Nicotto Town


つくしのつれづれノート


新海誠アニメといえば「秒速5センチメートル」

「君の名は。」に先立ち7月に下北沢の新海誠特集の目玉になった作品がこの「秒速5センチメートル」だと思います。
現に下北沢の新海誠特集の当日チケットの中では前作「言の葉の庭」と共に真っ先に無くなった作品であり、
しかもラストの雰囲気が変わった「言の葉の庭」と違い「ほしのこえ」などの非常に切ない典型的な新海アニメであるため
現時点ではこの「秒速5センチメートル」こそが新海アニメの代表作なんだろうなと思っています。


この「秒速」は短編3つで構成されている1時間程度の連作作品であり、
それまでの「ほしのこえ」「雲のむこう」のようなSF設定のようなものを排除した通常の世界観の中で誰もが体験したであろう恋愛や葛藤をそれぞれ描いている為、
大変シンプルで切ない作品になっており
そのラストの展開の為に史上最強の鬱アニメと喧伝されている作品でもあります。

私ミカサ自身もこの「秒速」をきっかけに新海アニメに憑りつかれた一人であり、この「秒速」への思い入れは新海アニメの中で最も強いものがあるわけなんですが、
それは後述するとしてまずは大まかなあらすじについて





1.「桜花抄」…小学生の時、東京でいつも一緒で両想いだった貴樹と明里だったが、小学校卒業と同時に明里は栃木に転校してしまう。それ以降文通のやり取りを続けるが今度は貴樹の鹿児島の種子島への転校が決まった。
「もう二度と会えなくなる」という思いから明里に会う約束をして貴樹は栃木に向け電車を発したのだが、大雪によってダイヤが大きく乱れ時間だけが無情に過ぎていく…

 2.
「コスモナウト」…種子島の高3の少女花苗は中2の時に東京から転校してきた貴樹をずっと一途に恋い焦がれている。貴樹の東京への進学を知った花苗は趣味のサーフィンのスランプを解消した暁に貴樹へ告白しようと奮闘するが、告白の瞬間貴樹のいつも見ているものの正体を感じ取った花苗は…

3.「秒速5センチメートル」…月日は流れ、東京でひたすら前へ進もうとする貴樹だったが、日々仕事に追われて疲れ果て葛藤を続ける日々。その末にずっと自分を突き動かしていたものはかつて明里と最後に会った時に感じとったものだったことに貴樹は気付く。
一方明里は結婚を控え新しい人生をスタートしようとしている…
物語は大人になったふたりがこれまで過ごしてきた生い立ちを交錯させながら、かつて一緒に登校していた通学路の踏切ですれ違うところで幕を下ろす。


いや~解りやすくせつない‼
現実が舞台故に、リアルで生々しすぎる!! 



初めてこれを見たのは数年前なんですが、淡々とストーリーが重なるにつれどんどん切なくなって胸が締め付けられ(…というより心がえぐられました。)、ラストを迎えたときにはショックで涙ボロボロだったのをを今でも思い出します。
あの時そのショックが長引いて二週間ほど寝込んだんですよねwww




…というのも私ミカサの生い立ちそのものが貴樹と重なるものがあって(といいながらも自分は貴樹の様にモテた経験はないんだけどww居着くことのない場所での初恋や友情を経験している)、
貴樹の負の部分がまるで鏡で自分を見た感覚になってしまい
当時精神状態も最悪だっただけにトラウマになってしまったんですよね。
なので初見後も「秒速」を観る機会は幾度もあったのですが、それでも自分の感情に直接リンクしない二話の「コスモナウト」以外はトラウマでずっと観れないでいたんですよね。(いや、現在進行形か…?)




…以上の様に私ミカサと「秒速」を皮切りにした新海アニメのファーストコンタクトはもう凄惨極まりない最悪の状態だったわけで到底当時の自分の心情としては到底受け入れられないものがあったわけですが、
納得できないからこそに自分なりに答えを見出したいという思いが強くあった為、
他の新海アニメだけでなくそのノベライズやコミカライズなどのメディアミックスを揃え、
さらにそれでも飽き足らずに似たような短編の恋愛小説や漫画などを貪るようになるなど、

結果的に気が付いたら新海アニメに憑りつかれるようにハマっていたわけです。
いろいろ複雑な過程を経て今に至っています。






…で7月の下北沢での新海誠特集で久々に全編観ることになったわけですが
結果を言ってしまえば
周りからすすり泣く声が聞こえてくる中で清々しい気持ちでラストシーンまで見ていましたwww
初見時の感想も記事にしてるのでぜひ見比べてみてください↓
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1032798&aid=45503455

初見時の反応とは全くの真逆…いったいなぜ???www

冷静に考えてみたら貴樹と明里が引き裂かれていく様子って普通に誰もが体験してることであり、それをむやみにラストの二人の明暗を露骨に交差しなければそこまでエグイ鬱アニメと呼ばれなかっただろうな…
と今はそう感じてるわけなのです。

初見時ラストシーンの踏切で二人がすれ違った後貴樹がすごい清々しい笑顔をしているのが全く理解できなかったのですが、
あれは無理までして自分を突き動かしていたものの正体に貴樹が気付き、そこをリセットして前に進みだそうと決意したからなんだと最近妙に納得しています
(「言の葉の庭」のトークショーに参加した際に新海監督自身が言っていたことでもあり、小説でも同様のことが描かれています)、
きっと踏切ですれ違った後に消えた明里は貴樹にしてみればずっと呪いの様に抱えていたものの象徴・幻だったんだろうなあ…




そんな初見とは真逆な感想に変化したのは
きっと今の自分が当時の最悪の状況を脱して更なる飛躍を目指して新しい一歩を踏み出そうとしているだからなのかもしれません。
まさに心境が変化したからこその感想の変化なんだと思います。

今後も節目ごとにこの作品を全編観返してまた違った心境になるのかもしれません。
正直言って自分にこれだけ影響を与えているアニメってほかにはないですね。
ほんとにオドロキです。
そういう意味では今後も「秒速」に対する思い入れの深さは自分の原風景と重ね合わせているので今後も変わることがないのだと思います。
そんなわけでこの作品はもはや私ミカサにとってかけがえのない大切なものになってます。






大分字数使っていますが
最後に「秒速」のメディアミックス作品を紹介します。

「小説・秒速5センチメートル」
…新海監督自身による小説版。アニメほとんど描写のなかった3話の貴樹の彼女をはじめとしてアニメでは感じ取りづらい描写を活字にしている為、大変わかりやすいと思います。もともとメディアワークスのMF文庫ヴィンチで刊行されたものですが、「君の名は。」公開に合わせて角川文庫でも刊行されたので一番手に入りやすいです。

「秒速5センチメートル one more side」
…メディアワークスで刊行された加納新太によるノベライズ版。(「ほしのこえ」「雲のむこう」に続きまたこの人www)アニメ版とは逆の視点で描かれており「秒速」をさらに深く読み解くうえで助けになると思うのでおススメです。

漫画版「秒速5センチメートル」
講談社で刊行された清家雪子作画のコミカライズ版で全二巻。特筆すべきは漫画のラストに時系列的に3話後のずっと想い続け悩み続ける「コスモナウト」のヒロイン香苗が貴樹に会いに上京する様子が描かれています。香苗は貴樹や明里と比べても人気が高い為?(どう見ても「コスモナウト」以外がしんどくて見れないんだろうなwww)、「秒速」で打ちひしがれた方にとっては大変救いになるかもしれません。

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2016/09/20 18:07
ジュエリ様へ…「バッドエンドとかハッピーエンドという考え方で作品を作ったことはない」という点こそが新海アニメの真骨頂なんですよね。
どこの世界でもありうる日常世界のリアルてこんなものでありハッピーエンドも糞もないと思うんですよ。
(そこは理解してても自分にとって「秒速」自分が体験したトラウマの再燃スイッチとなっている為今もきついですが…)

でもそれじゃあ誰も観ないのも確かなことであり、そこを意識して作った「君の名は。」がいきなり社会現象レベルでヒットするのはすごいと思います。
ただ純粋に内容だけ見たらまだまだ短編作品の域を出ない稚拙なものがあり、もっと試行錯誤を重ね内容を充実させた次回作を期待したいところですね。
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2016/09/20 17:38
君の声の映画パンフレットわ買いましたが
「自分では バッドエンドとかハッピーエンドという考え方で作品を作ったことはないのに
秒速ではそういうとらえ方をされたけど それは技術的な問題として受け止めて
脚本の書き方とか勉強して 作ったのが 君の声」
というようなことを書かれていました。
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2016/09/05 22:08
kazu様へ…私ミカサ自身が新海アニメの大ファンですから多少差し引きする必要はあるんですがwww
「君の名は。」は前作「言の葉の庭」同様「秒速」までの鬱展開で有名だったこれまでの新海アニメとは一線を画している為大ヒットするとは思っていましたがまさかここまでとは思わなかったのでビックリしています。内容自体はこれまで使い古された陳腐なSFものなのですが、編集と音楽の組み合わせが巧みでテンポが大変よく本当に良かったです。

貴樹と丸かぶりしているわけではありませんが、結構似通っているところがあるため正直言ってうれしくないですwww
落ちぶれた自分が己の原風景や自分の最も嫌な負の部分がアニメ化されたような感覚なので、初見時大変居た堪れなくなったわけで、本当にしんどかったです。
今は大分心境も変化しているとはいえ「秒速」は良くも悪くも半ば自分の永久欠番や封印作品になっている感じです。何度も繰り返してみているというよりも自分の転機などの節目ごとに見返しているような感じですね。

新海監督が女好きなんてwwwああいうピュアな作品を作るからにはそうでなくてはいけないんですが、なんかまるでエロおやじみたいな感じで嫌だなあwww
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2016/09/05 20:19
秒速を携帯に入れて何度も見返してる自分としては、ここまでみかささんが熱く語っている君の名はがめちゃくちゃ気になります。
しかも半生が被っているんですか!?
同じアラサーとして、とても気になります。

新海さんは女の子が好きらしくて、声優には可愛い声の人をよく起用するとか。
秒速も、言の葉の庭も、雲の向こうも、いい声でしたね~^ω^
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2016/09/04 22:17
有効様へ…「言の葉の庭」「君の名は。」の舞台挨拶の時でも新海監督はラストの貴樹はこれまでをリセットして再スタートするところを描いていていると再三言っているんですが、あの映像展開のせいか鬱エンドと自分の意図とは真逆のとらえ方をされて戸惑っているそうです。

それ故に「君の名は。」のエピローグのラストに至る展開は「秒速」と似たような映像展開でありながら真逆の結末を迎えるという展開に意図的になったみたいです。
「秒速」と「君の名は。」はある意味表裏一体な感じなんでしょうね
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2016/09/04 22:07
kazu様へ…コメントありがとうございます(^_^)
新海アニメは根幹が大変ピュアな為、この手の誰にでもあるピュア恋系の話が好きな私ミカサにとってはまさに大好物な代物であり、
特に「秒速5センチメートル」はあまりに自分に重なり過ぎるところがあるため、新海アニメの中で一番特別に感じるアニメになってしまうんですよね。
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2016/09/04 22:03
saki様へ…各メディアミックス作品はそれぞれ映画では語られてない部分や別視点で描かれている為、それぞれ大変新鮮に感じますよ(^_^)
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2016/09/04 20:57
鬱エンドって言われてますが、主人公が吹っ切れてるということは彼にとってはそうでもないんですね。
むしろスタートといったところなんでしょうか。
やっぱり見てみたいですね。昨日ニコニコ生放送での放送を見逃したことが悔やまれますorz
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2016/09/04 20:42
足跡から
激しく同意、そして新海作品への愛を感じました
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2016/09/04 10:39
私もこのアニメは見ましたよ。
確か以前、NHKで放映してくれたんですよね。
切なかったなあ…。
本が出ているんですね、読んでみようかな。
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2016/09/04 07:49
秋刀魚の皮。様へ…そんなもんだと思います。新海アニメは一貫した「すれ違う僕と彼女・私とあなた」のテーマを作品ごとに手を変え品を変えて繰り返しているにすぎず、(自分はぼかしちゃってますが新海監督はダイレクトに「以下に引き裂くか」を常に考えてるという身もふたもない言動をWW)
結果手に内容がかぶるのは当然なんです。
「秒速5センチメートル」はその新海アニメの中で最も雑味を削いでシンプルな作品であるためその感動の伝わり方が最も強烈であるため、他の新海アニメが薄味になってしまうのも理解できます。

私ミカサ自身新海アニメの長編作品については伸びたラーメンの様に間延びして退屈に感じるところがあり、「君の名は。」についても公開前に発売されたノベライズで把握した映像抜きの内容ははあまりにもありきたりなSFだなと「秒速」も含めた新海アニメ短編作品に比べてすこぶる評価が悪いです。
しかし実際の映画は編集と音楽の組み合わせが大変素晴らしくありきたりな内容がまるで問題にならないほどに見違える映画になっていました。これにはビックリ仰天でした。

「君の名は。」は意図的に「秒速」とは対極にある作品になっているようです。
それ故両方を見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
しかし私ミカサとしてはトラウマでだけではなく今の自分を形作る原風景や初恋をそのまま映し出したような「秒速」が一番であり続けるじゃないかと思っています。
「君の名は。」の方も場合によってはそれを凌ぐ大事な作品になってくるかもしれませんが…
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2016/09/04 06:40
秒速5センチメートル、とても素敵な作品ですよね。
みかささんには申し訳ないのですが、新海さんの作品をいくつか視聴したことがあります。
結局秒速以外はあまりハマりませんでした。
個人的に秒速が良すぎてそこでピークを迎えてしまったのかもしれません。
ですが、今公開中の君の名は。はすごい評判いいので気になってます。

みかささんの熱いブログをみて、久しぶりにまた観たくなりましたね。
この映画のいいところって曲もありますよね。
曲と映像がマッチしすぎて・・・
アバター
2016/09/03 20:27
しかしこの記事ものの見事に7月の記事の焼き直しwww
完全に楽してるなあwww




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