大好きな彼と手をつなぐ話 SS♯1
- カテゴリ:自作小説
- 2014/03/14 22:23:29
夕方の学校の帰り道、彼と一緒に家に帰る。
夕日に照らされてる中、私のとなりで黙々と歩いているのがわたしの彼氏だ。
イケメンじゃないけど、何かを考えふけっている時の彼の横顔がかっこいいとわたしは思っている。
友達は彼のことをボサっとした間抜けづらというけれど、
わたしはそんな彼が大好きだ。
告白したのはわたしからだった。
放課後、誰もいなくなった教室で席に座って物思いにふけっている彼を見つけ、彼とおしゃべりをしてる最中にとっさに
「私はあなたが好き。わたしと付き合って下さい。」
と告白したのを彼が静かに
「うん」
と頷いたことからわたしと彼は恋人同士になったんだ。
前々から告白しようと決意してたわけじゃないけれど、彼と話してるうちにずっと抱いていた彼を好きな気持ちが一気に爆発し、自然と口から飛び出した告白だったと思う。
わたしにとって彼は初めて付き合う彼氏。
付きあってからまだ一ヶ月足らずだけど、ずっと好きだったひとと付き合えることになってわたしはとても幸せだ。
…でも、彼と肩を並べて一緒に帰るのに幸せを感じる半面こうも思う
‘‘もっと近くで彼を感じたい 彼に触れたい もっと彼に愛されたい…``
告白する前、
わたしは彼の側にいられるだけで幸せだと思っていた。それは私の想いが通じて付き合うことになって叶ったわけなのだけれど、同時に彼を好きな気持ちが前よりもずっと大きくなってただ見てるだけでは物足りなくなったんだ。
とことん欲張りだなあって我ながら思う。
だけど彼は一緒に帰ることときも口数は少ないまま黙々と歩くだけ…
恋人同士の関係になったけれど特に付き合う前の友達の頃の接し方とそんなに変わらなかった。
初めてのデートの時も、私がずっと彼を引っ張っていっただけで手も握らずに終わってしまった。
手…
そういえば告白して付き合い始めてから今まで手をつないだことがない。
異性と付き合うのは彼が初めてで普通の恋人同士がどんなのかはよくわからないけど、
付き合って一ヶ月も手をつながないカップルを恋人同士と呼んでもいいのだろうか…
そう思ったらわたしはさびしくなった。
わたしは手をつなごうと彼に声をかけた。
「あのさ…」
すると横で物思いにふける彼が立ち止まって
「何?」
とわたしの顔を見つめた。
「え…と…」
彼にわたしの顔をまじまじと見つめられ言葉が詰り、それから先のことがどうしても言えなかった。
「やっぱりなんでもない…」
「そう…」
彼はまた前を向いて歩きだす。
わたしはやりきれない気持ちになった。
‘‘大好きなあなたと手をつなぎたい``
ただそれだけが言いたいだけなのに…
好きな相手に想いを伝えようと決意すればするほど、いざって時に想いを伝えきれない自分がもどかしくて仕方がない。
わたしは彼の横顔をそっと眺めた。
彼は相変わらず何か物思いにふけっている。かっこいいと思う反面、彼がいったい何を考えているかまるで判らないのでわたしは不安になった。
付き合ってから気付いたのだけど、彼はまわりがいうただのうボンヤリさんとはまるで対極の性格の持ち主だった。
一見ポケーっとしている彼の中ではいつも彼の興味のあるものについてとことん思いを巡らせているのだ。そして考えつめた後に行動する彼は、いつもとは真逆にその興味の赴くままに猪突猛進して進むのだ。
それも一心不乱、横も後ろも決して振り返らず…
彼を想うわたしのことさえも…
夕日が雲に隠れあたりが暗くなった。
振り返ってみると彼はわたしにスキンシップはおろかなにも求めようとしてこなかった。
告白した時もその場を収めるつもりでとっさに返事をしたのかもしれない。もしかしたら彼が付き合ってくれるのはお情けであり、わたしのことなど何とも思ってないのではないだろうか…
そう思ったらどんどん気持ちが沈んでいった。
その時、わたしの体はバランスを崩して大きく傾いた。彼との関係について思い詰め過ぎて、前に下り階段があるのにまったく気が付かず、足を踏み外してしまったのだ。
体が傾くと同時に見えるはるか下の階段の下。
段数の多い高い階段のため、下まで落ちたらひとたまりもない。
まさに絶体絶命。
わたしは一瞬に体中の血がひいて背筋が凍るのを感じた…
その時だった。
「危ない!!」との声と一緒に強い力で引っ張られて、わたしは後ろに派手に倒れ込んだ。
突然の出来事の連続でわたしはパニック状態になり、一体何が起こったかしばらくチンプンカンプン状態だった。ただわたしが倒れたところがやけに温かくて心地よかったのだけはわかった。
我に返ってから把握したのは、わたしが彼の上に覆いかぶさっている状態にあるということだった。
彼は階段にから足を踏み外したわたしを、引っ張って助けてくれたのだ。
その彼はわたしと硬いコンクリートの地面の間のサンドイッチになって、倒れ込んだ時に体を打った痛みで「痛ててててて…」ともんどりをうっている。
そんな状態だったのでわたしは慌てて「大丈夫?」と彼の側で声をかけた。
すると彼は起き上がり、
「なんとか平気…そっちこそ大丈夫?」
と返す。
「うん…」
わたしは頷いた。
「ホントに無事でよかった…」
わたしも彼も同時にホッと一息ついた。
こうして平静を取り戻した時になって、わたしと彼は互いにギュッと手を握っているのに気付いた。彼が助ける際に掴んだ手がそのままだったのだ。
とっさに手をほどこうとしたけど短時間にいろんなことがあったせいでギュッと堅く握った手がこわばってほどけない。
わたしは顔をを赤らめた。
すると彼は
「このまま帰ろうか。」
と恥ずかしそうに私に言った。
わたしは応えようとするも緊張して声が出ず、彼の言葉にただただ頷くばかりだった。
西の空はもうすぐ沈む夕日に染まって真っ赤に染まっていた。
帰り道、彼と一緒に手をつないで帰る。
これまで何度も妄想した憧れのシチュエーションだったが、いざやってみるとすごくドキドキして緊張する。
手にいっぱい汗をかいて、頭がくらくらして、足もふわふわしてなんかおぼつかない…
「手…やわらかいね。」
急に彼が握った手の感想を言ってきてまた頭が蒸気を噴き出したかのように暑くなる。
ふと彼の方に目をやると、一見平静を保っているようだったけどその耳は真っ赤になっていた。彼も同じ気持ちなんだと思ったら少し安心した。
握った彼の手のぬくもりがとても温かく感じた…
つないだ手をやっと離したのは彼と帰り道が別れ道になる時だった。
別れ際、彼は顔を茹でダコ状態にしてわたしに
「告られてからずっと、君のことばかり考えてた。付き合うなんて初めてのことだからどうしたらいいか戸惑ってたけど、君のことだけは大事にしなきゃって思ってたんだ…」
と言って、走り去っていった。
すでに夕日は沈んで暗くなり寒くなってきていたけれど、一緒に手をつないだ余韻が残って体中が熱かった。
周りからみればきっとちょっとした小さな出来事に過ぎないんだろうけど、水面に波紋が広がるみたいに胸がすごくざわめく。
これからもこのドキドキの繰り返しなんだろう。
そう思うとすごく嬉しいようなちょっと怖いような…
そんな不思議な気持ちでわたしはひとり帰り道を歩いた。
これについては、ほとんど即興のつもりで書きました。
以前みのりんとしゃべった時に書こうと思ってたやつも、2編ほどの小話もとりあえず大まかなイメージは固まってるので折を見て書くつもりです(^-^)
やっぱりとっても素敵な小説書くんじゃない!!
朝からドキドキきゅんきゅんさせてもらったよ^^
月曜日の憂鬱な朝なはずなのに、ほっこり気分で仕事にいけそうだ^^
ありがとう✿ฺ(◡‿◡ฺ*)ฺ
次回作も期待だぁぁぁキャッ(゚ー゚* )( *゚ー゚)キャッ
兎にも角にも以外のコメントしてくれる方がいてとても感謝です。
いちからでっちあげたものなので不安だったのですがちょっとした自身に繋がります。
彼の方も彼女と同じ不安な気持ちになってたという感想が響きました。
書いてるとき彼の思考については彼女へのどう反応すればいいか、どう付き合っていけばいいのかをずっと一人で考え込んでるという設定で書いたのですが、改めて読み返すとたいしかに有効様のおっしゃる通りの見方ができますね。
次この手の小話をかくときの参考にしたいと思います
ありがとうございます(^-^)
とりあえずこれとは別にすぐ書けるネタはあと二つほどあるので、折を見てまた書きます(^-^)
彼の方も、彼女が何も話してこないので、彼女と同じ気持ちになってたのかもしれませんね。
いいわ~^^ こっちまでドキドキしちゃったじゃないの( ´艸`)ムププ
お互いに お付き合いは初めてで 手を繋ぐって事すら大事件なんね^^
夕方に仲良く手をつないで帰るカップルが見えます♫
私もこういうお話大好物♥ また書いてね~♫
新海誠のアニメを見て以来、この手の話にすごく飢えていますwww
小話としてのネタは思いつくのですが、いざ書くとなると大雑把な骨組みの上に恋愛ものらしいやわらかくやさしい文章で肉付けしていくのがすごく難しいです。
ニコッとの女の子のブログやラブレターコンテストの書簡集なんかを参考にしたのですが、わたしミカサが普段のブログで司馬遼太郎の小説を参考にした文章に慣れてしまってホントに大変でした。(判りやすい文章)
今日のバレンタインに合わせたSSの練習台書いてみましたが見事に時間がかかってしまいました。とりあえずやれるとこまでやってみます。
可愛いカップルが目に浮かんできます。
付き合いはじめが一番幸せな時ですよね♪
みかささんの乙女目線・・・かわいいですね~^^
すごい!!
未だに不十分な出来だと思いますのでさらに推敲を重ねていくと思います。