Nicotto Town


つくしのつれづれノート


NHKドラマ「夏目漱石の妻」

二俣川のバイク講習から帰って夕飯を食いながら見ていました。
私ミカサは「坂の上の雲」を筆頭に明治物の作品が大好きな為食いついたわけですが、(司馬遼太郎の「坂の上の雲」は陸軍の秋山好古・海軍の秋山真之兄弟と真之の親友で秋山家とも縁の深い俳人正岡子規の三人が主人公であるため、真之と子規の同級生でもある夏目漱石も登場しドラマでは小澤征悦が演じている)
ドラマで描かれる鏡子の夫である夏目漱石について人情を持ち合わせない血も涙もない人間だなと悪感情を抱いてしまいました。

夏目漱石の妻・夏目鏡子は随筆家としても活躍した人らしいのですが、夏目漱石関連の文献では悪妻とか毒婦などひどい言われようをされている人物だそうです。
確かに作中でも描かれていたとおり夏目鏡子は実家で甘やかされて育てられたせいか、人に対してずけずけと物を言ったりヒステリックなところが実際にあり当時の倫理観や常識からそうみられてもやむを得ないところがあったそうですが、
漫画家・夏目房之助や随筆家・半藤 末利子(作家・半藤一利の妻)たち夏目漱石の子孫の面々が申すところによると
「性格に裏表がなく、
弱いものに対する慈しみの気持ちの強い、
子供や孫に慕われる良き母であり良き祖母であって、
むしろ非難されるべきは、
すぐに妻子に対して暴力を振るう漱石である」
と漱石よりも妻鏡子の評価の方が圧倒的に高いということです。



どうもこの悪妻説というのは芥川龍之介などをはじめとするやたら金の無心ばかりしていた夏目漱石の門下生が広めたものではないかという指摘もあるようで(金の無心をするくせに門下生にポンと大金を差し出す鏡子に対して反発心を抱いたらしいとか…しかもその借りた金の大半を踏み倒してしまったらしい)、それを考えると今もさほど変わりないのかもしれませんが作家というものはホントろくでなしの集まりなのかもしれませんね。
(鏡子という人は癖のある性格ながらもこういうろくでなしの門下生たちの面倒も親身に見ていたそうです。)
実際今でこそ文豪と呼ばれる当時の小説家の多くは同人誌で作品を発表していた人たちばかりであり、当時は小説化などはやくざな商売と忌み嫌われたのが当時の常識だったそうです。
夏目漱石こそが近現代作家の中で初めて小説で身を立てることに成功した最初のプロの小説家なんです。
(正岡子規は亡くなる直前まで新聞記者として活躍しており、森鴎外は陸軍軍医(最終階級は陸軍中将相当の軍医総監)の傍ら作品を発表していた。)


…で、
暴力を振るうDV夫である漱石とヒステリックで悪妻など喧伝されてしまった鏡子でしたが、二人の夫婦仲はさほど悪くなかったともいわれており、漱石によるDVが激化して周囲から離婚を薦めれた際も、鏡子は作中でも描かれた生まれて間もなく養子としてたらいまわしにされた境遇と神経質でイギリス留学の結果精神衰弱になった漱石のことを理解しており決して受け付けなかったということです。
中には小説「坊っちゃん」の主人公(ドラマ作中で垣間見える漱石の生い立ちと重なるためこの坊っちゃんも漱石自身がモデルなのだろう)の下女である老女キヨのモデルこそが漱石の妻・鏡子であり、
「坊ちゃん」は漱石が小説越しに鏡子に宛ててに書いたラブレターだったのではないかという指摘まであるそうです。

漱石と鏡子の間に二男五女というたくさんの子供をもうけており、鏡子の漱石に対する言動に悪感情がないところからしてみても決して最悪の夫婦関係だったと言い切れない所があり、
実際はドラマ以上に壮絶な夫婦関係だったようにも思うのですが、互いに一癖も二癖もある者同士案外うまいことやっていた夫婦だったのかもしれませんね。




次回この夏目夫婦最大の試練であるイギリス留学とそれに伴うDVが描かれることになるのですが、あの二人は一体どのようにして乗り越えていくかすごく気になるところです。



ちなみにこの「夏目漱石の妻」は大河ドラマ「太平記」(91年)大河ドラマの総決算であるスペシャルドラマ「坂の上の雲」の脚本と演出を担当したスタッフが手掛けており両作品に比べると小作品なら結構面白いドラマだと思いました。








…そういえば「坂の上の雲」の秋山兄弟はそれぞれ陸軍海軍で家にいることが非常に少なかったそうですが共に非番の暇なときは家族サービスをする家族思いなところがあったそうで、特に弟真之の方は大変な子煩悩ということで有名だったそうです。
う~ん…「坂の上の雲」であまり仲のいい描写のなかった秋山真之と夏目漱石ですが(ドラマ「坂の上の雲」では反目し合っているようにすら思った)、ここまで家族に対するエピソードが対照的だと開いた口がふさがりませんね。


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2016/09/28 08:14
漱石は鬱病にかかってたってのは知ってましたが、DV亭主だとは···。
でもそれでも沢山の子供をもうけて連れ添ったんだから、他者にはわからない夫婦間の愛情も存在してたのでしょうね。
私ならDV時点でもうアウトですが(ーдー)
アバター
2016/09/27 23:54
世の中あまり知らないほうがいいということもありますねw
日本人作家といえば漱石しか読んでないくらいなので、ちょっとあのドラマはw




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