Nicotto Town


つくしのつれづれノート


はるひのの、はる(ささらシリーズ完結編)

日常ミステリーの旗手・加納朋子によるミステリー(?)小説です。
(日常ミステリーは一昨年話題になった米澤穂信原作のアニメ「氷菓」に見られるような日常の不思議~謎解きに入るタイプのミステリージャンル。)
一昨年「七人の敵がいる」が昼ドラになったと同時に闘病記「無菌病棟より愛をこめて」で白血病を告白したことで注目を浴びた作家さんなのです。この「はるひのの、はる」は白血病克服後第一作目として昨年6月に刊行された小説です。
加納さんのミステリーはやわらかい文章によるファンタジー風味の短編連作が持ち味の作家さんで大変よみやすく、私ミカサを読書好きにした作家さんなのですが、近年はそれがエスカレートしてジュブナイルや児童小説に近いそれまでとは変則的な小説が目立つようになって飽きが来ており、新作が出てもすぐ読まなかったりしてるような状態でした。
今回の「はるひのの、はる」もその例にもれず、とりあえず白血病克服後小説連載をしてるくらいに留めてあまり関心無かったのですが、

この「はるひの、はる」が自分を読書好きにした加納さんの「ささらさや」の続編ということを知り、
急いで先日取り寄せて読んだ次第です。最近はしんどくて小説もあまり読んでないのですが一気読みしてしまったわけで…



兎にも角にもまずはあらすじ↓
田舎町のささらの母子家庭で育ったユウスケは生まれたころから幽霊が見える少年だった。
小学校入学前のある日、ユウスケは「はるひ」という不思議な少女に出会う。「未来を変える為に助けてほしい」と頼まれたユウスケは、それから度々神出鬼没に現れる「はるひ」の不思議なお願いを聞くことになる…
やがてユウスケはそのお願い事で起こった出来事がすべて不思議な縁で結ばれていることに気づく。一体「はるひ」は何者なのか…
この物語はユウスケの成長と共に描かれる優しくて切ない時間と人と命を巡る物語…





上記のとおり「はるひののはる」は「ささらさや」を皮切りに架空のささら町を舞台に幽霊を交えたミステリーである通称ささらシリーズの3作目に当たり完結編に当たる作品です。
↓とりあえず以下は「はるひののはる」以前のささらシリーズ二作品。


「ささらさや」…突然の事故で夫を亡くし夫の実家から一人息子のユウ坊を引きとらせろと圧力をかけられたサヤは、ユウ坊と共にささらの町へ移住した。そこでサヤは様々な不思議な事件に遭遇するが、その度にサヤを見守る亡き夫が他人の姿を借りてあらわれて助けに来てくれる。ゴーストになった夫と遺されたサヤの永遠の別れまでを描くせつなくも愛しい日々を描く連作ミステリー


「てるてるあした」…親の夜逃げの為に1人ささら町にやってきた中学生の照代はサヤの友人であるお節介ばあさんの久代の家に転がり込んだ。これまで我儘放題にに過ごしてきた照代は突然の流転の日々に心を閉ざしていたが、ある日照代のケータイに差出人不明のメールが届き始め、不思議な女の子の幽霊が時折登場するようになる。
その謎が解けたとき照代を包む温かい真実が明らかになる…




上のささらシリーズ2作品は仲間由紀恵主演の「トリック」を輩出したテレ朝の金曜ナイトドラマ枠の「てるてるあした」(演:黒川智花・木村多江)としてドラマ化されているので、少なからず知ってる方はいるんじゃないかと思います。

まあ今回メインに取り上げている「はるひのの、はる」はあくまで独立した小説なので別に前二作を読む必要は無いのですが、最初の「ささらさや」から順に読んできたわたしミカサにとってはものすごく感慨深いものがあります。

なぜなら「はるひのの、はる」の主人公・ユウスケは前二作のキーキャラクターのユウ坊なのだから…

「はるひのの、はる」には名前こそ出てこないもののサヤをはじめとする前二作の主要キャラクターがちらほら登場しています。
わたしミカサとしては大学入って「ささらさや」を読んだことで読書の虫になったので思い入れは強く、「ささらさや」でユウスケは母・サヤに抱かれる首もすわって無い赤ん坊だったのですが、完結編の「はるひのの、はる」でストーリと共にユウ坊の成長が描かれてラストに向かうのを見ると、
まるで自分の子供の成長を見てるかのごとく涙が止まらなかったです。
(自分に子供なんていないのにwwww)

そしてユウ坊がずっと追い続けてた謎の女の子「はるひ」
彼女がユウ坊を動かして変わった未来と変えられなかった未来…
ラストで明かされるそれは残酷なまでに切なく、必死に涙をこらえていたユウ坊とは反対に、ボロボロ号泣してしまいました(ToT)



もちろんそう感動できるのも作者の加納さんの持ち味があってこそ!!
内容は完全な感動ファンタジー小説なのですが(ささらシリーズが元々ファンタジー色の強いゴーストストーリーなのですが、続編が出る度にエスカレートしてる感じwww)、そのストーリー構成は加納さんが得意とする短編で張った伏線を重ねて短編集全体の謎を解いていく本格ミステリーであり、従来の加納朋子作品よりもストーリーががひねってあるって印象も受けます。


他者作品に例えるとアニメや映画になった「時をかける少女」や「ひぐらしのく頃に」に近い物語だと思います。(ネタばれになってないだろうな…)

それだけでなくこの「はるひのの、はる」は所々に加納さんの過去の代表作品を彷彿とさせる要素がところどころにちりばめてあってファンとして凄い感激です。


最近加納作品にやや飽きが来ていたわたしミカサですが、
白血病による約3年近いブランクを経て登場したこの新作ミステリーは(間に出た闘病記を除く…)、
加納朋子のこれまで書きつづった数々の小説の集大成とも言える作品なのではないかと思います。




日常ミステリーは殺人事件が時に起きるわけでもなく、劇的なシーンがあるわけでもありませんが、加納さんの小説は読んだ後味がすごくいいので大好きです。

できうることなら既に一度ドラマ化している「ささらさや」「てるてるあした」と共に映像化しないかなあと思ってしまいますね。
米澤穂信の「氷菓」のようにアニメ化してほしい。
そんなカンジですね!!











なお、ささらシリーズ一作目の「ささらさや」は紺也ぴんく作画(「南総里見八犬伝」をもっとも忠実に漫画化した「八犬伝」の作者)による漫画バージョンが出ております。すでに文庫化されていますよ(^-^)

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2014/03/31 22:25
クレア様へ…まだハードカバーなもんでかさばるのですが、表紙や挿絵のイラストが大変素敵なので加納朋子作品はハードカバー・文庫本共に揃えている始末ですwww
そこまで超有名な作家さんではないのですが大きな本屋や図書館へ行けば何かしら置いてありますよ(^-^)
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2014/03/31 22:22
家主(≡▽≡)Z様へ…昨今は殺伐とした世知辛い世なのかになっており、癒しの要素の需要が非常に高まっていると思います。
欲望のために他人を押しのけるのが当たり前の世な中よりも、互いを思いやれる社会に進む方向に向かってくれたらいいのですが…
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2014/03/31 22:18
大潮様へ…シリーズ全体通して優しくて切ない内容なのですが、3作目の「はるひのの、はる」が一番ミステリーとしてもひねってあるしせつなくてよかったです(^-^)
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2014/03/31 22:15
結城アスナ様へ…ありがとうございます(^-^)
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2014/03/24 23:18
ミステリーで、ファンタジーで、感動なのですか~^^
みかささんを惹きつけた小説。面白そうですね~読んでみたいです♪
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2014/03/24 20:28
どこまでも、やさしいお話なのですね。
こうした「読んでよかった」と思える作品は好きですよ^^
読む側を癒し、決して傷つけない。
途中はキツくても、最後には感動が待っているような・・・そんな作品が、今は求められているのでしょうね^^
みかささんの書評もとても良い感じで、読んでみたい気持ちにさせられました。
ちょっと探してみようかな^^
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2014/03/24 09:48
「ささらさや」すてきな小説ですね~
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2014/03/24 07:32
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