げるぞるさんの日記 | ニコッとタウン

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■近代文藝之研究｜表紙題言と奥付

カテゴリ：その他
2014/02/27 22:27:32

■近代文藝之研究｜表紙題言と奥付

［表紙題言］

在るがまゝの現實に即して

全的存在の意義を髣髴す

觀照の世界也

味に徹したる人生也

此の心境を藝術といふ

［奥付］

明治四十二年六月二日印刷

明治四十二年六月五日發行

（正價金壹圓八拾錢）

著　者　島村瀧太郎

發行者　荒川信賢

　　　　東京小石川區音羽町四丁目十一番地

印刷者　渡邊八太郎

　　　　東京市牛込區榎町七番地

印刷所　日清印刷株式會社

　　　　東京市牛込區榎町七番地

發行所　東京牛込區早稻田　早稻田大學出版部

發賣所　博文館

　　　　東京市日本橋區本町三丁目

　　　　其他全國各地書林

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＊註１：表紙題言

黒地の表紙の右上端囲み罫内にこの題言が記されている。文字も罫も金色。国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月（滝太郎）著早稲田大学出版部, 明42.6」には、残念ながら表紙の画像データは収録されていない。

なお、雑司が谷霊園にある抱月の墓碑にはこの『近代文藝之研究』の題言が彫られているが、字句に相異がある。以下に記すのが墓碑銘文。

在るがまゝの現実［＃「実」は旧字ではない］〓［＃「に」の変体仮名］即［＃「即」の旧字］して

全［＃「全」は旧字ではない］的存在の意義を髣髴す

觀照の世界也

味〓［＃「に」の変体仮名］徹したる人生也

此［＃「の」を略す］心境［＃「境」は旧字ではない］を藝術と云［＃「い」ではない］ふ

墓碑銘は抱月の学友であった五十嵐力(早大教授＝当時)の筆になるものと流布されているが、五十嵐が故人の文言字句を勝手に変えてしまうことは考えられず、筆跡も書家としても名高かった五十嵐のものとするにしては風格に欠けるとして、五十嵐力とは別人とする説もある(＝岩町功『評伝島村抱月』)。私も墓碑を直接見た時、岩町氏と同様の疑念をおぼえていたので同感だ。抱月の葬儀主催者たる大学関係者か、もしくは芸術座関係者の誰かが、諳んじていた表紙題言を書きつけたメモを石工に渡し、それを参考に石工が直接彫ったのではないか(つまり誰かの書の写しを墓碑に当てて彫ったものではない)と私自身は推測する。

＊註２：全的・全國

「全」の正字体。

http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen.jpg

＊註３：心境

「境」の正字体。

http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kyou_sakai.jpg

＊註４：著者・発行者・印刷者

「著」の正字体。

http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tyo_arawasu.jpg

「者」の正字体。

http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mono.jpg

＊註５：音羽町