Nicotto Town


koshiのお部屋分家


北区西ヶ原紀行・・・

一昨日の東京出張は4時前に仕事がはねたので,せっかくの機会に何か1つ見ていこうと画策する。
以前から両国の江戸東京博物館に行きたかったのだが,現在地の文京区と豊島区の境からだと時間的に厳しい。
そこで,有楽町線から南北線に乗り換えて西ヶ原で降りて,旧古河庭園へ行ってみようと企てた。
午前中は天気が良く,暖房も必要ないくらいの暖かさで,日差しが痛いくらいだったのだが,さすがに夕刻を迎えて日が翳り,風が冷たく感じられた。
尤も,北日本と比べると全然大したことはない。


北区西ヶ原。
内田康夫の浅見光彦シリーズの舞台である。
浅見探偵と同じ年代に読みふけったが,浅見の年齢をとおに過ぎてから,偶然訪れることになった。
西ヶ原駅は乗降客も殆ど無く,本郷通りに面した駅前風景は閑静な住宅街といった感じだった。
本郷通りに沿って南下する。
数々の作品に登場する団子が知られる平塚亭が門前にある平塚神社は,門前が月極駐車場となっており少々残念だったが,奥に進むにつれてなかなかよさげな雰囲気は醸し出されてきた。
丁度武蔵野の丘陵が切れる高台に位置し,眼下のJR京浜東北線上中里駅までは結構な勾配になっており,何とも言えぬ感慨があった・・・。
つまり山の手と下町の丁度境であり,東は上野とか浅草といった台東区を経て,隅田川の向こうの墨田区や葛飾区へ繋がる。
新幹線でも在来線でも,上野が近づくと向かって右手(西)に北区の丘陵が走り,桜の名所である飛鳥山や谷中の墓園といった以前から行ってみたかった場所が有るし,さらに言えば文京区大塚から北区滝野川や庚申塚にかけては滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」の舞台にもなった場所でもある。
台東区から北区にかけての地域は全くと言ってよい程縁が無く,せいぜい上野から御徒町にかけてのアメ横とか,上野公園から不忍池といった場所しか歩いたことが無く,そうした意味でも貴重な街歩きとなった・・・。
平塚神社は,前述内田康夫の「金沢殺人事件」の舞台ともなったところだが,源義家が後三年の役に際して甲冑を収めたという伝承があり,それを考えると900年以上の歴史があることになる。
月極駐車場が切れると,ずらりと御輿の蔵が並ぶ。
例大祭がいつなのかは分からないが,盛大に盛り上がることだろう・・・。


そこから旧古河庭園までは僅かだった。
門構えからして格調があり,大いに期待が高まる。
入園料は何と150円。
都で管理しているからなのだろうが,篦棒な安値の上に地下鉄(いつの間に東京メトロという名前になったんだ・・・)の切符を見せたら,さらに30円割引となった。
この旧古河庭園は,本来は陸奥宗光の別邸だったのだが,次男の潤吉が古河財閥創始者の古河市兵衛の養子となったため,所有権が古河財閥に移った。
現在の形になったのは1917(大正6)年のことで,神田のニコライ堂等を手がけた英国人ジョサイア・コンドルによる洋館と庭園,植治こと小川治兵衛による日本庭園から成る。まず目に飛び込んできたのは,ルネッサンス様式による見事な洋館である。
これを見るだけでも大いに価値がある。
重厚にして瀟洒な建物は見事な格調を醸出しており,新小松石による茶色の外観はとにかく素晴らしい。
雨にしっとり濡れたら,さぞや雰囲気満点だろう。
内部を見るには往復はがきによる申し込みが必要ということだが,珈琲を喫することができるようで,結構な値段だが優雅なひとときを過ごせそうだ・・・。
時々,室内楽のコンサートやリサイタルにも使われているようで,エルガーのヴァイオリンソナタが似合うのでは・・・と思った・・・。


周囲には,幾何学模様のフランス風庭園とバラ園があった。
皇室の御用達のようで,プリンセスマサコなる種のバラがあるそうだ。
しかし,かっちりとした印象の英国の庭園が自然のままの放置に近いものなのに対して(勿論ローズガーデンは世話と手入れが大変なのだろうが),ラテンで大雑把な印象のフランスの庭園が幾何学模様できっちりした形・・・というのも好対照だ・・・。
17世紀のロココ全盛以来,フランス式庭園が流行したのだろうか・・・。
ザルツブルグ王宮のミラベル庭園もフランス式だったし・・・。
見事な回遊式の日本庭園へ降りる。
武蔵野の大地の起伏の多い地形を巧みに利用しているのが,この庭園の最大の特徴だろう。でもって,何か見覚えのある庭園・・・と思ったら,よく2時間ドラマなどのお見合いシーンで見た記憶があった・・・。
「後は若い方にお任せして,邪魔者は退散しましょう・・・」
とかいう定番の台詞が出るような場面だ・・・。
閉園までの時間で池の周りを一周する。
都内にこのような閑静な場所が有ったこと自体が驚きだったし,何よりも洋館と洋風庭園・日本庭園が見事に融合した空間となっていることも特筆に値する。
今度上京する折には,柳沢吉保による六義園(りくぎえん)や小石川後楽園も見てみたいものだ・・・。


後ろ髪を引かれる思いで庭園を後にする。
既に冬の宵闇が迫り,風はさらに冷たさを増していた。
1日中スーツを着て,履き慣れぬ革靴で歩いたせいか足が痛くなってきたが(何せ2万歩以上歩いたので,翌日は脚の筋肉痛が酷かった・・・),満ち足りた気分で西ヶ原駅へ向かった・・・。



・・・ということで,画像は本家に。
         ↓
http://blog.goo.ne.jp/fw14b_2005/e/e146795eca377dc7b6a8c91689071730

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2013/02/25 23:35
みいこさん,今晩は。
いや~,凄いです。
随分行っておられますね。
羨ましい・・・。
我が街には,こうした計画的に整備された大規模な庭園が無いので(お寺ぐらい?),今回初めて旧古河庭園に行きましたが,本当に心が落ち着いて,良かったです。
清澄庭園も規模が大きそうで,行ってみたいですね。
東京には良い音楽も美術も溢れているので,住んでおられる方が羨ましいです。
ま,こうしたたまの上京の際に,こうして楽しむのも良いものですね・・・。
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2013/02/25 23:31
meianさん,今晩は。
次はぜひ江戸東京博物館を見て,旧安田庭園へ・・・と思います。
国技館北にある入り口の門構え見ただけで入りたくなります・・・。
砧公園は,用賀IC(現東京料金所?)でニアミスです。
かなり大きいですよね・・・。
旧古河庭園はお薦めです。
まさに都会の中のオアシスですね・・・。
筋肉痛が翌日に出るというのは情けないです。
その晩飲んでいるうちに忘れましたが・・・。
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2013/02/25 23:24
よん様,今晩は。
いや~,古河庭園,見事でした。
薔薇や桜の季節でしたらさらなり・・・でしょうね・・・。
仰る通り丁度崖下の部分が日本庭園になっていまして,地形をうまく生かしたということでしょう。
六義園のしだれ桜は有名ですね。
清澄庭園・・・,規模が大きくて見応え有りそうですね。
水天宮やに錦糸町(何しに行くんだ?)と合わせて・・・
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2013/02/24 19:39
古川庭園 六義園 小石川後楽園 清澄庭園は 大好きでよく出かけます。

古川庭園は 春と秋は薔薇がきれいに咲いて冬とは印象が全く違うと思います。 白い洋館に薔薇はとてもいいかんじです。

秋は日本庭園の紅葉と薔薇が同時に見れるてとてもいいです。

東京の庭園は手入れが素晴らしいです。

わたしは毎年六義園のしだれ桜を見に行きます。紅葉も見に行くので年に数回。

庭園を歩くと落ち着きます。

koshi さんは歴史やいろいろな知識をよく知ってらっしゃるので そういうことを感じながら歩くのはいいでしょね。

わたしもそういう方の解説やお話を聞かせてもらいながら歩きたいです。
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2013/02/24 10:35
おはようございます。
仕事を終えて暫し憩いのひと時…、koshiさんほどの知識があれば感慨も深くなって最高ですね^^。
浜離宮恩賜庭園や江戸東京博物館隣りの旧安田庭園(スカイツリーが見える)、美術館のある砧公園
くらいしか知りませんので、旧古川庭園や桜の季節の六義園などいつか行ってみたいと思います。
2万歩以上歩かれて筋肉痛は辛いでしょうが、それだけのことはあったのでは…^^。
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2013/02/23 23:23
旧古河庭園はバラの季節はなかなか見事です。
そしてなぜか日本庭園があるというのもね。
江戸の地形の「崖」の部分ですね。

六義園。しだれ桜で有名ですね。
ちょっと離れますが、清澄庭園もいかがでしょうか。




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