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つくしのつれづれノート


新海誠特集その5 生と死を見つめる星を追う子ども

ここんところ忙しかったりビックリすることの連続なため間が空いていたが先々週の下北沢トリウッドの新海誠特集で観た新海アニメの5作品目が11年公開の「星を追う子ども」です。
新海アニメの最長編作品なんですけど(今度公開される「君の名は。」さえもこれには及ばない)
残念ながら最も人気のない新海アニメなのは間違いありません。
実際に下北沢トリウッドでも「秒速」「言の葉」などの人気作品が真っ先にチケットがなくなる中でこの「星を追う子ども」だけは最後まで露骨に売れ残ってましたからね。(ひどい扱いwww)
自分も「星を追う子ども」は最優先事項ではなかったため余裕がなかった場合は「彼女と彼女の猫」~「秒速」まで見て「星を追う子ども」(そのあと上映された「言の葉の庭」も含め)は見送って帰るつもりでもあったわけで…(一応「星を追う子ども」すでに見ていますからね。)



そんないろんなところで不遇な扱いを受けている「星を追う子ども」とは一体どんな内容なのか?以下はそのあらすじです。↓

(舞台は1970年代の長野か?)
母子家庭の小学生の女の子明日菜は秘密基地からの帰り道に謎の化け物に襲われたところを不思議な力を持つ少年シュンに助けられる。異世界「アガルタ」から来たというシュンとまた翌日秘密基地で会う約束を取り付けた明日菜だったがその約束は果たされることなくシュンは後日遺体となって発見された。
突然のシュンの死を受け入れられない明日菜は新任教師森崎から聞いた死者をも生き返らせる力があるという「アガルタ」への興味を次第に強くするのだが、その明日菜の前にシュンと瓜二つの少年シンが現れ、さらに異世界「アガルタ」を目指す武装組織との戦闘に巻き込まれ、そのどさくさのうちに異世界「アガルタ」に入り込んでしまう。
「アガルタ」にたどり着いた明日菜は森崎と共に死者をも生き返らせることができるという「アガルタ」の中心部フィニス・テラを目指す。
ただもう一度シュンに会って「さよなら」を言うために…






…相変わらず長いあらすじですけどここはあくまで物語の導入部なんで悪しからず。
まずは初見時の感想がこちら
どこからどこまでも宮崎アニメの要素をツギハギして新海テイストに染めただけのデッドコピーにしか見えず当時悪印象しか沸きませんでした。
それは主要登場人物を見てもお分かりかと思います↓






登場人物
渡瀬 明日菜(CV:金元寿子)
…主人公で小学六年生の少女。学校の帰り道にいつも秘密基地で鉱石ラジオを聞いているのだが、ある日父の形見の不思議な青い宝石(飛行石!?)で通してラジオを聞いたところ不思議な歌声を聞く。それがすべての始まりだった…
声の人「けいおん!」のムギの人だったんだねwww

シュン(CV:入野自由)
…アガルタから来た少年。既に明日をも知れぬ命であり最後に一目見ようとアガルタからから地上世界にやってきた。そこで明日菜と出会い…

シン(CV:入野自由 二役なのだ)
…シュンの弟でありシュンと瓜二つの少年。使命を帯びて明日菜たちの前に馬に乗って現れる。必死で使命を絶たそうとする一方でただ滅びを待ち続けるアガルタの現状への反感や禁を破って地上で死んだシュンへの怒りと悲しみなどの葛藤に満ちている。
その姿はどっからどう見ても「もののけ姫」のアシタカにしか見えないのだが…www

森崎竜司(CV:井上和彦)
決して黒メガネ及びムスカではないwww
明日菜のクラスの臨時講師でその正体は青い宝石を手掛かりにアガルタを目指す組織の一員であり目的の為ならば手段を択ばない。だがその目的は死別した愛妻リサを生き返らせることただそれのみであり、この人の行動すべてがせつなくて仕方ない。

ミミ(CV:竹内順子)
…明日菜の家に居候している子猫と思われる生き物(!?)
どう見ても「ナウシカ」に出てくるキツネリスのテトにしか見えませんがwww
っていうかミミの声優がナルトだったなんて知らなかったんだってばよ‼www

森崎リサ(CV:島本須美)
…森崎の妻でありすでに故人。
とうとうジブリアニメの真打・ナウシカ本人が出てきちゃったwww
しかも役柄がかつてこの声優さんが演じた「めぞん一刻」のヒロインである管理人さん(未亡人)とは真逆の惣一郎さん(故人)ポジションだったため達観しており、ものすごい新鮮でした。






それだけでなくモブキャラからアニメの動きアングルなどありとあらゆるところで宮崎アニメからオマージュした要素がてんこ盛り‼
しかもジブリアニメだけにと留まらず「ルパン三世」や「ハイジ」などの世界名作劇場をはじめとするあらゆる宮崎駿関連作品を研究しているのが一目瞭然!
ただ宮崎アニメってとことん動くアニメであり、動かずに情景を描写する新海アニメとは対極に位置する為、宮崎アニメをツギハギして新海テイストに染めると結構ミスマッチというか違和感が半端なく、
しかもそれが露骨に多すぎたために宮崎アニメのオマージュに対する反感ばかりが募って「星を追う子ども」に込められたテーマが見えにくくなっているようにも感じました。






しかしそんな一見微妙に感じる「星を追う子ども」ですがこの作品にも「彼女と彼女の猫」「ほしのこえ」から一貫している新海アニメのテーマ
「すれ違う僕と彼女の心の葛藤」
がきっちりと込められており、場合によってはそのテーマを新海アニメ中もっとも深く掘り下げているようにも感じます。
なぜならこの「星を追う子ども」で「僕と彼女・あなたと私」を隔てているものが生と死という絶対的なものだから…
上記の登場人物だけでなく物語の各所で生と死というものを対比する描写が描かれており、
この物語は愛する人を失ったらどう向き合っていくべきなのかを問いかける物語なんだと感じています。
そのため一見宮崎アニメのでデッドコピーにしか見えないのですが、その中に流れているテーマは新海アニメ中もっとも難しいテーマを投げかけていると言え、
近しい肉親を亡くしたことのない現状の私ミカサもトリウッドで再び見たのですが非常に難解に感じました。
このアニメを理解するためにはもっと沢山の時間がかかりそうです。


できれば新海監督にはこんな宮崎アニメのオマージュばかりのまやかしではなく「秒速5センチメートル」のような現実の世界観でこの「星を追う子ども」に流れるテーマをリメイクしていただけたらと思います。
もしそれが実現したら「秒速」や「言の葉」を超える最高傑作となるのではないででしょうか?
そう思えて仕方ありません。















さてこのアニメもメディアミックスされているのですが上記の通り新海アニメ一の不人気作品な為敬遠してきた口でありwww解説できないんですよね。漫画版も二種類存在するのですが今一つな感じだったし…
とりあえずメディアワークスのラノベレーベルMF文庫にノベライズ版の「星を追う子ども」(原作:新海誠、著:あきさかあさひ、イラスト:西村貴世 他)が刊行されているのでそれだけは押さえときたいなと思っています。

以上でレビュー終わります。

アバター
2016/07/17 09:16
有効様へ…パヤオアニメは普遍的でみんな大好きですからねえ
ただ新海アニメはその内容から村上春樹の「ノルウェイの森」の影響が強いとよく聞きます。
アバター
2016/07/16 15:53
お、おう…新海監督はパヤオさんがお好きなんですね




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