Nicotto Town


koshiのお部屋分家


レプリカ・・・

四国を訪れたのは,もう15年以上も前の夏になる。
独身の終わり頃のことで,あの時代は秋以外のシーズン,気軽な身の上なのを良いことに,長期の旅行によく行った。
四国に行ったのは,3年続いた冷夏が終わり,久々に暑い夏が戻ってきた94年のことだった。
今は亡き寝台特急「瀬戸」を終着の高松まで乗り,栗林公園-屋島-金比羅宮(奥の院まで登った)-満濃池-大歩危・小歩危というかなりハードな日程を1日でこなし,翌日は高知市内を見た。
高知城では,「十両の馬」を曳いた一豊夫人(見性院)の像を見て,桂浜では龍馬の像を見る・・・という定番コースだった・・・。


龍馬ブームのポストシーズン,観光立国を標榜する高知県は,ある賭けに出た。
今年は,文久元(1861)年の土佐勤王党結党から150年の節目ということで,桂浜の龍馬像の両脇に,土佐勤王党の党首であった武市瑞山(半平太)と,龍馬と運命を共にした中岡慎太郎の像を建てよう,というものがそれである。
但し,像と言っても発泡スチロールをウレタン加工したレプリカであり,期間限定で公開しようと目論んでいたらしいのだが,その目算が外れたようだ。


元々,今月5日に県内で開幕する「志国(しこく)高知 龍馬ふるさと博」の目玉企画としての予定だったらしいのだが,周囲から反対の声が相次いだ結果,除幕式は延期されたという・・・。
桂浜に相応しいのは龍馬だけ,とか,軽薄なレプリカなど不要といった具合に,地元民からの反対が多く寄せられたようで,ツィッターでも反対を叫ぶ投稿が相次いでいるらしい・・・。
県立坂本龍馬記念館の森健志郎館長も猛反対する一人だという・・・。


大河を媒介とした観光立国は,勿論今までも例があった。
我が県など,昭和末期の「独眼竜政宗」ブームにあやかって,相当な利潤があったと思われるくらいである(同時期に,隣の山形城跡に最上義光の銅像ができたのは笑止だったが)。一昨年は,米沢市が「兼たん」ブームに沸いていたようだ。
勿論,私はそれ以来米沢を訪れてはいないが・・・。
しかし,それに便乗して,作りものを・・・というのはいかがなものだろう・・・。
桂浜に立つ龍馬像は有名だが,その隣にレプリカが果たして必要なのだろうか・・・。
20数年前,私が生まれた町の駅前に,折しもブームだった「おしん」の銅像が建てられたことがあったが,それと同種のいかがわしさやあざとさを感じるのは,私だけだろうか・・・。

幕末勤王の志士が眠る京都東山の霊山護国神社(名前からしてサヨクは行かないだろうな)の裏手墓地に,龍馬と中岡はひっそりと葬られている。
そこには,志半ばで非命に斃れた2人の銅像が,ささやかに鎮座している。
それで十分ではないのか。
でかいのが見たかったら,その下の円山公園にある銅像を見れば良いと思う。
桂浜の龍馬像は,昭和初期に地元有志の募金によって建てられたものである。
さらに室戸岬には,中岡の像もある。
茫洋たる双眸は,遥か太平洋の波濤の先を見据える・・・。
映像や小説で知る龍馬が目指したのは,西洋列強に屈さぬ我が国の姿だった筈だ。
それは,産業を興し貿易を振興することで国を富ませ,人々が豊かな生活を甘受することができるよう・・・という高邁な理念だったのではないか・・・。
「おまんら,いい加減にするぜよ」
と,龍馬なら言うのではないだろうか・・・。

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2011/03/06 23:13
meianさん,今晩は。
月形半平太のモデルのもう一人は,福岡藩士(だったか?)の月形洗蔵だそうです・・・。
「春雨じゃ,濡れていこう」の台詞は知っていましたが,そうでした,その前は「月様,雨が・・」でしたね・・・。

維新の三傑はともかく,それ以外に生き残った志士たちが皆二流というつもりはないのですが,長州は禁門の政変で,土佐は勤王党弾圧で,前途有為な若者が多く命を落としたことは,やはり惜しい話と思います・・・。
武市半平太は,仰る通り謹厳で高潔な人柄だったようですね・・・。

一体,その銅像がどうなるのか,ちょいとばかり気になります。
地元民が反対しているということは,やはり止すべき・・・と思います。
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2011/03/03 16:38
私が若い頃は、武市半平太をモデルにした「月形半平太」の方が有名だったような・・・・。
「月様、雨が・・・」、「春雨じゃ、濡れて行こう」という台詞が、流行りました。(古い!)

幕末期に、主要な活躍をした人物の多くは(竜馬だけでなく)悲運に倒れ、脇役だった人物が明治政府の大物に・・・。
wikipediaでは
「武市の人格を評する「一枝の寒梅が春に先駆けて咲き香る趣があった」や「人望は西郷、政治は大久保、木戸(桂)に匹敵する人材」といった言葉が残されている。 」(wikipedia引用終わり)
とされている。
NHKの「竜馬伝」では、上記のような彼の高い能力や人格高潔な面はあまり描かれず、
どちらかというと暗いイメージで描かれたように思う。

それにしても発泡スチロールにウレタン加工・・・竜馬ほどではないにしても
高知県の幕末期の重要人物を軽んずる行為ですから、県民の良識か、竜馬だけのほうが
イメージがいいからか解りませんが、反対の声もむべなるかなですね。




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