Nicotto Town


koshiのお部屋分家


大作曲家の孫・・・

本家に「龍馬伝」の感想をアップしたら精根尽き果てた・・・。
そこで,ちょっと手抜き・・・。
こちらでは珍しい音楽根多となる・・・。


バイロイト音楽祭の重鎮とも云うべきウォルフガング・ワーグナーが先頃亡くなった。
1919年生まれで90歳での長逝だった。
周知の通り,ドイツの大作曲家リヒァルト・ワーグナー(以降,ワーグナーと記した場合は彼のこととする)の孫にして,1966年に急逝するまでバイロイト音楽祭の主宰だったヴィーラント・ワーグナー(1917-66)の弟に当たる。


ヴィーラントとウォルフガングの父は,ワーグナーとリストの娘コジマ(19世紀末の大指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻-つまり略奪愛)の間に生まれたジークフリード・ワーグナーである。
北欧神話のニーベルンゲン伝説に採譜したワーグナーの楽劇「ジークフリード」の主人公からその名を採った彼のことは,ワーグナーの独立した管弦楽作品である「ジークフリード牧歌」に関連したかつてのエントリで述べた。
そこで今回は,ワーグナーの没後から孫2人に至るまでを簡単に追ってみたい。


ワーグナーが晩年に心血を注いだのが,バイロイト祝祭劇場の建設であったことはよく知られている。
ワーグナーのパトロンだったバイエルン国王ルートヴィヒII世が巨額の出費をしたこと,
上記「ジークフリード」を含む「ニーベルングの指環」四部作初演が大赤字に終わったこと等,ワーグナーの生前はこのバイロイト音楽祭はさしたる成果を上げていない。


バイロイト音楽祭が盛況となったのは,第一次世界大戦後の中断を経た1930年,イタリアの大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ(1867-1957)を迎えてからだろう。
ジークフリードが急逝したこの年,妻のヴィニフレート(1897-1980)の尽力の結果だろう。
戦時中,ナチスが国策としてワーグナーやリストの楽曲を利用したことはよく知られているが,それにはヴィニフレートの力も大きいと思われる。
戦後,ナチスと親しかったヴィニフレートは2人の息子,ヴィーラントとウォルフガングにバイロイトの運営を委ねることになる。
バイロイト音楽祭の復活は1951年,今も畢生の名盤とされるヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)の第9(ワーグナーの楽劇ではなく,何故にベートーヴェンだったのだろう・・・)によって果たされる。
以後,66年にヴィーラントが急逝するまで,バイロイトは両頭体制で運営されていく。
戦後の新バイロイト様式と呼ばれる斬新な演出や,クナッパーツブッシュ,カラヤン,ベームといった大物たちの時代とその終焉,そして60年代はカイルベルト,ケンペ,クリュイタンス,サヴァリッシュ,マゼールといった名指揮者の競演を経て,70年代以降はウォルフガングが辣腕を振るった時期と言える。
フランス人の指揮者(ピエール・ブーレーズ)と演出家(バトリス・シェロー)に委ねた結果,「指環」で大ブーイングが起こったことや,非西欧系の指揮者を招聘したこと等,書き連ねていくと一体どれぐらいの分量になるか分からない(それこそワーグナーの楽劇並だ)のでこれぐらいにしておくが,ウォルフガングの没後この音楽祭がどのように変容を見せるのか,興味深いところである。


ウォルフガングの引退後,バイロイトの運営は娘のカタリーナ・ワーグナーとエファ・ワーグナーの二頭体制となっている。
但し,この2人は前妻と後妻の子-つまり異母姉妹である。
戦後のバイロイトがヴィーラントとウォルフガングの兄弟で運営されていたことを想起させるが,同様に骨肉の争いとならないことを願いたい・・・。
ワーグナー演奏の系譜や指揮者の特色について述べるには,あまりに私が知識不足故にこれで止めるが,バイロイトのライブは只一組,1982年の「ローエングリン」(指揮ウォルデマール・ネルソン,演出ゲッツ・フリードリヒ)を持っているだけである。
できれば,79年だか80年だかのエド・デ・ワールト指揮の同曲を聴いてみたいのだが,映像としては残っていないだろう・・・。

アバター
2010/06/20 23:45
オムロンさん,今晩は・・・。
このような根多にも反応くださり,有り難い限りです。
手抜きというのは,本家にアップしたものの再掲載ということでして・・・。
この手の根多なら実はいくらでも書けたりします・・・(という程ではないのですが)。
小澤氏は年明けに手術をして,その後の状況が気になるところです・・・。

>同じ楽曲でも、指揮者によって大きく印象が異なる

全く仰る通りですね。
オペラの場合は,まず演出家ありきで次に指揮者,そしてソロを執る歌手・・・といった具合に舞台が全く違うものになります。
かつて大阪でバイロイト祝祭劇場の引っ越し公演が有りましたが,不景気なこのご時世,日本へ外貨を稼ぎに来る劇場はなかなか無いようです・・・。
アバター
2010/06/20 22:09
これで手抜きだなんて!
クラシック方面にお詳しいのですね~
私はからっきし知識はないのですが、父が小澤征爾のファンでして。子供の頃から多少聴いてはいる感じです。
昨今の健康不安が気になるところですが・・

クラシックというのは同じ楽曲でも、指揮者によって大きく印象が異なるのが興味深いといころですね。

バイロイトの音楽祭は意識して観た(聴いた)ことがないので、機会があれば・・と思います(´∀`*)




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.