Nicotto Town


つくしのつれづれノート


拝啓、十年後の君へ。=裏秒速5センチメートル

つい数日前に刊行された青春小説です。
最近は小説なぞは全く読まずにジャンル問わずの本で知識をどん欲に貪っていた私ミカサですが、
普段日課にしていたイラスト投稿サイトの閲覧中に出会った本書の表紙イラストに強烈に惹き付かれて、一目散に本書を購入した次第です。
以下はその表紙イラストへ続くアドレス↓
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=57563358



兎にも角にも
まずはあらすじ

10年後に開けようと小学一年の時に埋めたタイムカプセルの中身が郵送されてきた。
中には高校二年の今の自分に向かって宛てられた10年前の自分からのメッセージ…
忘れていたのは、離ればなれになるなんて想像もしていなかった時に交わした将来の約束。そして一つの後悔。今更思い出しても取り戻しのつかない、幼い頃の恋心…
嫌いじゃないけどドキドキしない、そんな曖昧な恋愛関係に悩む千尋。部活から逃げ出した元サッカー少年の冬弥。定時制高校に通う不良少年の優。慣れないギャル生活で息苦しい美夏。家から出たくない引きこもりの時子。そして小学校の頃に喧嘩別れした少女を、今も想い続けている耀。

この物語はそれぞれ悩みを抱えて苦しむ6人の男女が過去の自分から届いた手紙にによって自らの運命を変えていく青春物語である…



う~ん…
今回はあまりにも内容に惹き込まれ過ぎてきちんと要約できず、結局本書のブックレビューを半ば引用することと相成りました。我ながら情けない…
(まあ短編連作なので一片に要約することが難しいのだけど…)
今日昼休み中に本を一気読みして、今現在の時点で三回も繰り返し読んでいる有様で
正直最近小説を読まずにいた自分自身が驚いている有様です。



前述の通り
本書を読むきっかけになったのはイラスト投稿サイトに掲載された本書の表紙イラストに惹き付かれたことだったのですが…
初見の感想としてその表紙イラストが自分の好きなあの作品のイメージにぴったりだったわけです。
「秒速5センチメートル」

新海監督の最大の代表作ともいえるこのアニメ映画は作った本人の思惑とは裏腹に
最凶の鬱アニメいわれる作品なのですが(最近は「秒速」を超えるヒット作「言の葉の庭」がありますが、このヒットは比較的ハッピーエンドな展開が「秒速」でどん底に叩き込まれた観客から受けた印象があるので、最高傑作とはいいがたいのではないかと思う…)
それゆえにリアルな悩める思春期の男女の心の揺れ動きや葛藤が非常にみずみずしく、そのラスト故にいつまでも非常に強烈に印象に残っている作品なんですよ。
しかも自分は「秒速」の展開と似た体験をしているだけに入れ込みようは半端じゃないわけで…

…そんないきさつで一気読みにした今なお私ミカサを虜にしている「拝啓、十年後の君へ。」を呼んだ感想としては
あの時伝えたくても伝えられなかった本当の想いが、時を超えて伝わったことでどん底にあった自分が自ら立ち上がってくという
ある意味観客が本当に待ち望んでいた「秒速」のIF展開がこの小説で体現されているという感じでした。

まさに「秒速5センチメートル」裏バージョンという印象がピッタリです。
(こんな作者さんを落胆させるような感想で申し訳ない気持ちでいっぱいです(苦笑))
…とはいうものの「拝啓、十年後の君へ。」で語られるのは何も甘酸っぱい恋愛ものだけではなく、正直言うと主要登場人物6人のうちの何人かが経験した悩みや苦しみについては、自分も同じような経験をしているだけにこの小説への入れ込みようはホント尋常ではありません。そういうビターなテイストが入っているのもこの小説の魅力の一つです。
それ故何年も前に「秒速」を見て以来、この手の青春小説を探し続けていた私ミカサにとって、
この本との出会いはある意味必然だったのかもしれません。


この本に出会えた私ミカサは本当に幸せだと思っています。
この本と出合うきっかけを作ってくれたイラストレーターさんにはホントに感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。

もし興味を持たれた方がおりましたら是非本屋で手に取ってみてください。
読んでおいて損はないと思いますよ!



作品情報
「拝啓、10年後の君へ。」
 著者:天沢夏月
 メディアワークス文庫










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