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坂の上の雲-第8回「日露開戦」

先週末,ふらふらになりながら先行放送を見ました。
某「龍馬伝」と違って,撮り貯めてしまって見るのが億劫になったり,そのまま消去したりはしません。
やはり映像作品としての出来が違いすぎるからでしょう・・・。
オールスターキャストがどうも鼻につき,若手中心の大河の方が親しみが持てるという意見も多いようですが,オールスターキャストが陥りがちな散漫さがまるで無く,加藤剛に渡哲也,江守徹に高橋英樹,石坂浩二といった面々が見事に存在感を示しているのはさすがと言うべきでしょうし,勿論主役の秋山兄弟を演じるもっくんと阿部さんにも堂々とした貫禄を感じます・・・。


終盤,佐世保港に出征する海軍兵士達を家族が見送るシーンがありました。
真之を見送ったのは新婚の妻季子でしたが,汽笛を上げる戦艦「三笠」を見上げて,
「三笠・・・。綺麗な・・・」
というくだりがありました。
これを見ていて,広瀬がアリアズナに,日本の軍艦は美しい名前を付けている,と語ったエピソードを思い出しました(原作にあったかどうかの記憶は全くないのですが・・・)。
確かに,後年の戦艦は国名(大和,武蔵,陸奥,山城,扶桑,日向,伊勢),重巡は山(妙高,摩耶,鳥海,愛宕・・・),軽巡は川(熊野,最上,球磨,天竜,名取,大淀・・・),駆逐艦は風(島風,雪風・・・),月(秋月,如月,涼月・・・),雨(春雨,時雨・・・)等々といった自然の風物の名を冠したものが多く存在しました。
このあたりは,やはり長年自然との共存・共生をしてきた日本人の美意識が躍如としていると思います・・・。
三笠・・・といえば,大和奈良の三笠山-異境に果てた阿倍仲麻呂が故郷を偲んで詠んだ歌にもある-です。
大和は国のまほろば・・・とも言いますが,その山の名を冠した戦艦に,当時の先人達の心意気を見る思い・・・と感じるのは,私だけでしょうか・・・。


原作者が生前この作品の映像化を嫌い,不可能と断じたことはよく知られています。
理由は,おそらく舞台が松山,大阪・名古屋(好古の代用教員時代は割愛されていましたが),東京,朝鮮半島,満州全域,ペテルスブルグ,イルクーツク等のシベリアの都市,キール,東大西洋,マダガスカル(ノシベ等),マラッカ海峡,そして日本海と世界規模であることと,何よりも戦争及び帝国主義賛美と誤解されることを嫌ったことだと思われます。
成る程,確かに佐世保港に繋留された連合艦隊の艦船の全容をカメラが活写する様子など,取り方によっては上記のような危険性は有るわけですし,出征する家族を送るシーンも戦争の負のイメージがオミットされたような気もしないではないのですが,それを言ってしまうと,世にごまんとある(私の好きな)戦争映画の数々など,皆有害となってしまうわけでして,あくまでもそれは一面的な見方に過ぎないと思います。
私が子どもの頃,松本清張に次ぐ超売れっ子作家だった司馬遼太郎の名作の数々が,明治◎,昭和×,江戸幕府×,薩長◎といった短絡的思考によって歪められるならば,それこそ由々しき問題と言わねばなりません・・・。
この長い物語の終盤は凄絶な日露戦争の描写となっていく訳ですが,そこには十二分な戦争の悲惨さと人々の慟哭が描かれます。
それらが今後どのように映像化されていくかが見物ですし,決して帝国主義礼賛といった単純なものには陥っていかないことを願ってやみません・・・。
文庫本8冊(「竜馬がゆく」と同じ)という長大な作品を,15回の映像作品に仕立てること自体大変な作業ですし,退屈な代物となりかねないわけですが,その辺りを見事にクリアし,政局と国際情勢(特にロシアの南下政策が如何に危険で情け容赦ないものであったか)を主人公の動きと見事に輻輳させているので,ダルな瞬間が一瞬たりとも感じられないのは奇跡としか言いようがありません。
原作のテイストを損なうことなく,創作的・サービス的内容を随所に盛り込んでもあざとくならず,近年の映像作品では希有の完成度を誇る,と言えば褒めすぎでしょうか・・・。


薩摩藩閥を中核とする海軍と外相小村が主戦論派で,元老伊藤は朝鮮の独立を意図していたため開戦消極派,そして明治帝は最後まで主戦論に首を振らなかったという政府内の思惑が手に取るように分かりました。
また,ロシアでは開戦自重派の蔵相ヴィッテが閑職に追われ,陸軍相のクロパトキンや極東司令官のアレクセイエフは勿論,皇帝ニコライも勿論主戦派だったということでしたね。
欧州方面の南下政策は,数十年前のクリミア戦争が泥沼化したことで頓挫したため,首都からは遠いものの極東地域での南下政策が活発になったことは自明の理であり,ロシアのような大国が,東洋の小国である日本を怖れる必要は全くない訳ですから・・・。
そうした中での開戦は,非情な歴史の流れの中に在っては当然のことだったのでしょう・・・。


次回,連合艦隊による旅順港奇襲と同封鎖作戦による広瀬の最期が語られるようですが,戦闘シーンの壮絶さは期待してよいでしょうかね・・・。
(先行放送の録画を見てしまおうか・・・)

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2010/12/20 23:58
私もずっとみています。早い時間は見れないのでBSで10時からやっているのを
9時からのイ・サンに続き見るのですが、この番組は、もっくんの海軍の制服の時は
姿勢も態度も海軍軍人はこうであっただろうと思わせる堂々とした仕草で流石に役者ですね。

他の人も勿論そうですが、演技に迫力がありますね~
主人にも見るよう勧めるのですが、好みが違うので何時も一人で見ています。




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