Nicotto Town


ごま塩ニシン


新怪アウトプッター(2)

 事務作業のシステム化が進んできたから、請求書を出すにしても、得意先のコード番号を入力すれば、請求内容が一括して出てくる。手際よく印字された書類を封筒に入れるだけである。経理課長は、やがて封筒に書類を入れる作業も機械化することになっているから、経理課の将来は真っ暗だねと冗談を言った。定年近くなってくると、課長以上の昇進も望めないので経理課長は平気で軽口を飛ばした。
 半分ほど禿げ上がった課長の横顔を見ながら、由梨花は同期入社の福村慎平に相談できたらいいのにと思った。社員食堂は自社ビルの10階にあったが、テーブル数が多くないので昼食時間は12時スタートで12時30分と午後1時であった。経理課の古狐でもある先輩の宮田ひろ子と新入社員の入江美佐子、東条由梨花の三人が定刻に席を立った。エレベータ―で行き先を押すのは美佐子であった。何時もなら、直行で食堂まで行けるのに次の7階で止まった。ドアが開くと若い男女がいっぱい並んでいた。背の高い若者が、男の匂いを発散させ、5人ほどが一斉にギュッと乗り込んできたのである。由梨花は思わず後ずさりした。
 7階には総務部と会議室があって、販売営業課が新入社員の研修会議をしていたのである。4月頃の恒例行事であった。由梨花は下を向いていたが、新人の顔を知っておくのも悪くはないと思って、首筋をゆっくりと上げた。目線の先に同期入社の福村慎吾の顔があって、笑みを浮かべて彼は由梨花を見下ろしていた。
「よお。元気。」と福村は話しかけてきた。
「久しぶり。研修会だったの。」
 胸のあたりが熱くなり、気分が高揚してくるのを由梨花は感じた。
 エレベーターを降りると、みんなはトレーを持って、食堂の窓口へ急いだ。
「営業でグループ分けができて、おれ、キャップになったよ。」
 こう言って、福村はトレーを取って、由梨花に渡した。

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2018/01/16 08:23
私も、今昔、あのToshibaで、OLをやってた。庶務の補助!でしたが。仕事など無い。

福村慎吾と由梨花はどーなるの?(笑い  オフィスラブはご法度よ。



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