Nicotto Town


koshiのお部屋分家


芸術の域・・・

mixiとFacebookには1日先行して掲載したのだが,せっかくなので改めて紹介しておきたい。
昨今の大河に関しては,山のような突っ込みを入れてきたのだが,今回の「八重の桜」は久々の良作となりそうで,喜ばしい限りだ。
只,あのOPには甚だ注文が付くことは,つい先日述べたばかりだ。
どうも「篤姫」といい「江」といい,ヒロインを際立たせたいが為か,タイトルバックにご本人が登場するのだが,どうも見ていて非常に煩わしい感じがしてならない(私だけかも知れないが・・・)。
時代背景とか,当時の風物とか,或いは印象的な風景とかを挿入してくれた方が,こちらのイマジネーションを大いにかき立ててくれると思うのだが・・・。
その点,かつての大河で主人公が登場したのは,「独眼竜政宗」(87)ぐらいしか思い浮かばない(当時としては画期的なレーザー光線ビカビカだったが・・・)。
ここ数年の良作の1つであった「風林火山」のOPも良かった。
上空から俯瞰した南アルプスの風景と,「風林火山」の征旗がさっと立ち粛々と騎馬隊が行軍する様が実に格好良かったし,千住明のメインタイトルも抜群の出来だった。


でもって,これである。
http://www.youtube.com/watch?v=hxyu_YL-wVc
79年の大河ドラマ「草燃える」。
冒頭の流鏑馬と続く富士の裾野(曽我の仇討ちは,重要なファクターとなる)を一騎駆けする大鎧姿の板東武者。
湯浅譲二の手になるメインタイトルは,主部に入ると5/8+6/8という変拍子ながら快活で平易なメロディが提示されるが(波打ち際の一騎駆けが格好良い),突如として木琴を中心とした前衛的なリズムに変わる。
挿入されるのは金剛力士像。
そのシンクロが見事に決まり,やがて樹海の中の一本道のスピード感溢れる映像に変わる。コーダは,主部のメロディがコラールとして回帰して高らかに歌われるが,最後は夏富士の雄姿で終わる・・・。


とにかく素晴らしい。
ストーリーは,平氏政権末期から源平の争乱を経て,北条氏が鎌倉政権を掌握するまでの血生臭い粛正劇の様相なのだが,このメインタイトルは,板東の草もうとも言うべき武士の政権が,やがて中央を圧して中世の開幕を導く様を端的に表していると言える。
究極の映像と音楽の融合と言うべきだろうか・・・。
もはや完全に芸術の域に達していると言っても過言ではあるまい・・・。


原作は,永井路子著の「炎環」(直木賞受賞作),「北条政子」,「つはものの賦」,「相模のもののふたち」(文春文庫刊)。
20代の前半に飽きることなく繰り返し読んだいずれも名著で,昭和40年代初頭に発表されるや,実朝暗殺の背景が一気に暴かれ,学者たちが瞠目したという代物である(このあたりに関しては,初期のブログで述べてきた)。
原作が良いと,多少の脚色があったとしてもドラマ自体が見応えのあるものとなる典型であろう・・・。


・・・ということで,今宵も再生。
当時TVの音声はモノラルであったが,うまくCD音源とシンクロさせてのステレオ音声となっている。
何度でも見たくなる傑作だ・・・。

アバター
2013/02/13 23:23
イシスさん,今晩は。
身に余るお言葉を有難うございます。
とにかく,かつての大河はOPだけでも瞠目すべきものがありました。
CGも無く,手作り感満載であるところが又内容と見事に合致していました。
他にも素晴らしいOPが有りますので,いずれ紹介したいと思いますが,取り敢えず上記リンクの究極の映像を,ぜひご堪能ください・・・。
アバター
2013/02/12 17:29
 中味の濃いブログにびっくりしています。
タイトルバックの話は 笑って読ませて頂きました。江 だったか 篤姫だったか よく覚えてませんが(もしかしたら両方かもしれません) たしかに煩わしい感じがしたような気がします。だから これほどレベルの高い批評をしてる方が そう感じていたのが凄くうれしいです。 知識はなくても感性は大事にしたいと思いました。




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