Nicotto Town


つくしのつれづれノート


新海誠特集その2 涙腺崩壊‼ ほしのこえ

前のブログでやった新海アニメ特集でやった「彼女と彼女の猫」の次に間髪入れずに上映されたのが「ほしのこえ」でした。

前作「彼女と彼女の猫」と同じく「ほしのこえ」も監督・脚本・演出・作画・美術・編集を、新海がほぼ一人で行なった
文字通りの自主製作アニメです
(でも容量は5分弱「彼女と彼女の猫」の5倍強の25分‼)
そのため、後の正式な劇場公開作品に比べれば映像は拙いです。

…がしかし‼

この「ほしのこえ」こそ新海監督の名を広く轟かせることになった出世作であり、このアニメを通し新海アニメを知ったてファンも多いんじゃないでしょうか?
「彼女と彼女の猫」も短編アニメの賞を取った衝撃作なのですが、この「ほしのこえ」なしでは今の新海アニメの当然あり得なかったろうとはっきりといえます。
それくらいすごいんです。
とにかく泣けます!
(場合によっては最強の鬱アニメといわれる新海アニメの代表作「秒速5センチメートル」よりやばいかもしれない。)


というわけでまずはあらすじ
時は謎の宇宙生命体タルシアンによって人類が脅威にさらされているとされる、近未来。
人類はタルシアンを追うため宇宙艦隊を外宇宙まで派遣することになるのだが、その派遣メンバーに一回の女子中学生だったミカコが選ばれてしまう。
ミカコは両想いの相手ノボルを地球に残し宇宙へ旅立つ。
宇宙へ旅立った後もミカコとノボルは携帯のメールで連絡を取り合うのだが、宇宙艦隊が地球を離れるたびに二人の距離も光年単位で離れ、2人の携帯電話メールのやりとりにかかる時間も半年・1年と次第に長くなっていく…
そして二人の距離はとうとう携帯のメールが8年以上かかるところまで引き裂かれ…


《CVについて》
新海監督自身が声を当てたオリジナル版と後プロの声優によりに吹き替えられた声優版が存在し、DVDでは両方とも楽しめます。

長峰 美加子(ながみね みかこ)声 - 篠原美香(オリジナル版) / 武藤寿美(声優版)

寺尾 昇(ノボル)声 - 新海誠(オリジナル版) / 鈴木千尋(声優版)

なおオリジナル版の声を担当した篠原美香と新海監督は前作の「彼女と彼女の猫」でもそれぞれ「彼女」と「彼女の猫」の声を演じており、ヒロインのミカコの名前は声を担当した篠原美香の名から採られたとのこと。










…で

この「ほしのこえ」、
縦横無尽に活躍するロボット兵器や宇宙艦隊の艦隊決戦などの派手なSF要素が盛りだくさんなのですが、
それらはこの作品の本題を成立させるための舞台装置に過ぎず、
本題である絶望的なまでに引き裂かれたミカコとノボルの葛藤が最大の見どころです。



有名な鬱アニメ作家みたいな感じで喧伝される新海誠の原点といえるでしょう。
(全作「彼女と彼女の猫」も当然原点なんですがあっちはプロトタイプ的であり、「ほしのこえ」で現在に至る基本フォーマットが出来上がった感じです。)

新海アニメについて私ミカサが思うことはどの作品も
「すれ違う僕と彼女の心の葛藤」
というような基本テーマで貫かれていると考えており(当然「彼女と彼女の猫」も含む。)
それはラストの作風が明確に変わった前作「言の葉の庭」も最新作「君の名は。」変わることなく貫かれていると思っています。
その明確な最初の作品である「ほしのこえ」はその最初である以外にも25分という大変短くかつシンプルな作品ゆえにその要素がほかのどの作品よりも色濃く描かれており、
どの作品よりもわかりやすく切ないと思います。


しかも作中のノボルとミカコはただ単に遠い距離で引き裂かれてるだけではなく、
地球から離れるたびに二人の主観年齢のずれが生じてきており(いわゆるウラシマ効果。アニメ作中ラストではノボルとミカコの年齢はそれぞれ24歳と15歳までずれてしまっている)、
そんな絶望的なまでに引き裂かれた中で葛藤しながらも互いを求めあう姿は
もう葛藤どころか魂の叫びといえるレベルで悲痛極まりなく、
まるでナイフで心がえぐられた感じで終始涙が止まりません。

キャッチコピーや作中のセリフにある
「宇宙と地上に引き裂かれた恋人」
という表現だけでもうたまらないです。
特に最後はその絶望的なまでの切ない展開がトップギアになるわけで…

私ミカサは「秒速5センチメートル」によるトラウマがもとで新海アニメに憑りつかれたクチであり(ただ単にファンになった・好きになったというような生易しい出会いではない悲惨な状態だった…)、「秒速」が一番思い入れが強い新海アニメなのは今も変わらないのですが、
「秒速」のラストの印象が初見時よりも心境が変化してることで妙に納得してしまった感がある一方で、
「ほしのこえ」はその逆を行く強烈な切なさで涙の量がますます増えてる状態になってます。

特に映画館の(というには小さいながらも)
他の情報がシャットアウトされたなかでただただスクリーンに映し出された映像だけを集中してみるのは
テレビ・PCで同じ映像を見るのとではまるでわけが違い、
映写室の中で伝わる臨場感だけでもう胸が張り裂けそうでした。
正直今回の下北沢トリウッドの新海誠特集全6作品の中で最も映画館で観れてよかった作品だと思っています。






…でこの「ほしのこえ」もいくつものメディアミックス化がされており
以下はそれの紹介。

・ノベライズ版その1「ほしのこえ」(大場 惑執筆)
…メディアファクトリーのライトノベルレーベルであるMF文庫で刊行されたもので挿絵イラストを漫画「ふたつのスピカ」「群緑の時雨」の柳沼行が担当。「ほしのこえ」構成するSFな世界観が詳しく記述され宇宙と地上に引き裂かれたノボルとミカコの再会が描かれているため(初期設定に準じているものと思われる)、「ほしのこえ」でどん底になった人にとっては処方箋といえるかもwww
なお後に加筆修正されたMF文庫ダ・ヴィンチ版刊行された。(こちらは未読なのでぜひ欲しい!)


・ノベライズ版その2「ほしのこえ あいのことば/ほしをこえる」(加納新太執筆)
…エンターブレイン刊行。ミカコの視点の「あいのことば」とノボルの視点の「ほしをこえる」の二部構成。
アニメ準じた内容の切なさをさらに追及した感じになっており、それぞれのラストの二人の互いに思いあう絆はもはや恋や愛とかいうものを超越した達観したものににみえ、それが余計に切なく感じます。(私ミカサはアニメで流した涙がこれで枯れました…)
なんかこの解釈がそのままアニメ化されたらそれだけで死んでしまいそう…


・漫画版「ほしのこえ」(佐原ミズ作画)
…講談社刊行(アフタヌーンコミックス)
佐原ミズは後に「マイガール」や「バス走る」「夜さん」(この3作は私ミカサも大好きなわけで…)と、とても作画力の高い漫画家さんがコミカライズしてるのですが、絵的にシンプルなアニメを見た後ではちょっとやり過ぎ感な気も…
とはいえラストのミカコが自分たちを助けに来る救助部隊のリストの中にノボルの名を見つけたときの表情は忘れられません。

・同人誌「ほしから星へ」
…「ほしのこえ」10周年を記念して有志によって製作された同人誌。新海監督他スタッフのインタビューや制作資料・「ほしのこえ」で没になったプロットなど盛りだくさん!
今では手に入りづらいため結構貴重…







以上で「ほしのこえ」のレビュー終わり!








アバター
2016/07/11 21:14
伊勢うどん様へ…この「ほしのこえ」は一番シンプルな新海アニメなのでその破壊力は半端ないですよね。
新海アニメのリアル電車描写は新海アニメの子さんスタッフの中に超のつく電車オタクがいるそうでして、その方が新作の度に電車描写のレベルをアップさせてるだと「言の葉の庭」のトークショーの際に新海監督がおっしゃっていましたwww
大成建設のCMは確かにすごいですよね。
地上波でも流してほしい作品群なのですが、「秒速」までの初期作品は短編が多いし難解だったり鬱アニメと喧伝される作品も多いのでなかなか難しいのかもしれませんね。
新海アニメがメジャーになるのは今回の「君の名は。」以降になると思います。

アバター
2016/07/09 23:59
ずいぶん前に見た記憶が有ります。覚えているのは、夏の描写と電車がやけにリアルだということと
圧倒的な距離感をうまく表現しているということだけかな 近いうちに又見てみます。
この人の作品では 大成建設のCMが好きだったりします 回を重ねるごとに完成度が増してくるというおまけ付きで
こういったマイナーな作品は地上波でやらないのはちょっとさびしかったりします。いい作品なのに




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