Nicotto Town


つくしのつれづれノート


大河ドラマ「太平記」の展覧会の図録をゲット

今日逗子のプールの帰りに寄ったブックオフで歴史書コーナーを眺めてたら偶然発見。
25年も前の図録なのに新品同様にきれいな保存状態であり値段も260円と大変安かったため迷わず購入しました。この手の図録って通常2000円以上する高価なものであり中高でも高い場合があるのでこの値段は破格ともいえます。
なんていったってこの展覧会で取り上げられてる大河ドラマが「太平記」
(大河ドラマの特別展は毎年てっており今年の「真田丸」なんかは行った人も多いんじゃないでしょうか?)
私ミカサにとって「太平記」は50年以上の歴史を持つ大河ドラマの中で最もお気に入りなわけですから…



大河ドラマ「太平記」は91年の平成三年に放送された室町幕府初代将軍・足利尊氏の生涯を描いた合戦絵巻であり、
大河ドラマの歴史において唯一日本史上のタブーとされる南北朝時代を描いた大河ドラマなんです。

なぜタブー化というと室町幕府自体が時の天皇である後醍醐天皇に反旗を翻して成立した経緯があるため、幕末の尊王攘夷運動の結果成立した明治維新以降は室町幕府及びその創始者・足利尊氏などは「天皇に弓を引いた逆賊」の扱いを受けしまい、歴史評価が自由になった戦後もその影響が強く残っているからなんです。
実際「太平記」の制作が決定した際もそのことが原因で相当揉めたらしいですが、
丁度そのころ東西冷戦が終結し(「太平記」放送中の91年にソ連は崩壊する)歴史の大きな転換期を迎えているということで思い切って制作にGOサインを出したそうです。(その為「太平記」初回のアヴァンタイトルは東西冷戦の終結を象徴するベルリンの壁崩壊の映像から始まります。)

…で大河「太平記」の内容はこんな感じ↓
時は鎌倉時代末期、
公家・武家ともに社会システムが激変・衰退していた中、
清和源氏の最大勢力足利家の御曹司として生を受けた足利尊氏は様々な出会いの中で武家社会の再生による理想郷の建設を夢見て腐りきった鎌倉幕府を滅ぼすにいたる。
しかし動乱は治まるどころか泥沼化し、理想郷建設の邁進とそれと共に失われる大事な物のはざまで苦悩する尊氏の生涯が描かれる…
とにかく最終回までこれほど主人公を痛めつけた大河ドラマも珍しいと思う。)





…シリアスで骨太な展開が一貫しており、本来ならうだつの上がらない尊氏をその周囲を取り巻く脇役たちがしっかりと支えて物語を大いに盛り上げているので難解な南北朝時代の作品ながら大変面白い作品となっております。
そのキャストも大河史上においても特に豪華です。

キャスト/登場人物
真田広之(足利尊氏)
沢口靖子(尊氏の妻赤橋(北条)登子)
緒方拳(尊氏の父足利貞氏)
藤村志保(尊氏の母清子)
高嶋政伸(尊氏の弟足利直義)
柄本明(高師直)
大地康雄(尊氏の守役一色右馬介)
根津甚八(新田義貞)…最初萩原健一が演じてましたがいつのまにか根津甚八になってました。
武田鉄矢(楠正成)
陣内孝則(佐々木(京極)同誉)
宮沢りえ(尊氏の恋人藤夜叉)
柳葉敏郎(藤夜叉の幼なじみましらの石)
後藤久美子(南北朝最強の公家武将北畠顕家)なんと男役!
フランキー堺(鎌倉を牛耳る長崎円喜)
片岡孝夫(後醍醐天皇)
…他にも児玉清・原田美枝子・樋口可南子・近藤正臣・本木雅弘・榎木孝明・西岡徳馬・勝野洋・赤井英和・石原義純など半端ありません。(さらに無名の侍女に常盤貴子・合戦後の死体役(www)でエキストラとしてネプチューンの原田泰蔵がいるということです。)




…この大河「太平記」の高評価の最大理由に
鎌倉幕府が滅亡する滅亡回である20回「鎌倉炎上」の完成度があまりにも高くインパクトがあるからだとよく言われます。
北条一族が東勝寺で田楽を聞きながら激しい炎の中で集団自刃に至る様は(音楽と共に新田軍に鎌倉の街が席巻され次々と鎌倉の人々が狩り出され殺される様子が映し出される。その中には上半身裸の女性が逃げまどい恐ろしさのためか念仏を唱えてるシーンもあるためエロチックを通り越して実際の戦いの凄惨さがこれでもかと伝わってきます。)、
黒澤明の映画「乱」(85年)における落城シーンを彷彿とさせ、滅びの美学をこれでもかと醸し出してている所がとても印象的です。
この回は現在に至るまで大河史上最高傑作と喧伝されている回であり、
演出の完成度は他の大河の追随を許しません。
恐らく親の影響で「太平記」以前も大河は観てるはずですがこの「鎌倉炎上」があまりにも凄まじかったためそれ以前の大河は全く当時の記憶が無い状態です。本放送時自分は幼稚園児でしたがあまりの凄まじさに泣き出したのを今も覚えています。


後半は前半で予算をつぎ込みすぎた理由で合戦シーンが使いまわしになっていくんですが
その一方でドラマがより強化され
尊氏と対立していくことになる楠正成・新田義貞・足利直義の死など最終回まで見せ場がてんこ盛りぼクライマックス状態なのも魅力だと思います。
(通常大河は中盤でクライマックスを迎え最終回のころにはエピローグ的内容になることが多い。)
とくに尊氏の弟足利直義については終盤の骨肉の争いの末(天下を二分三分した室町幕府最大級の内乱の一つである観応の擾乱)、
最終回で尊氏の手で毒殺されるその衝撃もすさまじい…
この直義の最期の場面も大河史上最もインパクトのある場面のひとつだと思っており、
後に私ミカサが大河「天地人」(09年)のエキストラに参加した際に足利直義役だった高嶋政伸と一緒になった際(「天地人」では妻夫木聡が演じる直江兼続の父・樋口兼豊役)撮影の休憩中にに「太平記」最終回における直義の最期に対する思いのたけをぶちまけたことは未だに覚えています。



…これより面白い大河は沢山ありますが(渡辺謙の「独眼竜政宗」(87年)と竹中直人の「秀吉」(96年)は文句なしに面白い)
鎌倉育ちの私ミカサににとって「太平記」は初回から最終回まで鎌倉が引っ張りだこであるため、
未だに他の大河よりも何倍増しで輝いています。







…熱く語るうちに本題から大分脱線してしまった(確信犯的だけどwww)
そうそう、
大河「太平記」の図録の話。
大河「太平記」については大ファンであるために
当時の大河ドラマガイド・原作である吉川英治の「私本太平記」・太平記絵巻(図書館で借りてコピーし書き写したりもしてる)をはじめとした
平安末期~応仁の乱以前の中世の武士に対する資料をビジュアル的なものを中心に集めているのですが、
南北朝・室町時代というのは日本史のタブーであるだけでなく中世から近世に至る時代変化のミッシングリンク的な時期でもあり、
当時のビジュアル資料がほかの時代よりも乏しいのだそうです。
その為この手の図録の存在は大変ありがたく思っており、今日のこの本のゲットは大変ラッキーに感じております。


結局「太平記」数年後に応仁の乱を描いた「花の乱」(94年)が大河歴代最低視聴率を記録したことで(といってもキャストの演技は高評価されており、現最低大河の「花燃ゆ」(15年)よりはるかに良質。)
人気の上でも南北朝・室町大河はタブーになってしまったのですが、
もう一度南北朝・室町大河にNHKが挑戦してくれたら大変うれしく思います。
例えば室町3代将軍・足利義満とか…
(こいつは史上唯一天皇の座を簒奪を企てたとされる人物だからさすがにアウトかな…「平清盛」(13年)のマツケンとか似合いそうなんだが…)







アバター
2016/08/08 21:22
saki様へ…ありがとうございます(^_^)「花燃ゆ」の場合は完全にネタ切れでとうとう一般人を主人公にしてあれこれ引っ掻き回してバカを見た印象ですが、「花の乱」役者の演技が秀逸なれどもストーリーが余りにも暗すぎたということで当時不評だったようです。
アバター
2016/08/08 07:45
タイトルに「花」をつけちゃダメなのかもね(笑)
図録ゲット、おめでとうございます。




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