Nicotto Town


つくしのつれづれノート


肋骨服!!

実写版「るろ剣」での明治陸軍追悼企画(笑)ということで明治の代表軍服である肋骨服です。


肋骨服の概要は3列~5列あるボタン飾りをつけて(中央は実用。明治陸軍の場合はこのボタンが紐を丸く固めたものになっている。)左右のボタン飾りの間を紐飾りで繋いでる装飾性の高い軍服の上着であり、騎兵将兵やその他の兵科の陸軍将校が着用していました。

日本では胸の紐飾りが肋骨に見えることから肋骨服と呼ばれているのですが、正式にはドルマンという名前であり、元々はオスマントルコの外套の民族衣裳が西洋式の軍服上着に変化したものなんです。(アラビアンナイトに登場するヒラヒラの外套。紐飾りの特徴からモンゴルの民族衣装が変化したものだと思ってました。何せ近代騎兵戦術はモンゴルのチンギスハーンが原点なので…ちなみに女の子が着ているドルマンスリーブはヒラヒラっとした外観がドルマンに似たことから由来してるそうです。)
オスマントルコの侵略を受けていたハンガリーの騎兵部隊ユサールが西洋式ドルマンを使用したことからヨーロッパの騎兵軍服として広まって行き、ナポレオン戦争以降(このころがもっとも派手)騎兵および陸軍将校の軍服として19世紀~20世紀初頭まで流行することになります。


日本にこのドルマン式軍服こと肋骨服が入ってきたのは幕末であり、幕府軍の西洋軍隊の教練をしていた第一次フランス軍事顧問団が最初ではないかと思われます。(この顧問団の中には戊辰戦争時に旧幕府軍指揮官として函館戦争まで転戦したものがおり、その一人であるジュ―ル・ブリュネは「ラストサムライ」のトム・クルーズ演じる主人公ネイサンのモデルになりました。)
戊辰戦争に勝利した明治政府が建軍した日本陸軍(明治陸軍)も幕府軍のフランス式軍制を引き継いだため(明治中期にフランス式からドイツ式に軍制が変化)、明治6年に陸軍将校の通常軍服として使用が始まります。ただこの明治初年の肋骨服は中央ボタンに位置する蛇腹がファーがついてふさふさしてたり、折襟がついてたり(西南戦争の熊本城の鎮台司令官・谷干城少将の銅像の軍服はこの形式)、夏用の白い肋骨服(実写版「るろ剣」陸軍軍服はコレ。靖国神社の遊就館には西南戦争で使われた折襟型の白い肋骨服が展示されています。)などバリーションが多かったりします。

日清・日露戦争で使われた肋骨服は明治19年に制定されたもので基本デザインが統一されています。肋骨服は基本将校の軍服ですが、騎兵科については上記の肋骨服の発祥で装飾性の強い軍服を着る伝統から将兵全体が他兵科より派手な肋骨服を着用しています。(将校は3列の金ボタン、下士官以下は黄色(近衛騎兵は赤)の胸紐のついた肋骨服。ドラマ「坂の上の雲」を見ると一目瞭然です。)
この明治19年制の肋骨服は明治陸軍の代表的な軍服として長いこと使われます。
しかしこの肋骨服というものは見栄え良く見える為にぴっちりしたスリムな作りになっている上に紐飾りが引っかかって動きにくく、さらにド派手なことから的になるということで戦場では敬遠される傾向にありました。
そして殺戮戦となった日露戦争ではほとんどの将校がカーキの学ラン型の動きやすい野戦服を使用することとなり(記録写真を見ると日清戦争時点で黒の学ラン型の軍服を着た将校が見られます。最後まで肋骨服で通したのは第3軍司令官・乃木希典陸軍大将くらいで…)、この軍服に肩章・襟章を付けたものが太平洋戦争まで使われる軍服の原型としてとってかわることになり、肋骨服は姿を消します。
その他の国の肋骨服も同様の理由で第一次世界大戦の時点で姿を消すことになります。


運動性が低い為に姿を消した肋骨服でしたが、装飾性が強い為現在でもパレードや王室関連の警備で着用する騎兵がいる場合があり、(去年のイギリスのウィリアム王子の結婚式のパレードの際の護衛の騎兵の中に肋骨服を着用してた騎兵が混じってました。)ブラスバンドの華やかなユニフォームの中には肋骨服から変化したものがあります。

正直言って去年完結した明治が舞台のスペシャルドラマ「坂の上の雲」は明治の制服萌えな自分にとって肋骨服がたくさん出てくるお祭り騒ぎであり、自身もエキストラ参加するなど大変フィーバーしてました。
この肋骨服、とある衣裳会社で借りることができる為、いつか着て写真撮りたいと思ってます。

以上!!

アバター
2012/09/01 10:47
吉乃様へ…この肋骨服についてはものしりと言うよりもマニアなところがあり、知識の方は自然と蓄積されています(笑)
アバター
2012/09/01 10:08
なるほど、あの軍服がそんな名前だとは知らなかった!!!
物知りなのねえ^^




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.