Nicotto Town


つくしのつれづれノート


非常に怖かった「シン・ゴジラ」 感想求ム!

封切られた昨日さっそく見ました。
今年の私ミカサの映画予定は異例の過密スケジュールとなっており、今回の「シン・ゴジラ」もその予定に当然組み込まれていましたがが正直この「シン・ゴジラ」に対しては
当初最も期待度の低いクソ映画の印象しかありませんでした。
 

理由1…昨日テレビでも放送された2014年版のハリウッド「ゴジラ」(通称ギャレゴジ)の世界的ヒットを受けて急遽復活させた便乗映画の印象が強かったこと。
制作発表時の記事内にはその話題性によってグッズで一儲けしようということが書かれており、日本産ゴジラ復活の一報をを聞いた当時あまりにもえげつなくて嫌悪しました。

理由2…映画監督に樋口真嗣の名前があったこと。
「エヴァ」の主人公・碇シンジのネーミングの元ネタとして有名なこの人は、平成ガメラ三部作を見てもわかる通り迫力のある映像づくりに関して現時点で日本の特撮の頂点に君臨しているといっても過言ではないスゴイ人なんですが、映画監督としては映像至上主義的により有名作品の内容を次々とズタズタにしてリメイクをする原作レイプの常習犯であるため、日本映画史上最悪の映画監督として私ミカサが嫌っている人物でもあるんです。(実写版「進撃の巨人」を見て激怒した方は理解できるかと…)

さらに私ミカサ自身がこえまでの日本のオリジナル作品とハリウッド版の計30作品全て見観尽してた子供の頃からの筋金入りのゴジラファンとしてその目も肥えてる為、これだけ不安要素が多いとさすがにシビアにならざるを得なかったですね。
まあ一応樋口真嗣監督の上に総監督・庵野秀明の名があるためスクリーンに物を投げつけたくなる最悪の映画にだけはならないだろうとは思いましたが…
まあゴジラが町中を暴れまわってれば必要最低限ゴジラ映画として成立しますからね…


以下は一応内容については極力避けてますが、映画のテーマに関する核心部分に触れてるのでネタバレしたくない方は注意‼













…で、
昨日見た「シン・ゴジラ」
ものすごく怖かったです。
正直怪獣映画でここまで恐怖を感じることって今までなかったです。

完全シリアスな映像ドラマに時々過去のゴジラ映画の音楽が入って茶化した雰囲気になるなど
一見終始シリアスとギャグ(?)の応酬に徹した映画に見えましたが
そんな茶化した演出が皆無なら映画が終わった後もずっとトラウマで立ち上がれなかっただろうと思います。

まさにトラウマレベルの恐怖なんです。
それは私ミカサだけではなく今の日本人がこの映画を観たら誰もが同様に感じると思います。


なぜならばこの「シン・ゴジラ」
どう見ても東日本大震災の悪夢を再現した映画だからです。




総監督・庵野秀明が今回のゴジラを作るにあたり目指したものは初代「ゴジラ」への原点回帰
これ自体は各節目ごとに歴代のゴジラ映画でもなされてきたことなんですが、庵野はそれまでのゴジラ映画がタブーとして決してやらなかった初代「ゴジラ」との関連の一切を断ち切った全く新しいゴジラを今回の映画でゼロから作り上げたわけです。
しかも庵野がその究極の原点回帰を行ううえで最も重要視していたと思われるのが、
「シン・ゴジラ」が初代「ゴジラ」をリアルタイムで観た人間と同じ感覚で観れるように仕立て上げること

初代「ゴジラ」は戦後9年目の1954年に作られた作品であり、悲惨な戦時中の記憶が色濃く残っているさなか、あえて戦時中の最大のトラウマともいえる東京大空襲や広島長崎への原爆投下による凄惨な光景を作中で再現してる
言わばあの戦争の災禍をゴジラで擬人化した映画なんです。
そのため初代「ゴジラ」を見て戦争のトラウマをフラッシュバックさながらに思い出した人も多いとか…
さすがに今更初代の「ゴジラ」の完全リメイクでは戦後70年のその記憶さえも遠い歴史の彼方の出来事になってしまっている為、初代「ゴジラ」と同じ感覚で観れる映画にはなり得ないんです。
だからこそ庵野はあえて今の日本人全員が抱えているトラウマである3,11・東日本大震災をベースにして「シン・ゴジラ」を描いているんです。
その為一番最初にゴジラが上陸した際に発生した津波なんか木造家屋のがれきが混ざった東日本大震災で見たものそのものだったし、
中盤ゴジラが東京を蹂躙して住民がパニックになり国家機能をどんどん喪失していく様なんかは原発の事故レベルがどんどん引き上げられていったあの時の恐怖と絶望を再燃させ本当に怖かったです。

3,11がベースなのでドラマも災害対策本部を指揮する政治家や官僚を主役にしたドラマになるのも当然です。
一応言っておくとこの手の政治家を主体にしたゴジラ映画(84年「ゴジラ」)など前例があるのですが(この手の作品は72年の「日本沈没」に始まる東宝パニック映画の系譜を継ぐ。)
今回は3,11の膨大な資料を基にそれを「シン・ゴジラ」で再現してる為、その作中の展開があの3,11の光景そのものであり、災害ドキュメントといっても過言ではない作品になってました。(これを見てあの時対処してた政治家共はどあの最悪の事態の対処がどれだけできたのか本当に不安になります。)
まさにこの映画のキャッチフレーズである
「現実VS虚構(ゴジラ)」なんです。
そのリアリティを徹底するため自衛隊の協力体制で映画製作が進められたといことですが、そのあまりの徹底ぶりに機密が流出しかねないと政府や自衛隊からセーブがかけられたという話も聞きます。


なのでもし100%完全オリジナルの「シン・ゴジラ」であったならば救いようのない最悪の鬱映画となっていたと思います。
もしそれをやってのけたら鬼!悪魔‼と今なら確実に罵るでしょうね…
(それ故作中時折流れる歴代ゴジラ音楽や「エヴァ」のヤシマ作戦のアレンジ曲が流れた際はホント癒しタイムでした。
特に最終決戦は東宝特撮音楽のオンパレードでさながらドリフの盆回り状態でした。でもそれは決してギャグなどではなく、むしろあの原発事故に総力で勇敢に立ち向かった方々の姿に重なり涙しました。
もしオリジナルオンリーだったらあまりにも凄惨過ぎる雰囲気に押しつぶされて正視できません。東日本大震災で展開された体育館に安置された大量の棺が並んだ光景まで再現されてたらと思うだけで頭が真っ白になります。)


そんなわけでこの「シン・ゴジラ」は怪獣映画の域を超えていおり、初代の完全なる原点回帰に成功してると思います。(むしろやり過ぎないようセーブしてるようにすら感じる。)

世界的にウケる映画かどうかは微妙ですが
(なぜならば海外のゴジラ像は核保有国アメリカが初代「ゴジラ」を検閲により核兵器による誕生経緯の言及を改ざんしたただのモンスター映画「怪獣王ゴジラ」をベースにしている為日本とゴジラの認識が全く違うのです。なにせオリジナルの初代「ゴジラ」のアメリカ公開が叶ったのもゴジラ誕生50周年の節目の2004年と最近のことですから…)
東日本大震災を経験した我々日本人は見なければならない映画かもしれませんね。
二度とあの災禍を繰り返さないために…






ちなみに中盤のゴジラが地元鎌倉に上陸したのにはビックリしましたww
結構大規模なシーンだったけどいつの間に撮影したんだ!?全く知らなかったぞ‼

それとキャストのエンドロールのラストになぜか作中に出てこない野村萬斎の名が…
と思ったら今回のゴジラ役が野村萬斎その人だったのでビックリ‼
なんでもフルCGのゴジラの動きは狂言の舞をベースにしてるそうなので野村萬斎が演じたとのこと。「のぼうの城」でも舞の迫力に圧巻されましたがまさかゴジラになってしまうとは…

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2016/08/15 18:21
あーにゃ様へ…こちらこそだいぶ前の記事にわざわざコメントをしていただきありがとうございます。
私自身は徳島生まれの鎌倉育ちなんですが福島の郡山に3年ほど住んでおり人格形成に最も影響を受けた第3の故郷であるためあの災害は本当に他人ごとではありませんでした。
郡山は内陸故に長沼湖の決壊以外はそこまで被害は大したことなかったのですが、震災時に連絡を取った友人から原発事故に対する郡山で広がった流言飛語が生々しく伝わってきており、
災害によって都市機能の喪失することの恐ろしさというものを改めて感じました。

今回の「シン・ゴジラ」は
ゴジラによる直接の人間の死というものはさほど描かれていませんが(初代には当時白熱光を浴びて断末魔を上げて人が死ぬ場面があります。)、
ゴジラが日本の中心地である霞が関を蹂躙し、ネットで「内閣総辞職ビーム」と揶揄されるゴジラの熱戦で総理以下閣僚の乗ったヘリが撃墜される場面は一瞬で国家機能が喪失し日本そのものが即死したシーンとして未だにトラウマになっています。もしこれが現実のものとなっていたらと考えただけで震えが止まりません。

そんな中で最後まであきらめずゴジラに立ち向かった劇中の登場人物たちの活躍はあーにゃさんの言う通りあの大震災を経験したすべての人たちに対するエールなんだと思います。
初代ゴジラに真っ向から挑戦しておきながら、悲しみのうちに終わった初代との圧倒的な違いはそこにあるんだと思います。

作中でゴジラはとりあえず倒されましたが、現実を生きる我々の戦いはまだ終わっていません。「シン・ゴジラ」を見てもう一度あの大震災を振り返り完全な復興に向けて加速していけばいいなと思います。
これは日本人が絶対に見なければならない映画だと思います。


しかしゴジラ役が野村萬斎とはびっくりしますよね。一応今回のゴジラは着ぐるみ一切なしのほぼフルCGなんですが、それはさながら野村萬斎にCGゴジラという着ぐるみを着せたということにほかならず、ゴジラの動きを表現するための根本的なところは着ぐるみの時と変わってないのにもうれしく思います。

初代以降のゴジラ映画でここまですごいものが観れることを大変うれしく思っています(^_^)
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2016/08/15 10:10
こちらの「シン・ゴジラ」記事にコメントをありがとうございました。
私のほうからも、みかささんの記事に感想コメントを。
うんうん、まったくその通り! と私も思います。

私は福島県の住人です。
原発事故による避難対象地域にはなっていませんし
自主避難もしませんでしたが、
あの事故の時に知人友人の多くが福島を離れて避難したし
市内の体育館に避難所が開設されたりもしました。
津波で何もなくなって風景が一変した海岸も見てきたし。
子どもの頃から遊びに行っていた場所だったのですけれどね……。

あのときの政府の混乱ぶりが
「シン・ゴジラ」には見事に再現されていました。
対怪獣と対原発事故の違いはあったけれど
本当に、官邸ではこんな感じだったのじゃないかな、と思いながら見ていました。
終盤で主人公の矢口が自衛隊に対して行う演説も
あのとき原発事故の処理に向かっていった人々に対するメッセージと見事にかぶっていたし。
だからこそ、怖い。
でも、だからこそ、具現化しなくてはいけなかった。
そう思わされる作品でした。
ゴジラはまさに「怒り荒ぶる神」だったと思います。

パンフレットに野村萬斎の名前が載っていて
私も、どうしてこの人の名前が? と思っていたのですが、
そうでしたか! ゴジラ役だったのですか!!
これはびっくりしでした。
怖い恐ろしい迫力あるゴジラ。
本当に見応えがある、非常に面白い作品でした。
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2016/08/06 18:39
ひめたま・破様へ…コメントありがとうございます(^_^)
ゴジラに代表する特撮映画のファンを長くやっているとどんどんマニアックになっていきますからねww
よく感想に出てくる特撮がどうのこうのというのはよく聞かれる話なんですが、個人的には特撮ファンでありながら内容重視ですね。
今までのゴジラ映画はすべて初代ゴジラの続編という位置づけであってどうしてもワンパターンになりがちだったのですが、「シン・ゴジラ」はそのタブーにあえて挑戦することによって初代同様怪獣映画の枠を超えた上質の映画に仕上がったので長くゴジラファンをやってきた身としては大変うれしい限りです(^_^)
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2016/08/06 16:34
シン・ゴジラ、確かに東日本大震災そのものでしたね
東京中の人々が疎開する様子、渋滞する車などは震災で見た光景でした
しかし最終決戦の見事な連携プレーで…(これ以上書くとネタバレになりそうなので割愛)
瞬く間に2時間が過ぎ「楽しかった」ただその一言しか出て来ない状態でした

庵野監督作品なのでトラウマもの覚悟で挑んだのですが
見事に良い方向へ裏切られました

それにしてもみかささん含めシン・ゴジラについて語る方は熱い!
それくらい熱く語れる方々を見ていると映画っていいなあと改めて思った次第です
長々と失礼致しましたm(_ _)m
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2016/07/31 22:41
こみち様へ…せっかくチケットまで買ったんだから観に行きましょうよ!w
このゴジラだけは観に行って損はしませんよ。
日本人は見て教訓にすべきだと思います。
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2016/07/31 22:37
有効様へ…庵野監督は当初「エヴァ」を優先して総監督を当初断ったそうですが今回のゴジラの監督兼特技監督のシンジの直談判もあってここまでリミッターを外したゴジラが誕生したわけだからすごいですよね。
結局「エヴァ」新作は公開延期になってブログで庵野監督謝罪してましたね。でもそれで「シン・ゴジラ」が誕生したのなら英断なのかもしれません。
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2016/07/31 00:17
実は、今日観にいこうと思ってチケットまで買っておいたのですが、予定が入ってしまって急きょ行けないことに…。
もう行くのやめようかと思っていたのですが、みかささんのレビューで俄然行きたくなりました!
ネタバレになってしまうとのことなので、後半はまだ読んでませんが…。
楽しみです♪
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2016/07/30 23:56
これでは庵野監督がエヴァ新作を遅らせても仕方ないなって感じですね。
ネタバレ読んでしまいましたが、お金に余裕があったら見に行きたいです。




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