「江~姫たちの戦国」~第13回「花嫁の決意」
- カテゴリ:テレビ
- 2011/04/10 23:03:14
尾州知多郡大野城。
現在の愛知県常滑市金山字桜谷。
私はてっきり名鉄常滑線大野町駅北部にある大草公園が大野城であると思ったのですが,これは後に織田長益(茶人の有楽斎と言った方が早いか)が築いた城であり,大野城はもっと南の城山公園がそれに当たります。
城趾には佐治神社なるものも有るようで,地元の方々にとって佐治家は大切な存在であるようです・・・。
佐治家は,伊勢湾の舟運と制海権を担っていたのでしょう。
織田家の傘下に居たと思われますが,織田家と姻戚関係にあったということは,緩い同盟関係というか一門衆扱いであったのかもしれません。
例えば,信長二男信雄は北畠,三男信孝は神戸(かんべ)といった伊勢の名家の名跡を継ぐことで伊勢を調略する足がかりにしたことは以前述べましたが,伊勢湾の制海権を握る佐治家は織田家からも一目置かれた存在であったのかもしれません。
織田家の水軍は毛利家のそれに比べるとはるかに脆弱であり,瀬戸内系では塩飽水軍,そして伊勢・志摩系では鳥羽を本拠地とする九鬼水軍と,この佐治家の水軍が重要な役割を担っていたのかも知れません・・・。
姉2人をさておいて,三女の江(しつこく言いますが,この年-天正11年-数えで11歳です),に白羽の矢が立ったというのも,多分事実でしょう。
お市御寮人に生き写しで美貌の誉れ高い長女の茶々には秀吉自身が野望を持っており(この時点でそうではないとしても,より有効な-つまり大物クラス-政略相手に宛行おうとしていたことでしょう),二女の初は後に京極家に嫁いだように,名門名家に使おうと思っていたことでしょう。
ですから,尾張の地侍に過ぎぬ佐治家には,美貌とも思われない三女の江で十分・・・ということなのではないでしょうか・・・。
・・・で,ようやく今回の内容になりますが,寧々がしきりと夫を詰った場面,はっきり言って有り得ないと断言しましょう(・・・と書いて,以前「天地人」のエントリでは,人を莫迦にしたような物言いするな,とコメントされたことがありましたが・・・)。
政略結婚が可愛そうとか,女を政争の道具にするなんて酷すぎる・・・とか,言われそうですが,それはあくまでも現代の価値観でしか有りません。
少なくても武士階級に自由恋愛なんて思想は存在しませんから,婚姻は父や主家の決めることであり,それに女性が異を唱えることなど在ってはならないことでしょう。
そんなひどい・・・と思うのは,現代の価値観です。
私の殿方になるお方は,どのようなお方だろう・・・と考えるのが,当時の武家の女性の一般的な在り方ではなかったでしょうか・・・。
ですから,例えばお市の方は政争の道具にされて気の毒と言われますが,嫁ぎ先の浅井長政とは勿論,再嫁した柴田勝家とも短いながら心を通わせた日々を送ったのでは・・・と予想されます。
江に関しても同様。
寧々が賢夫人であるなら,夫の身が立つように縦横に知恵を巡らせたと思われます。
ですから,もしかすると江の婚姻は寧々が・・・という可能性だって否定できないと思います・・・。
それから,三姉妹揃って仲良く力を合わせて・・・という図式は果たして道なんでしょう・・・。
乱世に生きた女はもっと強かではないでしょうか・・・。
例えば,一の姫をさておいて三の姫が婚姻・・・となれば,一の姫と二の姫は悔しがって,自分はもっとステイタスが上の殿方を・・・と,思う方が自然と思いますが・・・。
寝食も仲良く一緒のようですが,それぞれ侍女が付いており顔を合わせる機会はそう多くはなかったと想像します・・・。
佐治與九郎一成は良い人のようですね。
あっさりと輿入れしちゃいましたが,もう一工夫欲しかったです。
例えば,尾張の商業港として栄えた津島から船に乗って庄内川の河口から伊勢湾にこぎ出し,やがて大野水軍の軍船が周囲を固めて大野城へ・・・。
遠く鈴鹿の峰を望む伊勢湾の夕映えが江を迎えて・・・といった感じの方が,四十八手(猛爆)の江草紙見せて・・・というより効果的では・・・と思うのですが・・・(勿論,私の創作ではなく,先週紹介した小説の受け売りです・・・)。
・・・で,佐治與九郎とはどのような人物か・・・と書こうかと思いましたが,字数も紙面も尽きそうなので,また来週・・・。
どうなんでしょうね・・・
没個性的と言えば,江の生涯なんてまさに己れの意志が介在しない(ように見える)没個性以外の何者でもないと私なんか思いますが,今年の大河は十二分に個性的な江を見せていますからね・・・。
政略結構の背景は,確かにうやむやですね。
「佐治の水軍が欲しいだけじゃ」
では何とも説明不足です・・・。
ま,当時の人々の思いとか,歴史の非情さなんてのは期待できないですね・・・。
かといって,現代の価値観を当てはめるのも???
にしても,まあ有り得ない話の連発で,私の恰好な根多となってくれるのは有り難いです・・・。
この時代の女性が否応なく押し付けられた没個性的な生活に焦点を合わせれば、現代の人間にとって、
もう少し感じさせるものがあるのでは・・・、と。
どうも現代の状況を、時代を遡って映し出すという手法は
あるとは思うのですが、こと「政略結婚」がらみの話は
戦国大名の間では当たり前すぎる話で、そこに好き嫌いだの
女性的感情論はないと、ちゃんと理解して見るものなんですがね。
11歳での輿入れは珍しい話ではないし。。