Nicotto Town


koshiのお部屋分家


夏を聴く・・・2012

君知るや南の国,シトロンの花咲き
暗き茂みに黄金のオレンジは燃え
風やわらかく青き空よりそよぎつ
ミルテは静かにローレルは聳ゆ


竹山道雄が訳したゲーテの詩集「ミニヨン」からの一節です。
欧州の民族を簡単に分けると,アルプスから北がゲルマン,南がラテンとなります。
北方のゲルマン民族にとって,チロルのブレンナー峠を越えて降り立ったイタリアの明るい風光こそ大いなる憧れであり,霊元感であったに相違ありません。
モーツァルトはハイティーンの時期にイタリアを訪れ(確か3回目),K.183,K.201 (186a)という魅力的な(特に後者)交響曲を残しています。
そして,それは典型的なゲルマン人でしんねりむっつりを絵に描いたようなブラームスにしても,例外ではありませんでした。

ピアノ協奏曲第2番変ロ長調op.83(1881)。
ブラームス48歳の円熟期の傑作です。
イタリアの陽光と風物を愛したことでは,ブラームスも多くの文人や芸術家と同様なのですが,珍しく明るい曲調がこのロマン主義を代表する作曲家の一面を伝えて止みません。
この時期のブラームスは2度のイタリア旅行を経験し,それがこの曲の根底にあることは間違い有りません。
名曲の宝庫で,外れのない作曲家であるブラームスの作品中でも最高傑作の1つと言い切っても差し支えないと思いますし,古今のピアノ協奏曲の中でも内容・技巧共にトップクラスの名曲中の名曲とも断言しましょう。
牧歌的で伸びやかなホルンのコラールに始まる第1楽章(第2主題なんか最高に・・・)や,交響曲のようにスケルツォ風の舞踏楽章でもある第2楽章のピアノとオケが丁々発止とかけ合うパッショネートな情感も素晴らしいし,軽やかで喜悦感と充足感に満ちた終曲も勿論最高なのですが,夏の宵には何と言ってもノクターン(夜想曲)風の第3楽章が似合います・・・。


冒頭のチェロ独奏から,見たこともない(ゲーテやブラームスは見たでしょうが)カンパーニャの白砂の海岸と遠くに見える紺碧の地中海が眼前に広がるようです・・・。
終結部近く,ピアノとチェロの独奏の絡みに高音域でフルートが載るあたりの網の目のような書法は,美しさの極みです・・・。
ブラームスは秋に似合う作曲家・・・というイメージですが,第2交響曲のように明るい春光の中を流れる大河のような第2交響曲もあります。
珍しく夏を感じさせるこの曲も,ブラームスの陽の部分を端的に示した傑作と言えましょう・・・。

動画は,ポリーニの独奏,アバド指揮のウィーンフィルです。
76年6月のウィーン芸術週間のライブと思われますが,イタリア人の2人がブラームス所縁のウィーンフィルと競演・・・という理想的な組み合わせと言えましょう。
ポリーニのきらきらと煌めくクリスタルガラスのような硬質なタッチが,不思議とこの曲の感性にマッチしたのか,実に情感豊かなソロを聴かせますし,アバドの指揮もこの頃はまだ瑞々しい歌に溢れていました・・・。
冒頭のチェロ独奏は,当時の主席であるノルベルト・シャイヴァインでしょうか・・・。

                                     ↓
http://blog.goo.ne.jp/fw14b_2005/e/6d3f78652a69c2e0d57b1d674bd81052
絶品なのは10'45"~の3つの独奏楽器(P,Vc,Fl)の絶妙な絡み・・・。

因みに,私はかつて2度欧州を訪れましたが,残念ながらイタリアや南フランスには行ったことがありません。
モーツァルトやゲーテ,そしてブラームスがイタリアの風光を愛でるために越えたブレンナー峠も,下のインスブルック(チロルの主邑にして76年冬季五輪の開催地。ジャンプ台を見てきました)までは行きましたが,生憎の天気で登ることはかないませんでした・・・。
こうして書きながら聴いていると,やはり欧州に行きたくなります。
それも,ゴシック様式の見事な教会建築が見られるイン川沿いの美しいチロルの主邑インスブルックからブレンナーシュトラッセを通って峠を越えて,未だ見ぬイタリアの風光に思いを馳せながら・・・。
因みに,隣にはブレンナウトバーンなるアウトバーンも走っている模様です・・・。
イタリア読みだとブレンネロか・・・。

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2012/07/16 23:57
meianさん,今晩は。
丁度お誂え向きの・・・というか,大のお気に入りの動画が有ったので,迷わずエントリしました。
イタリアに行かれたとは羨ましい限りです。

ヴォルツァーノは,まさにブレンナー峠の南ですね。
先程ちょいと行って参りまして(爆),ドルソ橋渡って参りました・・・。
美しい山塊に抱かれた町ですね・・・。
その西がドロミテ山塊(私のスキー靴はドロミテ製です)。
羨ましい限りです。
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2012/07/13 16:08
こんにちは。
拝聴しました。
静かに始まり、終わりは余韻を残して…、夏向きですね。

オーストリアも南仏も行ったことがありませんが、2006年6月末のイタリア旅行で、
オーストリア国境に近いボルツァーノに1泊し、ドロミテ街道からベネツィアへの
バスの旅を思い出しました。
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2012/07/11 23:14
❤みゆくみゃ❤さん,今晩は。
私が入っているサークルは,活発ではないですけどどれもまったりしていて良いですよ。
宜しかったら,リンクを辿ってみてください。
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2012/07/10 21:55
へぇ・・・・・そうなのですかb
あ、ちょっと知りたい事があるのですが・・・サークルで、
クラシックの好きな人が集う所ってご存知ですか?

知ってたら教えてください<(_ _)>




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