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つくしのつれづれノート


大河ドラマの合戦シーン

50年以上続く大河ドラマ枠の最大の魅力はドラマで描かれる合戦シーンといえるかもしれません。
NHKの資金力による合戦シーンは大変ダイナミックであり、他の民放の追随を許しません。
それゆえ大河枠では民放が対抗できる予算規模の題材である幕末ものよりも民放が真似できない合戦シーンが豊富な戦国ものの方が人気が高い傾向にあります。
そこで今回大河ドラマの合戦場面を特集します。


大河ドラマの合戦シーンの初登場は大河三作目の65年「太閤記」からであると思われ(「太閤記」は本能寺の変の回しか残っておらず、その中の回想シーン以外の合戦シーンの全貌を把握することが不可能となっています。)、翌年の66年「源義経」では一の谷の坂落としや壇ノ浦の八艘飛びなどのアクティブな義経を表現するために開発した撮影技術が、テレビ技術の発展に大きく貢献したとされています。

大河初カラー作品となった69年「天と地と」ではクライマックスとなった川中島合戦をロケ地の福島県の相馬市・南相馬市に総勢300人(騎馬武者50人・スタントマン50人・地元高校生エキストラ150人・その他役者と撮影スタッフ)と大量の機材(カメラ4台・中継車1台・VTR車1台・電源車2台・トラック3台・ヘリコプター1台)を動員して撮影され、大変ダイナミックな映像に仕上がっています。

こうして草創期の大河合戦を振り返ってみると、テレビ技術の発達とともに合戦シーンのクオリティが上がっていったのは否めないのですが、演出の仕方で合戦シーンの良し悪しが表面化するものが多く見られ、新しいものばかりがいいものとは限らなかったりします。


・79年「草燃える」源平合戦(大河枠の源平ものとしては最もスケールが大きいと思われます。)
・80年「獅子の時代」西南戦争・秩父事件(珍しい草創期の明治陸軍の衣裳が映えます。)
・85年「真田太平記」(新大型時代劇枠)上田合戦(第一次・第二次)・大阪の役(真田幸村が家康を追い詰める夏の陣はハラハラします。)
・87年「独眼竜政宗」摺上原の合戦(伊達政宗が宿敵芦名氏を滅ぼした奥州の決勝戦に当たる。大変泥臭いところがリアルです。)
・90年「翔ぶが如く」西南戦争(特に田原坂の戦いの薩軍×警視庁抜刀隊・明治陸軍鎮台歩兵の激突は大迫力です。)
・91年「太平記」鎌倉幕府滅亡・湊川の合戦・南北朝動乱と最終回まで合戦づくし。
・97年「毛利元就」吉田郡山城(毛利元就の居城)籠城戦などの描く城の攻城戦。)
・01年「北条時宗」宝治合戦(鎌倉の道を挟んでの押し合い圧し合いの乱戦は大迫力!後の元寇はこの限りにあらず。)
・07年「風林火山」海野口城攻城戦(武田信玄の初陣。戦国山城を復元した長野の荒戸城で撮影された為、大変リアル!)



そして上記に挙げた作品とは明らかに別格といえるのが
・88年「武田信玄」(川中島合戦)
・92年「信長KING OF ZIPANGU」(桶狭間合戦・姉川合戦・長篠合戦)
・00年「葵 徳川三代」(関ヶ原合戦・大坂の役)
の三作品です。

三作品の合戦シーンは共通して重光亨彦による演出で、合戦の密度が高く、全速力で突撃する騎馬隊の川中島では濃霧の中疾走して現れ、姉川では川を全速力で渡河し、長篠では全速力で疾走する騎馬隊が柵越しの大量の鉄砲でなぎ倒される様など、とくに騎馬武者スタントが凄まじいのです。(一説にはあまりに激しいスタントの為役馬に負担をかけ過ぎていると批判されているとのこと。「武田信玄」のOPの騎馬隊の背後で爆発が起こるシーンを観ればうなずけるかと…)

「武田信玄」の川中島合戦は大河ドラマ史上最高の合戦シーンとして伝説となっており、そのスタントの激しさ・霧の中から疾走する騎馬隊が現れる映像美・ダイナミックさなどこれを超える会戦型(大軍同士が平原で決戦を挑む戦闘形式)の合戦シーンは今に至るまで存在しないと思います。

これに匹敵するのが「葵 徳川三代」の関ヶ原合戦であり、スタントは「武田信玄」「信長」ほど激しくないものの大変丁寧に作りこまれており、迫力だけでなく各軍の配置・展開など関ヶ原合戦の全貌が判り易く把握できる内容になっております。その完成度の高さから、その後の大河ドラマで関ヶ原合戦が描かれる際かなり高い確率でこの「葵 徳川三代」の合戦シーンが流用されています。

ちなみに「信長」の各合戦シーンの完成度は「武田信玄」や「葵 徳川三代」程ではないものの合戦シーンの登場数が三作の中で最も多く、盆と正月が同時に来たゴージャス大河として合戦シーンの好きな方には大変おススメです。

自分の大河ドラマ合戦シーンのレポートは以上です。よろしかったらみなさんの印象に残っている大河ドラマの合戦シーンを教えてください。





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