Nicotto Town


ごま塩ニシン


夜霧の巷(42)

 産業開発ビルを出た直後であった。「水沢営業課長に菅原さんの気持ちを伝達しておきます。思い出していただいてありがとうございました。」 こう言って、広瀬沙織は笑顔で手を振って、AI企画センターの建物へ消えた。「ありがとう。」 菅原はびっくりして彼女を見送った。最後になったが、水沢営業課長がクラブ霧笛を...

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夜霧の巷(41)

 地下に降りる階段はラセン状でB1のフロアーに降りれば、広いラウンジになっていた。午前午後は喫茶軽食のメニューで夕方6時以降になると、テーブルが並び変えられた。中国風の二枚屏風で間仕切りがなされ、ブルー系統のライトが天井を照らすというバアー&ラウンジ形式に変身した。コーヒー料金も400円から600円...

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夜霧の巷(40)

 夕陽が港町の風景を赤く染めていた。菅原は春先まで勤めていたAI企画センターの入居しているビルに自分の足が向かっていることに気づいた。直感とは恐ろしことかもしれない。菅原の頭の中には夕刻にレジャービルの前で待って居れば、清宮水産の配送車に出会え筈である。張り込めばいいだけの話だ。不安と言えば、聞いて...

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夜霧の巷(39)

 コーヒーショップ『カモメ』のドアを押すと、奥のテーブルで由梨花が若い男と顔を寄せ合って話し込んでいた。菅原は吸い込まれるように二人のいるテーブルに直進して行った。二人はタブレット端末を覗き込んでいた。「やあ。何してるの?」 菅原が声をかけてみると、相手の男はユーチューバーの古宮雄太であった。「今日...

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夜霧の巷(38)

 菅原は事件解決の糸口を掴めたと期待していた。それがあまりにもそっけなく、クラブ夕霧の美佐に門前払いされ、頭を抱えてしまった。美佐は何かを知っているかもしれない。だが、出会い頭に肘鉄を食わされると行き場を見失ってしまう。簡単に拒絶されてしまうとは予想外であった。せっかく見つけた新芽を靴で踏みつぶされ...

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