Nicotto Town


つくしのつれづれノート


となりのトトロ 絵本版

只今ジブリの「となりのトトロ」放送中!!ってことで今日はこれをネタに「となりのトトロ」の絵本について書きます。
「トトロ」について今更言わずもがなですが、88年の宮崎駿監督作品で高畑勲の「火垂るの墓」と二本立て作品なわけです。
ジブリの二枚看板だったパヤオと高畑の両作品の二本立て…今から見たら至上の超豪華二本立なわけですが、今考えるとその内容があまりにも両極端すぎて
史上最悪の二本立作品ですよねwww
楽しい「トトロ」目当てで見に来たはずなのにその後で「火垂る」の壮絶な悲劇を体感した結果ショックのあまり観客席から立ち上がれなくなった観客が続出したという逸話がありますwwww



とりあえず「トトロ」はこんな話
母親が結核を患った為に東京から空気の澄んだ埼玉の田舎に引っ越してきた草壁一家。サツキとメイの姉妹は家のとなりの森に住む森の主トトロと出会ったことで、トトロやねこバスとの不思議でステキな時間を過ごすことになる…

小説版によると有名なメイとサツキの家はカンタの婆ちゃんが嫁入り前に仕えていた屋敷の別荘だということで(だから管理人らしい)、結核患者用の別荘だったということです。
舞台が戦後間もない昭和30年やそれ以前となると結核も大変な病気なわけでサナトリウム(療養所)やストレマイオシン(結核の特効薬)ってイメージが強いですね。サツキとメイの母親の入院してる病院もサナトリウムなんだろうなあ…





まあ、そんなことはともかくとして絵本について
ジブリの絵本というとアニメの絵をもとにそのまま絵本に仕立てたものをまず連想しますが、今回紹介するの監督・宮崎駿自身が描いた水彩画のトトロのイメージボードを集めたもので各ページの絵には「ぐりとぐら」で有名ななかがわりえこのトトロの詩が添えられています。

作中の絵はトトロというキャラが創造された1970年代末期から~1980年代初期(先週書いた元祖「もののけ姫」と同時期。80年代初頭元祖「もののけ姫」がボツった後に「トトロ」のアニメ化売り込んだそうだが地味ということでボツったそうだ。)から映画化に合わせて絵本化する際に新たに描き起こされたものを組み合わせているのだそうです。
そんなわけで宮崎アニメを古くから見てるとどれが古くて新しいかなんとなくわかるのですが、
古い水彩画にはメイの姉サツキは一切登場しないんですよね。
しかも上映前に張り出されていたポスターにはバス停でトトロと待つ光景が描かれているのですが、トトロと待っているのはサツキの服を着た大人びたメイ(小学校低学年くらいか?)だけだったりします。
コレはどういうことか?



実は「トトロ」のメインヒロインは当初メイ一人であり、サツキは製作中に追加されたキャラだったんです。

なんでも当初共に60分程度の中編としてスタートした「トトロ」と「火垂る」だったんですが高畑勲が「火垂る」を長編化させてしまい(結果公開日までに完成しきれず一部鉛筆描きのまま公開せざるを得なかったらしい)、それに対抗して「トトロ」も約30%増量した結果長編ストーリーとして成立させる為にメイから分裂する形でサツキが誕生したのだそうです。(サツキの登場によってメイが一気に幼児化した感じがします。)
そんなわけで古い絵にはサツキがいないわけです。

…でサツキのいない古い絵を見てるとトロとメイの雰囲気がアニメ「パンダコパンダ」によく似てるのに気付きます。
「パンダコパンダ」は日中国交正常化の際に上野動物園にパンダのランランとカンカンが贈られたことを記念し監督:高畑勲・原作:宮崎駿で作られたアニメで、何日も家で留守番をしている少女ミミの元に突如動物園を抜け出したパンダの父子がやってきて、ミミは母親としてパンダ父子と暮らすというお話。
トトロとメイはデザイン的に「パンダコパンダ」のミミとパンダを再デザインした感じであり、もしサツキが登場しない当初の「トトロ」として製作されていたなら単なる「パンダコパンダ」の焼き直しに終わってたかもしれませんね。




そんな感じの映画までの変遷が見てとれる絵本となっています。
値段も800円なので結構お手軽です(^-^)


ちなみに私ミカサがこの絵本で一番面白いと思ってるのは本編ではなく絵本の裏表紙であり、メイとサツキの家ととなりのトトロの森のある付近の作中舞台の昭和30年と現代のようすがそれぞれ描かれています。作中で田んぼや森ばかりだったメイやサツキの家の周辺がすっかり都市開発で市街地となってしまいメイとサツキの家も無くなっている状態になっています。
サツキとメイの家はどう見ても大正時代の文化住宅なのでよっぽど保存状態がよくなきゃ現在まで残ってないとは思っていたんですけどね…
そんな中、トトロの森だけが時が止まったかのように市街地のど真ん中に堂々と陣取っていました
ここまで堂々と残ってると逆に不気味であり、なんで堂々と残っているのか知るのが逆に怖くなります。
例えば、平将門の首塚とか私ミカサの近所の鎌倉の泣塔のように取り壊そうとすると容赦なく死に至らしめる呪われたスポットだったとか…
まあ、結局フィクションだから考えてもしょうがないんだけどねwww
(それでもモデルになった所沢の森を「ピーターラビット」で有名なナショナルトラスト運動で守り抜いてるのは素晴らしいと思います)













…改めて絵本の裏表紙を見たのですが現代の絵で森となって残っているのはどうもトトロの森ではなくメイとサツキの家の様です。下の道をよく見ると入り口の石門があるわけで…トトロの森の巨大なくすのきのように見えたのは、どうもバス停でトトロがもらった木の実を植えたやつが作中のように巨大化したみたいです。
その代わり悲しいことかな、トトロの森は容赦なく破壊され商店街となっておりました…
人間の都市開発って神をも恐れぬ行為なのですね…
代々住んでた森を追われたトトロたちはメイとサツキの家の森に住みついているのでしょうか…?

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2014/07/12 18:52
大潮様へ…自分の家族が結核になった経験がないので結核の恐ろしさが今一つ分からないところがあるのですが、「坂の上の雲」で具体的に描写された正岡子規が結核に冒されて最終的に喀血どころか脊椎カリエスを併発して壮絶な最期を見てると本当に結核は恐ろしいものなんだと感じます
最近は死ぬようなこともないのでしょうがそれでも治療をサボって結核を誰かに移してしまうことが多いらしいですね。(ハリセンボンのガイコツとかイケメンのジョイとか…)

トトロの舞台ということもあってモデルになっている建物もあるのかもしれませんね。ジブリ作品でモデルになった地域が話題になることが多いですからね。
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2014/07/11 23:37
父が結核で療養所に入っていたころ、サツキぐらいの年齢だったので、妙に感情移入してみてしまいました。前に見たときはトトロに夢中になって感激していたのに、今夜は感傷的になりました。
20歳の頃、所沢トトロの森とつながっている東村山に住んでいたこともあり、お母さんが入院していたサナトリウムはあれかななんて思ったりしました。
今、宮崎監督が住んでいるあたりに近いね。




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