Nicotto Town


koshiのお部屋分家


12.8

今年もこの日がやってきた。
8.6,8.9,8.15とともに日本人としては忘れてはならない日・・・と思う。
ただ,今日は新たに稿を起こす体力・気力とも残存しないので,3年前に記した駄文を掲載して,帳尻あわせとしたい・・・。


12月8日と言われて,
「日米開戦」
とか,
「真珠湾攻撃の日」
と咄嗟に出てくる人が果たしてどれぐらい居るのだろう。


今日のニュースを漁ってみても,大東亜戦争関連の記事は,殆ど見あたらなかった。
往事を知る人々が櫛の歯の欠けるように減っていき,こうして12月8日は我々日本人の精神から風化していくのであろうか・・・。


不幸な戦争の始まりの忌むべき日とか,侵略戦争を行った恥ずべき日とか思う前に,世界中を巻き込んだ「帝国主義」というものについて理解する必要があると思う。
勿論,他国を侵略する行為は忌むべきことであり,今後未来永劫にわたって絶対に有ってはならないことだが,500年以上前の「大航海時代」以降の歴史を繙く必要性を感じるのだ。


例えば,大航海時代をリードしたスペイン・ポルトガルは16世紀のアジアを席巻した(南蛮人とは全く言い得て妙だ)。
アステカ・インカといった中南米の現地人の国を侵略したのも彼らである。
何故に南アメリカをラテンアメリカと呼ぶのか,何故にブラジルでポルトガル語が公用語なのかが分かるというものだ。
また,よもや我が国における天文年間の鉄砲・キリスト教伝来を,文化交流などと思っているお人好しは居ないと思うが,一つ間違うと我が国もマカオやゴアのように植民地化された可能性は十二分にあったと思う。
鹿児島や山口・大分,或いは少し後の長崎などがそうならなくて本当に良かったと思う。


周知のように,17世紀初めのトラファルガー沖海戦にてスペイン無敵艦隊が敗れてから,植民地支配の主役はオランダになる。
我が国は200年以上の長きにわたって鎖国政策を採っていた訳だが(結果的にこれが幸いした),オランダは西欧諸国で唯一交易が認められていたのは言うまでもあるまい。
インドネシアは大東亜戦争で我が国が侵攻するまでオランダ領であり,敗戦後オランダ軍が虎の威を借る狐宜しく戻ってきたが,独立運動の前に敗れ去った。


18世紀以降は英国が帝国主義を進める。
ブラッシーの戦いでムガール帝国軍を破った後にインドを完全に支配したのをきっかけにアジアを引っかき回す。
典型的な例が19世紀半ばのアヘン戦争である。
こんなのは戦争と言うより,言いがかりをつけた弱い者いじめ以外の何者でもない。
また,アフリカや中東の国々の国境線が不自然なくらい真っ直ぐなのは,列強がこれらの地域を侵し簒奪した結果であろう。
不幸なことにアフリカなど,西欧列強による分割支配までされたのである。
コンゴが長くベルギー領だったのをご存じの方も居られようし,南アのアパルトヘイトは勿論それが起源な訳だ。


そしてアメリカ。
19世紀末まで所謂「モンロー主義」によって他国への干渉をせず内需を拡大して国力を増強していたこの国が,1898年の米西戦争の勝利によってフィリピンを獲得。
以降,アジアへ侵出することになる。


17世紀以降,鎖国によって奇跡とも言うべき空前の平和を貪っていた我が国は,19世紀半ばに開国すると,徴兵令による西洋式軍隊の組織によって軍事力を高め,日清・日露の大国相手の戦争に勝って一躍アジアの強国となり遅まきながら列強の後を追うように大陸へ進出する。
第一次世界大戦でも戦勝国となり,朝鮮半島・台湾を領有。
旅順・大連といった大陸の入り口とも言うべき要衝を押さえ,南満鉄道をも手に入れた日本は,欧米列強にとって当然邪魔以外の何者ではなかった。
満州国を建国し,さらには中国東部を押さえた日本に対して欧米は経済制裁を加えてくる(アメリカは国民党軍を援助する「援蒋ルート」を持っており,義勇軍と称するフライングタイガースが漢江等で日本機と戦闘を行っていた)。
資源に乏しい我が国としては,南方資源を求めて仏印に侵攻せざるを得ない状況に追い込まれていた。


日米開戦に至るには,以上のような背景があったのである。
どんな理由をつけても他国を侵略すべきではなかった,という意見は道義的にもっともであるが,結果を知り後世の太平の世にいる我々だからこそ言えるのである。
だから,日本は悪いことをした国,と思う前に,何故に戦争に至ったのかを知る必要があるということである。
言ってしまえば非情な歴史の潮流に飲み込まれてしまった結果,と思う。
戦争責任を忌避するつもりは毛頭も無いが,後世の我々にとって善悪を論じることはナンセンスだと思う。


いずれにしても,戦争体験を語る人が年々減っていき,戦争の記憶・認識が風化していくのがやりきれない。
戦争は嫌いだ,と避ける前に,戦争を歴史を理解すべきではないだろうか・・・。


東郷外相の開戦回避策や野村吉三郎大使,宣戦布告の遅れと真珠湾奇襲については,機会をみて述べてみたいものである。

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2010/12/14 00:49
yutakaさん,今晩は。
このような濃いめのエントリにコメントくださいまし,本当にありがとうございます。
この手の濃厚エントリは,本家に山のように有ります(顰蹙)。
もし宜しかったら,ご覧いただけると幸甚でございます。
最近,こちらが本家を食っている状況ではありますが・・・。
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2010/12/12 23:33
12月8日の日にね、新聞にはジョンレノンが暗殺されて30年どれだけの人が
イマジンを聴くだろうって書いてあって、私としてはガックリしてたんです。
今夜は遅いのでざっと読ませて頂きましたが、もう一度ゆっくり訪問して読んで見たいものです。




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