢で見たものは少女パウラだった。以後イ507はパウラ中核のローレライシステムを巡りアメリカ海軍の大艦隊との戦闘と破滅的な陰謀に巻き込まれることに…果たしてイ507の進むべき道とは…
…樋口真嗣の映画ローレライの原作(というより姉妹作)。「亡国のイージス」で名を挙げた福井晴敏が樋口真嗣から潜水艦に女の子を乗せた映画を作る前提で書かれた小説。映画は微妙ですが、原作は「天空の城ラピュタ」みたいです。(特にエピローグがみんなが望むラピュタのその後みたいですよww)吉川英治文学新人賞受賞作品。


他にも日本に帰化したイギリス人C・W・ニコルによる明治~大正の日本海軍の成長期を舞台に描いた「勇魚」「盟約」「遭敵海域」「特務艦隊」のシリーズがありますが、これを日本の海洋冒険小説といえるかはちょっと難しいかもしれませんね。(どっちかというと「ホーンブロワー」に始まる本場の海洋冒険小説の系譜といえるかもです。)




とにかく自分が読んだ海洋冒険小説はこんなカンジです。
みなさんもこの夏の季節に海洋冒険小説で海に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

アバター
2014/07/04 21:00
かなで様へ…個人的には「十五少年漂流記」は海洋冒険小説の範疇に入ると思ってます。結構いろんな作家がパロディにしていてその中のひとつに最初の「ガンダム」があったりするから面白いですよね。

「遠い海から来たCoo」は直木賞受賞作品なんです。
高校のとき使ってた国語資料の中にある芥川賞・直木賞の歴代リストにしっかりと記述されておりましたから間違いありません。
「世界で一番有名な動画サイト」で「Coo」のアニメ映画がまるまるアップされてたので見たのですが多分当時のスタジオジブリよりもアニメのクオリティが高いと思います。マジでスゴイです。
アバター
2014/07/04 13:16
海洋冒険物と聞いて「十五少年漂流記」が思い浮かんだ私は、かなりずれてる奴かも(^^;)

COOって受賞作品なんですか?!Σ(◎△◎) た、たしか家に文庫本あったような…探して読んでみようっと。
アバター
2014/07/04 10:06
家主(≡▽≡)Z 様へ…直接的な元ネタは1959年の東宝の円谷英二による戦争映画「潜水艦イ-57降伏せず」とされているんですが、原作者福井晴敏自身は「∀ガンダム」のノベライズ「月に繭地には果実」や最新の「ガンダムUC」の原作を手掛けるほどのガンダムマニアということもあって、「終戦のローレライ」がガンダム作品からの影響を受けていたとしても不思議ではありません。
なお映画版「ローレライ」は冒険活劇の要素をズタズタにしている為先に小説を読んでしまうとまったく重しくありません。樋口のストーリー無視の映像至上主義に本当に腹が立ちましたよwww

海底探検がお好みとあればジュール・ベルヌの「海底二万海里」やそれを原案にした「ふしぎの海のナディア」がおススメです。「ナディア」の方は総監督の庵野秀明ほか絵コンテと監督に樋口真嗣・キャラデザが貞本義行と後の「エヴァ」のメインスタッフがごっそりと参加しているので面白いですよ。
アバター
2014/07/04 08:29
ほほう、「終戦のローレライ」(2002年作品)ってそんな話だったんですね。
「ガンダムX」(1996年作品)の中の、「ローレライの海」に出てくるLシステムと内容が全く同じなのですが、あのアイデアはもしかして福井さんが出されたのでしょうかね?
イ号、生物によるシステムというのは「絶対可憐チルドレン」でも出ていますが、こちらはオマージュでしょうか^^

太平洋が目の前にある土地のせいか、海洋冒険よりは海底探検のほうが興味があります^^




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.