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「1941」その2

でもって,この「1941」である。
スピルバーグというと,「ET」や「ハリー・ポッター」シリーズのようなファンタジーを撮る監督,というイメージが先行したきらいが有るが(多分日本だけだろう),70年代末期には,実験的な試みだったのかどうか,抱腹絶倒のスラップスティックコメディを撮っていたのである。

1941年12月8日。
日本軍真珠湾攻撃の報を受けて,西海岸の住民たちは,次は自分たちの番・・・と恐怖に包まれていた。
その矢先にジョセフ・W・スティルウェル中将(ロバート・スタック)が着任し,南カリフォルニアの防衛任務に就く。
沖合の日本のイ19潜水艦々長ミタムラ中佐(三船敏郎)は,ハリウッドを攻撃すればアメリカ人の精神的ダメージは大きいと考え,カリフォルニア沖に潜行し,西海岸を狙う・・・。
政治と軍事には全く感心無いが,女に手の早い若者(ボビー・ディ・シッコ),かなりきているP40戦闘機のパイロット(ジョン・ベルーシ),トウモロコシ畑に日本軍の秘密飛行場があると信じて疑わない守備隊長,頭を打っておかしくなったM3戦車の戦車長(ダン・アクロイド),B17爆撃機を見ると発情する秘書の女性とそれを利用して一発・・・(以下自粛)を目論む航空兵くずれ,そしてスティルウェル中将は,任務中に映画館でその年封切られた「ダンボ」を見て涙するのであった・・・。
こうしたいかれた連中が,はちゃめちゃの大騒ぎを演じるお莫迦映画であり,(多分)1人も死なない戦争映画である・・・。
初めてこれを見たのは,随分前の月曜ロードショーだったが,吹き替え陣の豪華さもあって腹を抱えて笑いまくった・・・。
今でも,これはスピルバーグの最高傑作だと思っているし,お笑いお莫迦映画を好きになるきっかけにもなった作品である・・・。


スピルバーグの戦争映画は,一方的にドイツを悪玉として採り上げるので,個人的には???なのであるが,日本が相手だと決してそのようなことはない。
・・・というより,戦争自体を皮肉ったり反戦を訴えたり・・・ということは一切無く,戦争を題材として唯々お笑いを連発する・・・というものなので,ただ見て笑い転げるべき作品ということもできよう・・・。
長らくDVD発売が遅れていたが,数年前にやっと・・・と思って視聴したところ,正直言ってがっかりした・・・。
何のことはない。
日本語吹き替えが無いのである。
何せ,


ダン・エクロイド(内海賢二)
ジョン・ベルーシ(熊倉一雄)
ネッド・ビーティ(大平透)
ウォーレン・オーツ(納谷悟朗)
クリストファー・リー(千葉耕一)


・・・という超豪華布陣であり,特にベルーシの吹き替えを行った熊倉さん(昨年の紅白で久しぶりに見た)が絶品であったのだが,それらが全く無いのは噴飯ものである・・・。
かくなる上は「007シリーズ」のように,後発で吹き替え入りが出てくれるのを待つしか無いのだろうか・・・。
うちの家族の反応は至って冷淡で,「くだらない」のひと言で片付けられてしまった・・・。
・・・で,今週サウンドトラックのCD(当然廃盤)を入手した。
「スター・ウォーズ」のメイン・タイトルで有名になり,スピルバーグの作品には必ず曲を提供するジョン・ウィリアムズ作曲による「1941のマーチ」は,軍楽隊上がりのウィリアムズの才能が最大限に発揮された傑作である(似た傾向の作品に「ミッドウェイ・マーチ」が有る)。
ハチャメチャで脳天気なこの作品に相応しいご機嫌な名曲と思う・・・。


因みに,封切り時の興業は大失敗だった。
というか,今でもスピルバーグ最大の駄作と揶揄されることも多い作品である・・・。
しかし,上記の理由で私にとっては忘れ得ぬものとなった・・・。
三船がこんなお莫迦作品に出た理由は,何でも「スター・ウォーズ」のオビ・ワン役(結果的にアレック・ギネスが演じた)かダース・ベイダー役にジョージ・ルーカス監督からオファーがあったのを,良く分からぬままに断ってしまい(SF娯楽作になど出られるかと言ったとか・・・),翌年にルーカスの友人スピルバーグの作品に出たところ,大こけ・・・という話である・・・。
ドラキュラ俳優として名を馳せたクリストファー・リーが頑迷なドイツ人将校役となっているのは何故だったのだろう・・・。





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